江戸時代、オランダとともに中国(清)船も交易のために来崎しましたが、中国船によるしょうゆ輸出の記録は少なく、その全貌は明らかではありません。
中国船によるしょうゆ輸出の記録は、『唐蛮貨物帳』『バタビア城日誌』『長崎商館日記』などによって知ることができます。資料による初見は、1669年(寛文9年)です。『バタビア城日誌』には、この年の3月31日の項に、日本からバタビアに来た中国船が20樽積んできたことが記しています。中国船の場合、長崎と中国国内の港を往復する船と、例えば、バタビア→長崎→バタビアのように運航する船がありました。
そのため、中国船には、出発港や立ち寄り先により船名(便名と考えてもよい)が付けられていました。
1711年(正徳元年)から1713年(正徳3年)までの中国船によるしょうゆ輸出の記録は、「表-1」のとおりです。また、1804年(文化元年)から1829年(文政12年)までの26年間の『長崎商館日記』による輸出記録をまとめると「表-2」のようになります。しかし、中国船の場合、樽の大小や容量が判明していないため、表中では「樽数」のみで表しています。
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表-1：中国船によるしょうゆ輸出
(1711年～1713年)
| 船 |
1711年
(正徳元年) |
1712年
(正徳２年) |
1713年
(正徳３年) |
| 1番東京船 |
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15樽 |
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| 2番台湾船 |
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36樽 |
| 31番台湾船 |
37樽 |
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| 39番台湾船 |
10樽 |
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| 3番寧波船 |
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14樽 |
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| 4番寧波船 |
47樽 |
47樽 |
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| 5番寧波船 |
58樽 |
58樽 |
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| 16番寧波船 |
15樽 |
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| 36番寧波船 |
12樽 |
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| 3番南京船 |
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5樽 |
| 8番南京船 |
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|
5樽 |
| 15番南京船 |
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4樽 |
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| 18番南京船 |
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12樽 |
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| 19番南京船 |
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24樽 |
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| 4番広東船 |
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120樽 |
| 28番広東船 |
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66樽 |
| 44番広東船 |
100樽 |
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| 6番厦門船 |
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74樽 |
| 7番厦門船 |
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2樽 |
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81樽 |
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370樽 |
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| 合計 |
634樽 |
191樽 |
388樽 |
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表-2：中国船によるしょうゆ輸出
(1804年～1829年)
| 年 |
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| 1804年(文化元年) |
90樽 |
| 1805年(〃 ２年) |
輸出しない |
| 1806年(〃 ３年) |
12樽 |
| 1807年(〃 ４年) |
192樽 |
| 1808年(〃 ５年) |
124樽 |
| 1809年(〃 ６年) |
258樽 |
| 1810年(〃 ７年) |
147樽 |
| 1811年(〃 ８年) |
135樽 |
| 1812年(〃 ９年) |
98樽 |
| 1813年(〃 10年) |
83樽 |
| 1814年(〃 11年) |
91樽 |
| 1815年(〃 12年) |
63樽 |
| 1816年(〃 13年) |
輸出しない |
| 1817年(〃 14年) |
輸出しない |
| 1818年(文政元年) |
輸出しない |
| 1819年(〃 ２年) |
245樽 |
| 1820年(〃 ３年) |
287樽 |
| 1821年(〃 ４年) |
322樽 |
| 1822年(〃 ５年) |
95樽 |
| 1823年(〃 ６年) |
220樽 |
| 1824年(〃 ７年) |
輸出品を記さない |
| 1825年(〃 ８年) |
輸出品を記さない |
| 1826年(〃 ９年) |
輸出品を記さない |
| 1827年(〃 10年) |
輸出しない |
| 1828年(〃 11年) |
輸出品を記さない |
| 1829年(〃 12年) |
300樽 |
| 合計 |
2,762樽 |
山脇悌二郎『江戸時代、醤油の海外輸出』より作成 |
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