研究開発本部発!
食べ物が持つ健康パワー

食品の機能性について研究を行っているキッコーマン研究開発本部の農学博士が、食べ物が持つ健康パワーをおすすめ
レシピとともにわかりやすく解説します。

 

第52回「にんじん」

主流は西洋種、東洋種は金時

 

 中国から渡来したにんじんは、日本で古くから知られていた薬用人参と根の形が似ていたので、それと区別して芹人参(せりにんじん)と呼ばれました。芹と同じような葉をしていたからです。それが食用として広く利用されるようになり、にんじんとなったといわれています。
 にんじんの原産地は、アフガニスタン周辺とされています。そこから、東西2つのルートに分かれて日本に渡来しました。
 1つは東ルートの東洋種。13世紀に中国に広まり16世紀末~17世紀に日本に伝わりました。もう1つは西ルートの西洋種。12~13世紀にヨーロッパに伝わり、江戸時代末期に長崎へ渡って来たものと、ヨーロッパからアメリカ経由で19世紀に日本に伝わったものがあります。
 現在は、栽培期間が短く、収穫作業のしやすい西洋種の栽培が多く、「五寸にんじん」が主流となっています。東洋種で現在流通しているのは「金時にんじん」と呼ばれる品種です。
 平成25年のにんじんの出荷量は53万5900tで、特に北海道16万1400t、千葉県10万1200tが多くなっています。

抗酸化作用のあるカロテンが豊富

 にんじんは、緑黄色野菜の中でもカロテンが豊富に含まれています。にんじんのオレンジ色はこのカロテンによるもので、にんじんの英名の“carrot”が由来です。カロテンは、体内でビタミンAに変化し、にんじん80g程で1日に必要なビタミンAを取ることができるそうです。体内では肝臓に蓄えられ、必要な量だけビタミンAに変換されるので、プロビタミンAともいわれます。
 抗酸化作用によって、皮膚や粘膜が保護されるので、肌荒れ予防になるといわれています。実際、喫煙者ににんじんジュース、またはβ-カロテンを与えたところ、どちらもリンパ球のDNA損傷を防ぐことが分かりました。このように、β-カロテンは喫煙者に対しても抗酸化能力を発揮する可能性があります。
 そのほか、カリウムや食物繊維も含まれています。カリウムには、体内の塩分を排出し、高血圧を予防する効果があり、食物繊維は便秘や痔の解消、血糖値の上昇をゆるやかにする作用があるといわれています。

茎の切口の小さいものを選ぶ

 にんじんは、和食、中華、洋食と幅広い料理に使われ、ジュースや菓子などの材料にもなる汎用性の高い野菜です。
にんじんを選ぶポイントは、表面のツヤとハリです。また、新しいものほど、茎の切り口が小さく、緑色をしています。茎の切り口の大きいものは甘みの少ない芯の部分が多いので、なるべく小さい切り口のものを選びましょう。表面が黒ずんでいるものは鮮度が落ちているので避けましょう。
 にんじんのβ-カロテンは油と一緒に調理すると体内への吸収率が高まるので、きんぴらや天ぷら、バターソテーなどは効果的な調理法です。キッコーマンでは、ホームクッキングでにんじんを使ったレシピを公開しています。家庭で簡単に調理できますので、ぜひお試しください。

「にんじん」のおすすめレシピ

 

 にんじんでつくるきんぴらは、甘さを生かして薄味に。鮮やかな彩りはお弁当のおかずにもおすすめです。