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過去の展示

自然がささえる草原の食卓


モンゴル...豊かな草原と少ない雨
モンゴルの首都はウランバートルです。人口は、約240万人と日本の約1/50ですが、遊牧民の数は約40万人と、世界一の遊牧国です。面積は日本の4倍もあり、そのうち80%が遊牧に適した草地です。平均標高は1580mで、気候は内陸性気候で大変厳しく、夏の最高気温は40℃にもなる一方、冬の最低気温は-40℃にも達します。さらに夏季は1日の気温差が30℃近くになることもあります。また、降水量も年間平均218.5mmと大変少なく、1年の約7割は晴天です。 モンゴル国とその周辺地図

遊牧民の生活 大草原が家畜を育み、家畜が人を養う
遊牧の起源は、人が野生の動物と生活を共にし、狼などの外敵から守りながら、乳や肉を貰うようになったものであると考えられています。現在、ヒツジ・ヤギ・ウシ・ウマ・ラクダの五畜が草原の植生に合わせて飼われ、世界の遊牧で飼われている家畜のすべてが揃っています。遊牧生活は1年に数回、家畜とともに草原を移動し、ゲルと呼ばれる移動式天幕住居に住んでいます。料理、乳加工の燃料はウシの糞を乾燥させた「アルガリ」です。家畜からは乳、肉のほか、毛皮から衣服、毛からフエルト、皮からは馬乳を発酵させる発酵容器フフルなどの様々な保存容器をつくっています。 最も代表的な家畜のヒツジ
最も代表的な家畜のヒツジ
国内で飼育されているヒツジは約1400万頭で、モンゴルの人口の約5.8倍にもなる

一方、家畜の恵みに依存する食生活の中で、都心部に住む一部のモンゴル人を除いて魚はどのような調理方法でも遊牧民は食べません。その理由として、本能的に湿った土地は健康に良くないとして嫌い、水のあるところから意図的に離れて暮してきた習慣が反映し、水に住む魚を食べないことに繋がったようです。しかし中国内蒙古自治区に住むモンゴル族の一部は、淡水魚を発酵させた独特な発酵食品をつくっています。
ゲルの組立   ゲル   ゲル内の様子
ゲルの組立
木の骨組みの上に白いフエルトをかけてつくりあげていく。扉から入らない家財道具はあらかじめ入れておく
  ゲル
中は12畳~16畳くらいで天井は高く、そこからストーブの煙突が出される
  ゲル内の様子
構造上窓はないが、煙出しを兼ねた天窓があり、日中ゲルの中はかなり明るくなる。部屋の中央にあるのはストーブ
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