2015年9月11日

News Release No.15046

しょうゆのインフルエンザウイルス増殖阻害効果をマウスで確認
~2015年9月11日の日本生薬学会第62回年会で発表~

キッコーマン株式会社は、「しょうゆの抗インフルエンザウイルス作用の評価」について、富山大学、中部大学と共同で研究し、その成果を2015年9月11日、12日に岐阜市で開催される日本生薬学会第62回年会で発表します。

■研究の背景

日本の食卓に欠かせない調味料であるしょうゆには、殺菌効果、くさみを消す効果など、たくさんの効果があることが知られており、当社ではしょうゆについて、その効果の解明に取り組んでいます。今回は、しょうゆのインフルエンザウイルスに対する効果を培養細胞(*1)、マウスで評価しました。

■実験方法

①さまざまなウイルスに対する、しょうゆのウイルス増殖阻害効果を培養細胞により評価したところ、インフルエンザウイルスに対して比較的高い効果が見られました。

②そこで、インフルエンザウイルスに感染させたマウスに、感染の前後それぞれ7日間しょうゆを
経口投与し、

  • 体重
  • 感染3日後のウイルス量
  • 感染14日後の中和抗体価(*2)

を測定しました。その結果、インフルエンザウイルスに感染させてしょうゆを投与したマウスでは、しょうゆを投与しなかったマウスと比較して、有意なウイルス増殖阻害効果と、中和抗体の産生増強効果、感染に伴う体重減少の抑制が認められました。

③次に、しょうゆにエタノールを添加して沈殿物と上澄みに分け、しょうゆ、沈殿物および上澄みを前述と同様の動物感染実験で調べたところ、上澄み部分にしょうゆと同様にウイルス増殖阻害・中和抗体産生増強・体重減少抑制の効果が認められ、沈殿物では顕著な効果が認められませんでした。

■実験結果

これらの結果から、しょうゆは、マウスにおけるインフルエンザウイルスの中和抗体産生増強など、感染防御機能に関与して効果を発揮していると推察されました。今後は、しょうゆにエタノールを添加して分けた上澄み部分にマウスへの効果がみられたことから、この上澄み部分から活性成分の探索を進めていく予定です。

キッコーマンは、これからもしょうゆの基礎的な研究を進め、「お客様の生活を豊かにする」新技術開発と独創的な新製品開発を進めてまいります。

  • (*1)培養細胞:細胞を生体外で生きた状態に維持しているもの。
  • (*2)中和抗体価:動物がウイルスに感染すると、血液中に種々の抗体を産生するが、その中でウイルスの増殖を阻止する能力を有する抗体を中和抗体と呼び、その量を示す指標。
    なお、抗体とは主に血液中や体液中に存在し、体内に侵入した異物(抗原)に対して身体が生産する免疫にかかわるタンパク質をいう。

以上