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過去の展示

四季を巡る江戸庶民の行事と暮らし
春 初午
春 初午 2月最大の行事は初午である。2月最初の午の日で稲荷神社の祭りである。「諸社の稲荷の社域は屋敷町屋の鎮守の宮に、五彩の幟をたて奉暼し、神楽を奉す。とりわけ江府は稲荷めの社多き所にて、参詣群集の人湧くがごとし」(『続江戸砂子』―享保20年・1735年)とあるように、府内は「伊勢屋、稲荷に犬の糞」といわれほど稲荷の社が点在していた。稲荷の総本社は京都伏見の稲荷大社で、江戸の王子稲荷は関東の総本社で、稲荷の使姫である狐に小豆飯と油揚げを供えるが、油揚げが供物になったのは江戸後期の頃らしい。稲荷鮨の創製は名古屋で、天保(1830~1844年)頃といわれ、江戸では弘化(1844年~)の初めに流行し、「木耳」「干瓢」等を刻み混ぜた飯を詰め、当初は山葵醤油をつけて食べていたらしい。
2月8日は「事始め」で、江戸では「人参」「牛蒡」「蒟蒻」「小豆」「焼豆腐」などを入れ味噌汁を作る。お事汁という。
寒は、二十四節気の小寒から立春までの1か月間で前半の15日間を小寒、後半の15日間を大寒という。現在の1月初旬から2月初旬になる。「酒」「味噌」「醤油」などの寒仕込みで一年間の貯えを図る。寒に搗く寒餅は寒の水に漬け込めば腐らぬといわれ、「寒玉子」「寒平目」「寒ぶり」「寒しじみ」など寒の字のつく食べものはうまいとの定評がある。
王子まいり
稲荷鮨/王子まいり
初午