トップ > レシピ > ヘルシー&ライフ > ドクターコラム > ドクター推奨!身体のあちこち健康堂 > 第2回 男性と女性の「脳力差」part2 食欲と男女差

身体でなく、「脳」が欲しがるから食べる

人は、おなかが空くから食べるのでしょうか。じつは、脳が食べたがるから食べるのです。食欲の司令塔は、身体でなく、脳の働き。野生動物は、満腹時には食べ物に興味がないのに、人間は胃の全摘出手術をしていたとしても、「おなかが空く」というわけです。

食欲を制御している最高司令塔は、大脳皮質の前頭葉にあります。そこは、人間の精神や思考、情緒など、きわめて高次元な精神活動を営んでいる部位です。前頭葉には視覚、味覚、触覚、臭覚、聴覚など重要な情報を伝える神経のネットワークが形成されており、この働きによって食欲は大きく左右されます。

男女の違いと「食欲」の関係

思春期を過ぎると女性はエストロジェン、男性はアンドロジェンという男性ホルモンの分泌が増えます。エストロジェンは食欲を抑制し、アンドロジェンは食欲を増す働きがあります。小学校時代は小柄だった男子が、中高生になって急に身体が大きくなるのも、男性ホルモンのなせるワザというわけです。

思春期以降のラットでは、オスよりメスのほうが甘い水を好むという実験データがあります。これは卵巣ホルモン(エストロジェンとプロジェステロン)の働きによるものだということもわかっています。

「おいしい」は、肥満のもと!?

男性ホルモンが食欲増進をもたらすとすれば、女性の場合は、エストロジェンが天然のダイエット作用を発揮しそうに思えます。ところが、エストロジェンがあっても太る女性もいます。その原因は、「味覚」。「おいしい」という快楽が、エストロジェンの機能を破綻させてしまうのです。

「甘いものは別腹」といいますが、脳が感じる「おいしさ」には、「あれを食べたらおいしかった」という過去の経験も含まれています。それに、視覚、臭覚、聴覚への刺激や、その時の気分により、おなかが空いていなくても食欲が出たり、空腹でも食欲が出なかったりします。

「ゆっくり食べる」、「ストレスをためない」のが、肥満予防のコツ

脳の中には、食べることを命令する「摂食中枢」と、食べるのをやめるように指示する「満腹中枢」があります。腹八分目で「満腹中枢」が働けば「過食」は防げます。満腹中枢を刺激するには、「ゆっくり食べる」ことが大事です。「早食いは太る」というのは、満腹中枢が働く前に食べ過ぎるからなのです。

また、ストレスが大きいと、神経を鎮めたり、安心感をもたらす「セロトニン」という物質の分泌量が減ります。そのためイライラしやすくなり、過食に陥るという悪循環につながります。

ここ10年間で、食欲をコントロールできなくなった人は倍以上にもなっています。これは、食欲を刺激するようなものや情報が多すぎることもありますが、最も大きな要因はストレス社会になっているということではないでしょうか。食べ過ぎを避けるためにも、ストレスをうまくコントロールできるようにしたいものです。

<参考文献>

  • 『味のなんでも小事典 甘いものはなぜ別腹?』
    日本味と匂学会編/講談社(2004年4月)
    P24甘いものはなぜ別腹? P204~207味覚における性差

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