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朝ご飯 大人も子供も 食べようよ ドクター発 生活習慣病予防しま専科
第7回 朝食抜きの弊害

キッコーマン総合病院
院長 久保田 芳郎

今回の川柳 午前中に眠くなる原因には、睡眠不足以外にも「朝食抜き」があるのをご存じですか。脳の唯一の栄養素の糖質が不足して、「何となくだるい、眠たい」という状態になるのだとか。朝食抜きのデメリットは、本当にさまざまなのです。
朝食を抜くと太る、病気になる!?

朝食の欠食率

(厚生労働省の「平成16年国民健康・栄養調査」)
 朝食を食べない人が、ここ5、6年増え続けています。厚生労働省の「平成16年国民健康・栄養調査」によると、全体で1年前よりさらに0.4%朝食抜きが増えています。グラフのように、特に20代の欠食 率が目立ち、一人暮らしの場合、20代男性の65.5%、同じく女性で29.0%が朝食抜きとなっています。
 朝食を食べない生活が続くとどうなるのでしょう。体重増加や心疾患に直結する可能性を指摘するアメリカの研究報告もあります。朝食を2週間抜いた健常女性は毎日朝食を取った女性と比較して、その日の残りの時間により多く食べており「悪玉」のLDLコレステロールが高く、インスリン感受性が低くなります。ということは、動脈硬化を起こしやすく、心筋梗塞になりやすいことを示しています。また、ハーバード大学のMark A. Pereira 助教授は朝食を毎日摂る人は摂らない人に比べて、肥満や糖尿病になる率が35~50%も低いという調査結果を発表しています。毎日の朝食は、生活習慣病予防にもなるのです。
朝食を摂る生徒は成績がよい!?
 朝食は脳の働きと深い関わりを持っています。脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖は、貯蔵することができず、食後4時間で消費されてしまいます。そのため、朝起きた時にはすでに不足しており、血糖値が下がっている状態なのです。そこで朝食を抜くと、前日の夕食から翌日の昼食まで、長い場合で15時間以上も脳にブドウ糖が補給されないことになります。これでは当然、午前中の仕事や勉強に影響します。
 フロリダ大学のRampersaud教授らによる調査では、朝食を摂っている子どもは、摂らない子供にくらべて、「頭の働きがいい」「学校の出席率が高い」「学校の成績が良い」傾向にあることが分かりました。
 同様の調査が日本の小・中学生にも行われています。「平成15年小・中学校教育課程実施状況調査」(文部科学省)によれば、小学5年生と中学2年生への生活習慣調査で「朝食を必ず摂る」生徒の学力テストの平均が、5教科すべてで標準点を上回っているのに対し、「たいてい摂る」「摂らないことが多い」「全く、または、ほとんど摂らない」と答えた生徒の平均はすべて標準点を下回っており、朝食を摂ることが少ない生徒ほど得点が低くなっています。同省では、この結果を「基本的な生活習慣が身についている生徒の方が、得点が高い傾向にある」と分析しています。
 茨城県警察少年課と筑波大学・佐藤親次助教授の共同調査(1998年)によると、傷害などで補導された非行少年の55%が朝食を欠食しているとの結果もあります。長期にわたって朝食を抜き続けると、脳への栄養不足から、痴呆になりやすくなるというデータもあります。また、痴呆症の人が朝食を食べないでいると、低血糖になり症状を悪化させるともいわれています。
 大人、子供を問わず脳の働きに深く関係している朝食。毎日、バランスのよい朝食を摂ることが、規則正しい生活習慣の基盤となり、それが脳の働きを活発にすると同時に生活習慣病予防にもなるのです。朝食がおいしく食べられるのは心身ともに健康な証拠です。毎日の朝食から健やかな1日をスタートしましょう。

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