2010年5月12日

News Release No.10020

キッコーマン、日本デルモンテと共同で
ケルセチン配糖体高含有タマネギの
血中中性脂肪上昇抑制効果を確認!
~第64回 日本栄養・食糧学会大会で発表~

キッコーマン株式会社は、日本デルモンテ株式会社との野菜の機能性に関する共同研究で、ケルセチン配糖体(※1)高含有タマネギに、血中中性脂肪の上昇を抑制する効果があることを確認し、5月21日からアスティとくしま(徳島県)で開催される第64回 日本栄養・食糧学会大会で発表します。

<研究の背景>

タマネギは、ケルセチン配糖体を中心としたポリフェノール類などの機能性成分を豊富に含有しており、様々な健康機能が報告されています。
キッコーマンと日本デルモンテは、タマネギを瞬間加熱破砕処理(※2)することにより、甘く、旨みの強い、まろやかな風味のタマネギピューレを製造する技術を確立しています。ケルセチン配糖体高含有タマネギである「さらさらレッド」(※3)を瞬間加熱破砕処理したピューレはヒトに対して血流改善効果を有することから、血液流動性に関わる疾病改善や予防、冷えによる血流の悪化の改善や予防が期待できることを、2007年に行われた第61回 日本栄養・食糧学会大会にて発表しています。

<研究の概要>

今回は、「さらさらレッド」〔供給元:有限会社植物育種研究所〕のさらなる健康機能を確認するために、ラットを用いて血中トリグリセリド(※4 以下、血中中性脂肪)上昇抑制効果を調べ、あわせて、ケルセチン配糖体の関与も検証しました。
ラットに果糖を混ぜた餌を与えることにより、血中中性脂肪が上昇するモデルを用いて試験を行いました。果糖のみを混餌した対照群と比べ、果糖と共に「さらさらレッド」の瞬間加熱破砕ピューレを混餌した群の血中中性脂肪は、2週目で上昇が有意に抑制されました。また、「さらさらレッド」に含まれるのと同量のケルセチン配糖体を与えた群の血中中性脂肪は、3週目で「さらさらレッド」群と同程度に上昇が抑制されました。
さらに、ケルセチンおよびその代謝物が血中中性脂肪調節に係わるPPARα(※5)に対する影響を試験管内試験で調べたところ、いずれもPPARαを活性化しました。

以上より、ケルセチン配糖体高含有タマネギ「さらさらレッド」に血中の中性脂肪の上昇を抑制する効果が確認され、ケルセチン配糖体が寄与している可能性が示唆されました。

キッコーマングループは、今後とも食品と健康の関連について研究を進め、「食と健康」の分野で「お客様の生活を豊かにする」独創的な新製品開発と新技術開発を進めてまいります。

  • (※1)ケルセチン配糖体
    ケルセチンは、野菜や果物に含まれるポリフェノールの1つです。特にタマネギはケルセチンの含有量が多く、体内への吸収性が高いとされている配糖体として存在しています。ケルセチンは強い抗酸化力をもち、血小板凝集抑制作用、降圧作用など、様々な生理活性を持つことが報告されています。
  • (※2)瞬間加熱破砕処理
    野菜を瞬間的に95℃以上に加熱して直ちに破砕する方法です。この処理により、タマネギ中の酵素が失活するため、タマネギ臭の原因物質の生成は抑制され、甘く、旨みの強い、まろやかな風味になります。なお、この処理によりケルセチン配糖体含有量は影響を受けません。
  • (※3)さらさらレッド
    北海道栗山町で栽培される赤タマネギのブランド名で、ケルセチン含有量の高いタマネギとして育種された品種です。
    • 当社で日本産のタマネギ品種についてケルセチン配糖体含量を調べたところ、品種で違いがあり、北海道産の品種は本州産の品種に比べて含有量が1.5~3.0倍多く、そのうち、「さらさらレッド」が最も高含有でした。
  • (※4)血中トリグリセリド
    血中の中性脂肪は90~95%がトリグリセリドとして存在するため、中性脂肪とトリグリセリドは同義語として扱われています。
  • (※5)PPARα(peroxisome proliferator-activated receptor α)
    脂質代謝改善、血中中性脂肪低減に係わる遺伝子の発現を調節することが知られているタンパク質の一種です。

以上