2013年3月15日

抗がん剤治療に伴う食の悩みの原因究明とそれを踏まえた新しいレシピ開発について

千葉県がんセンター

キッコーマン株式会社

千葉県がんセンターとキッコーマン株式会社は、平成22年度より、抗がん剤治療に伴う副作用の一つとして“おいしく食事を楽しめない”がん患者の皆様の、QOL向上を目指す研究を共同で行ってまいりました。

このたび、この研究の現段階の成果をとりまとめ、学会で発表しました。また、がん患者さんがおいしく食事を楽しめるようなレシピを、本日、それぞれのホームページに公開しました。

  • ※ QOL:Quality of lifeの略。医療では「生活の質」と訳されることが多い。

1 研究課題名及び目的

  • 課題名:『食を通じたがん患者のQOL向上に関する研究』
  • 目 的:がん患者における味覚・嗅覚障害の状況を把握し、がん患者がおいしく食事を楽しめるためのレシピを提供する

2 共同研究の実施状況

  • ア  千葉県がんセンターにおいて、抗がん剤(S-1)内服中の通院患者さんにアンケート調査や味覚・嗅覚に関する官能調査を行いました。
  • イ  調査結果を共同で解析したところ、胃切除を受けた患者さんでは、抗がん剤(S-1)内服の有無により、口腔内乾燥により食べ物が飲み込みづらくなる傾向が見られ、食事の満足度が低下していることがわかりました。
  • ウ  これらのことから、他の患者さんも含め、がん治療の内容に応じ食事の調理方法を変える工夫が、がん患者さんのQOL向上に重要であることがわかりました。
  • エ  以上を踏まえ、特に口腔内乾燥のある患者さん向けレシピを検討・開発するとともに、これらの成果の一部を平成25年2月22日に金沢で開催された第28回日本静脈経腸栄養学会学術集会において発表しました。

3 レシピについて

本レシピは、治療中であっても楽しめるような食事を目指したものであり、がん治療継続に役立つ栄養管理のツールとして期待できると考えております。

本レシピは自宅でも手軽につくることができるものとなっているため、広く活用いただくために、本日より千葉県がんセンターおよびキッコーマン株式会社のホームページに掲載しました。

 千葉県がんセンターホームページ

 キッコーマン株式会社ホームページ

4 今後の予定

引き続き共同研究を進め、食に関してお悩みのがん患者さんの特徴を踏まえたレシピの検討を行ってまいります。

以上