乳酸菌Tetragenococcus halophilus KK221(Th221株)

乳酸菌Tetragenococcus
halophilus KK221(Th221株)
しょうゆ、味噌、漬物などの製造には植物成分を栄養源として生育する乳酸菌が多くかかわっています。しょうゆ醸造において、乳酸菌は味に深みを与え香りを引き立てる役割を担っています。当社は、しょうゆ醸造に関わる乳酸菌の健康機能について研究を行い、アレルギー症状の改善効果を有する乳酸菌を発見しました。
Th221株の発見
しょうゆ諸味から分離した乳酸菌151株について、抗アレルギー作用の指標であるインターロイキン12(IL-12)の産生誘導能を測定しました。その結果、比較対照として用いた乳製品由来の乳酸菌より優れた活性を持つ株が多数存在し、中でもTh221株が、高いIL-12産生誘導能を示すことを発見しました1)。
Th221株の免疫調節作用
Th221株の通年性アレルギー性鼻炎に対する効果を臨床試験で調べました2)。臨床試験は倫理委員会の承認を得て行いました。ボランティア45人を3つのグループに分け、それぞれにTh221株を全く含まないプラセボ錠剤、Th221株を低用量含む錠剤(20mg/日)、Th221株を高用量含む錠剤(60mg/日)を8週間摂取してもらいました。そして、本人の自覚症状と医師の所見をスコア化して効果を調べました。その結果、Th221株を高用量摂取したグループでは、自覚症状が改善し、また医師による鼻症状判定においてスコアが有意に改善していることがわかりました(図1)。また、アレルギーの指標と言われている血清総IgEの量も、高用量グループで低下していました。なお、これら臨床試験において、Th221株の摂取による副作用を示す人は一人もおらず、安全性も確認できました。

- 図1. 通年性アレルギー性鼻炎患者における鼻症状スコアの変化(医師による診断)
通年性アレルギー性鼻炎患者に、殺菌したTh221株を低用量(20mg/日)、あるいは高用量(60mg/日)で8週間摂取させた。高用量摂取群で鼻症状の改善効果が認められた(**:摂取前と比較してp<0.01)。
メカブフコイダンの併用による免疫調節作用の増強
「メカブフコイダン」はわかめメカブより抽出された酸性多糖類です。Th221株にメカブフコイダンを加えたときの免疫調節作用への影響について、細胞試験と動物試験で調べました。
マウス由来のマクロファージを用い、抗アレルギー作用の指標の1つであるIL-12の産生誘導能を測定しました。その結果、マクロファージをメカブフコイダンのみで刺激した時にはIL-12産生は微弱であるのに対し、Th221株とメカブフコイダンを同時に添加したときには、IL-12の産生が増強されました(図2)。また、アレルギーモデルマウスを用いた動物試験により、アレルギー症状の改善効果を調べたところ、Th221株とメカブフコイダンを両方摂取した群において、アレルギー症状改善の指標といわれているTh1/Th2バランスが最も改善されていました3)。これらの結果から、Th221株摂取時にメカブフコイダンを併用することで、Th221株の免疫調節作用が高められる可能性が示されました。

- 図2. マウスマクロファージからのIL-12産生誘導
マウスマクロファージにTh221株、メカブフコイダン、または両方を添加したときのIL-12産生量を調べた。
《引用文献》
- 1. Masuda S. et al.: Immunomodulatory effect of halophilic lactic acid bacterium Tetragenococcus halophilus Th221 from soy sauce moromi grown in high-salt medium. Int. J. Food Microbiol. 121, 245-252 (2008)
- 2. Nishimura I. et al.: Clinical Efficacy of Halophilic Lactic Acid Bacterium Tetragenococcus halophilus Th221 from Soy Sauce Moromi for Perennial Allergic Rhinitis. Allergol. Int. 58, 179-185 (2009)
- 3. 川島忠臣ほか:乳酸菌と多糖類の併用による免疫調節作用の増強効果,第63回日本栄養・食糧学会大会講演要旨集,p.226(2009)


