2009年5月20日

News Release No.09025

キッコーマン、理研ビタミンとの共同研究で、
「植物性乳酸菌Th221株」に「メカブフコイダン」を加える
ことにより免疫調節作用が増強することを確認!
~2009年5月22日の日本栄養・食糧学会大会で発表~

キッコーマン株式会社は、理研ビタミン株式会社との共同研究で、しょうゆ諸味(もろみ)(※1)から分離した抗アレルギー作用(※2)を有する「植物性乳酸菌(※3)Th221株」に、メカブから抽出した抗ウイルス作用・抗腫瘍作用などのさまざまな生理活性を有する酸性多糖類「メカブフコイダン」を加えることにより、免疫調節作用が増強されることを細胞試験および動物試験にて確認しました。
研究成果は5月22日に長崎市で開催される第63回日本栄養・食糧学会大会で発表します。

キッコーマン株式会社は、しょうゆ研究の中から強い抗アレルギー作用を有する「植物性乳酸菌Th221株」を発見し、そのアレルギー症状改善効果を通年性アレルギー性鼻炎の症状を持つ人を対象にした臨床試験で実証してきました。
また、理研ビタミン株式会社は、わかめのトップメーカーとして「メカブフコイダン」に関する研究を進め、抗ウイルス作用、抗腫瘍作用、免疫賦活作用などの機能性を確認してきました。

今回は、「植物性乳酸菌Th221株」(以下、「Th221株」)に「メカブフコイダン」を加えたときの免疫調節作用への影響について、細胞試験と動物試験で調べました。

マウス由来のマクロファージ細胞を用い、アレルギー症状の抑制に関するインターロイキン12(IL-12)の産生誘導作用を測定しました。その結果、マクロファージを「メカブフコイダン」のみで刺激した時にはIL-12産生は微弱であるのに対し、「Th221株」と「メカブフコイダン」を同時に添加したときには、IL-12の産生が増強されました。

また、アレルギーモデルマウスを用いた動物試験により、アレルギー症状の改善効果を調べました。その結果、「Th221株」と「メカブフコイダン」を両方摂取した群において、アレルギー症状改善の指標といわれているTh1/Th2バランスが最も改善されていました。

これらの結果より、「Th221株」に「メカブフコイダン」を加えることで免疫調節作用が増強されることがわかり、「Th221株」と「メカブフコイダン」を同時に摂取することはアレルギー症状の改善に有用であることが期待されます。

キッコーマングループは、今後とも食品と健康の関連について研究を進め、「食と健康」の分野で「お客様の生活を豊かにする」独創的な新製品開発と新技術開発を進めてまいります。

  • (※1)しょうゆ諸味とは、大豆と小麦に麹菌を混ぜ合わせてつくったしょうゆ麹に、食塩水を混ぜ合わせて発酵・熟成させたもので、この諸味を搾ってしょうゆをつくります。
  • (※2)アレルギー反応は、免疫細胞であるTh1細胞とTh2細胞のバランスが崩れて、Th2細胞が優位になると起こるといわれています。インターロイキン 12(IL-12)は免疫調節に関わる主要な細胞間情報伝達物質です。IL-12が産生されると、Th1細胞が増えてTh1/Th2バランスが改善され、その結果、アレルギーの指標といわれている血清IgEが減少し、アレルギー症状が改善されると考えられています。
  • (※3)植物性乳酸菌は、植物成分を栄養源として生育できる乳酸菌で、栄養成分の少ない環境や食塩濃度の高い環境でも生育することができる乳酸菌も多く存在します。例えば私たち日本人が古くから食べてきた、しょうゆ、味噌、糠漬けなどの食品は植物性乳酸菌の働きを活用しており、日本人に大変なじみの深い乳酸菌といえます。

以上