研究開発本部発!
食べ物が持つ健康パワー

食品の機能性について研究を行っているキッコーマン研究開発本部の農学博士が、食べ物が持つ健康パワーをおすすめ
レシピとともにわかりやすく解説します。

 

第67回「チーズ」

紀元前2000年頃に誕生?

 

 紀元前2000年頃、砂漠を行く商人が羊の胃袋でつくった水筒に乳を入れ、らくだの背にくくりつけて旅をしていました。その日の終わりに乳を飲もうとすると、水筒の中には水っぽい液体と白い固まりができていました。試しに白い固まりを食べてみると、とてもおいしく、これがチーズの始まりとなったという話がアラビアに伝わっています。現在では、水筒に使った羊の胃袋の酵素で乳が固められ、歩いて揺られている間にチーズになったと考えられています。
 孝徳天皇の時代、645年に百済からの帰化人の子孫が、乳製品を天皇家に献上しました。その1つがチーズだといわれています。近代ヨーロッパ型チーズは、昭和初期まで国内での生産量はごくわずかで、ほとんどが輸入品でした。
 チーズは世界中に1000種類以上あるといわれています。それぞれ生産地の地名、製造方法、形、色などに由来する名前がついています。
 チーズを大別すると「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」に分けられます。「ナチュラルチーズ」は乳を乳酸菌や酵素のはたらきで固め、水分を減らしたもので、多くの場合、発酵熟成させてつくります。原料乳の種類、製造方法、使用される微生物、生産地の風土などによって、特有の味や外観、組織をもつようになります。
 一方「プロセスチーズ」は、1種または数種類のナチュラルチーズを粉砕、加熱溶融して成型包装したものです。加熱により発酵熟成が止まるので、ナチュラルチーズに比べて風味が一定し、保存性が高くなるなどの利点があります。平成29年度のチーズの総消費量は33.8万tで、そのうち国産チーズの占める割合は14.2%でした。

栄養豊富で消化吸収もよい

 チーズは牛乳から水分を除いて固めたもので、チーズ100gをつくるのにおよそ1000mlの牛乳が使われます。いかに栄養豊富であるかがわかるでしょう。熟成中に乳酸菌のはたらきで一部はアミノ酸にまで分解され、脂質は脂肪酸に分解されるので、消化吸収しやすくなっています。また、カルシウムはたんぱく質のカゼインと一緒に存在するので、通常のカルシウムに比べて吸収率が高いのが特長です。
 ナチュラルチーズにはさまざまな種類があります。パルメザンチーズなど水分の少ないものには、たんぱく質、カルシウムが多く含まれます。脂肪についてはクリームチーズのように多く含まれるものから、カッテージチーズのように少ないものまでさまざまです。乳糖は製造中に水分とともにほとんど除かれるので、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする人も大丈夫といわれています。
 最近の研究では、チーズの消費量と循環器系疾患による死亡率との間に、負の相関関係が認められたそうです。いくつかの疫学研究でもそれを支持しています。そのようなチーズの効果は、チーズに含まれるカルシウム、ペプチド、脂質成分などさまざまな成分が複合的に作用した結果だと考えられています。

冷蔵保存でおいしさキープ

 チーズは、たんぱく質や脂肪などの栄養を豊富に含んだ食品なので、微生物にとっても栄養源になります。ですから、衛生的に保存することが大切です。冷蔵保存し、賞味期限を目安に食べてください。保存温度は10℃以下で。5℃前後で冷蔵保存するのが理想です。冷凍保存すると、舌ざわりや風味が悪くなります。
 ナチュラルチーズは時間が経つと熟成がすすみ、味と風味は濃厚になっていきます。ナチュラルチーズの日持ちは、熟成にかかった期間とほぼ同じといわれています。フレッシュチーズなど水分の多いやわらかいチーズは日持ちせず、熟成期間の長いハード系のチーズは日持ちします。漬物に浅漬け、古漬けがあるように、チーズも熟成の浅い時とすすんだ時では、味も香りも違ってきます。表示してある賞味期限を目安に、おいしいと感じる時期をそれぞれのチーズで見つけてください。
 キッコーマンでは、ホームクッキングで「チーズ」を使ったレシピを公開しています。家庭で簡単に調理できますので、ぜひお試しください。

「チーズ」のおすすめレシピ

 

 発酵食品であるチーズとしょうゆは相性もぴったり。おいしさの相乗効果を発揮します。そのまま食べても、料理に加えても楽しめます。