2014年5月26日

理研ビタミンとキッコーマン、共同で乳酸菌発酵トマトエキスの便通と腸内フローラ改善効果を確認
~第68回日本栄養・食糧学会大会で発表~

キッコーマン株式会社

理研ビタミン株式会社

理研ビタミン株式会社とキッコーマン株式会社は、共同研究により、乳酸菌で発酵させたトマトエキス(乳酸菌発酵トマトエキス)の便通改善作用ならびにビフィズス菌を増加させる腸内フローラ(*1)改善効果をヒト試験で確認しました。本結果は2014年5月30日~6月1日に北海道札幌市で開催される第68回日本栄養・食糧学会大会にて発表します。

本研究では、野菜や果実を風味良く発酵させる乳酸菌として選抜したペディオコッカス ペントサセウスOS株(*2)によりトマトエキスを発酵させた「乳酸菌発酵トマトエキス」の便通改善効果を検討しました。

便秘症状を示す20歳から50歳の女性22名を対象に、2週間の観察期間の後、乳酸菌発酵トマトエキスの粉末を1日1g、2週間連続して摂取してもらいました。便通への影響は排便日誌とアンケート調査により評価を行いました。また、観察期間、摂取期間終了時に採便し、腸内フローラの解析を実施しました。試験期間中は毎日食事調査を行い、各期間中の栄養量を計算しました(摂取エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・コレステロール・食物繊維)。

便通への影響を解析した結果、観察期間中と比較し乳酸菌発酵トマトエキスを摂取した期間(摂取期間)で、排便量、排便回数、排便日数が有意(p<0.05)に増加していることが認められました(図1)。また、腸内フローラに占めるビフィズス菌の割合も有意に増加していました(図2)。

さらに摂取期間終了時に実施したアンケート調査から、便通改善が有意に自覚されたことが認められました。食事調査の結果では、観察期間、摂取期間で摂取した栄養量に有意な変動が認められなかったことから、便通や腸内フローラへの影響は、乳酸菌発酵トマトエキスによるものであると考えられました。

これらの結果から、乳酸菌発酵トマトエキスの摂取は便通の改善に加え、腸内環境の改善に役立つと考えられます。

理研ビタミン株式会社とキッコーマン株式会社は、今後とも天然物の有効利用について研究を進め、食を通じてお客様に健康と豊かな食生活を提供してまいります。

以上

図1 乳酸菌発酵トマトエキスによる便通の改善

図1 乳酸菌発酵トマトエキスによる便通の改善

 

図2 腸内フローラにおけるビフィズス菌の増加

図2 腸内フローラにおけるビフィズス菌の増加
  • (*1)腸内フローラ(腸内細菌叢)
    ヒトの腸管には様々な種類のおよそ600兆個といわれる細菌が存在し、絶えず増殖を繰り返している。これらの腸内細菌が集まる微生物群集のこと。善玉菌と悪玉菌が知られており、飲食物によって増減することが知られている。
  • (*2)ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)OS株
ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)OS株

キッコーマングループが保有する乳酸菌株の一つ。野菜や果実を風味よく発酵させる乳酸菌として、白菜漬物から分離された。

動物試験から、腸内環境の改善効果が認められている。

《引用文献》

西村郁子ほか:Pediococcus pentosaceus OS(OS株)およびOS株発酵物の健康機能性評価,

2010年度日本農芸化学会産学官学術交流委員会フォーラム要旨集,p.9(2010)