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もっと健康ずっと健康 家族を守る食事の話
ドクター発 健康メッセージ
Vol.9

キッコーマン総合病院
院長 久保田 芳郎

病気にならないお酒の飲み方

 今年もはや師走、12月。この時期を迎えるとやれ忘年会だ、新年会だとお酒を飲む機会が増えます。「酒は百薬の長なれどよろずの病は、酒よりこそ起れ」と、兼好法師は鎌倉の時代に記しています。 アルコールは適度に飲めば「百薬の長」ですが、調子に乗ってつい飲みすぎて翌朝後悔するという経験は、私同様、みなさんも何回かおありだと思います。

お酒の恐怖?!
 飲酒によって気分が高揚したり(中枢作用)、あるいは身体全体が熱気を帯びて(血管拡張作用)、排尿回数が増加すること(利尿作用) はよく経験することです。このような一過性の作用はまず問題ありませんが、特に気をつけたいのは、アルコールが誘発するさまざまな病気です。
 痛風発作を誘発したり、急性胃粘膜病変や急性膵炎の誘因になったり、あるいは、一気飲みなどによって意識障害や呼吸障害などの急性アルコール中毒に陥ることもあります。飲酒が慢性的になると、肝障害、慢性膵炎、さらには神経障害、心筋症などといった生命を脅かすような臓器障害に見舞われたり、精神病ともいうべきアルコール依存症になったりします。吉田兼好が言うように、お酒を百薬の長にするのも、生命に関わるほどの悪者にするのも、飲む量や飲み方次第、ということです。

病気にならないお酒の量
 「酒は適量」とよく言われますが、この“適量”とは、医学的にはどのくらいの量なのでしょうか。わかりやすい基準としての「お酒の単位」をご紹介しましょう。1単位は、ビール大瓶1本、日本酒1合、焼酎お湯割1杯、ウイスキーダブル1杯、ワイングラス2杯に相当します。
 この基準でいうと、男性は2単位に相当する量を20年以上毎日飲み続けると、肝臓が確実に弱っていくことがわかっています。女性は体格の違いやホルモンの関係からアルコールの分解能力が低く、1単位(男性の半分)で同様のことが言えます。
 病気にならないお酒の適量とは、男性は1日2単位以内、つまりビールなら大瓶2本、日本酒なら2合、ワインならグラス4杯を、トータルで1週間に10単位以内に抑える(女性はこの半分)のが目安です。お酒を飲むことが習慣化している方は、ぜひこれを目標に1週間のお酒の予定を立てるように心がけてください。

上手に飲んで心も体も健康に!
 飲む量と同様に大切なのは、飲み方です。体内に入ったアルコールは、胃で30%が、あとの70%は十二指腸と小腸の上部で吸収されます。さらに肝臓へ運ばれ、代謝、燃焼されます。体重60~70kgの人で、1単位のアルコールの除去に2~3時間を要します。何も食べずにお酒だけ飲めば、胃腸はお酒だけを相手にすることになるので、速く吸収されてしまいます。これはアルコールの血中濃度を一気に上げてしまうので、体によくありません。何か食べながらゆっくり飲めば、それだけ吸収も遅くなるので、酔いもゆっくり進むことになります。
 ひとりで飲めば、飲み方も速くなります。できるだけ誰かといっしょに、楽しく飲むことを心がけたいものです。仕事仲間と飲むときはもちろんですが、家で飲むにしても、一人でテレビを見ながら飲むのではなく、料理とともに、家族とおしゃべりしながら飲みたいものです。
 お酒を適量、楽しみながら飲めば、まさに百薬の長。“おいしい記憶”をお酒とともに積み重ねてゆくことは、健康にもつながります。

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