Today's Menu

ごぼうの「ささがき」を
マスター!
アク抜きや保存方法も解説

きんぴらやごぼうサラダなどが定番メニューの「ごぼう」は、食物繊維たっぷりの野菜。削るように薄く切る「ささがき」という切り方も特徴です。ここでは、その「ささがき」をはじめとした基本の切り方と、保存方法、調理の際のコツといった、ごぼうのイロハをご紹介! 料理家・江口恵子さんによるわかりやすい解説と共にお届けします。ごぼう使いの達人になれること間違いなし!

ごぼうの洗い方と下ごしらえ

たっぷりの水で洗い、たわしでかるくこする

手順

1
流水、もしくは大きめのボウルに張ったたっぷりの水で洗った後、たわしでこすって皮をむく。たわしがない場合は、アルミホイルを丸めたものでこするのも良いアイデア。
2
黒く変色した部分があれば、包丁でこそげ取る。
Point

江口さん「ごぼうの魅力であるあの香りとうま味は、皮の部分に多く含まれています。強く洗いすぎたり必要以上に皮をむいたりすると、せっかくの風味が損なわれてしまうので、力を入れすぎずに短時間で済ませるのが大事です。包丁の背部分で皮をこそげとる方法もありますが、慣れないと必要以上に力がかかって味や香りを弱めてしまうので初心者にはおすすめしません。

ただし、横に入った筋の部分は汚れが落ちにくいもの。ここに土が残っていると調理しても泥臭さが残るので、特に泥付きごぼうはしっかり洗うようにして。なお、洗いごぼうの場合は皮をむく必要はありません」

ごぼうの切り方いろいろ
(ささがき、細り切り、
乱切り)

「ささがき」は、ごぼうを回しながら先をとがらせるように切る

「ささがき(笹掻き)」は、ごぼうをはじめとした細長い野菜に使われる切り方です。薄く斜めに削ぎ切られた形状が笹の葉に見えることが名前の由来です。包丁を使うほかに、ピーラーを使って皮をむくように削る方法もあります。

手順

1
【包丁を使う場合】 まな板の上でごぼうを斜めに立て、包丁で薄く削るように切る。まな板を使わず、もう片方の手で持った状態で行っても良い。ごぼうを回しながら、先をとがらせるようにして切る。
2
【ピーラーを使う場合】片方の手でごぼうを持ち、ごぼうを回しながら、先をとがらせるようにして切る。
Point

江口さん「ピーラーを使うと、包丁よりも均一で薄いささがきができます。包丁とピーラーのどちらが使いやすいかは、人によって変わるので、自分に向いているのはどちらなのか、一度試してみるといいでしょう。もし包丁を使う場合は、よく切れるものを選ぶのもコツです」

「細切り」は、切ったごぼうをさらに重ねて細く切る

手順

1
4~5cmに切ったごぼうを、幅3mmほどの板状に切る。
2
数枚を重ね、端から幅3mmほどに細く切る。

「乱切り」は、ごぼうを回しながら切る

手順

1
まな板に対して並行にごぼうを置き、斜めに包丁の刃を入れる。
2
包丁の角度は変えずに、ごぼうを回しながら切っていく。
Point

江口さん「細切りはささがきと並んで、きんぴらやごぼうサラダなどに使われる切り方です。煮物などでよく見られるのが、乱切り。表面積が広くなるので、火が通りやすいという特長があります。乱切りのとき、包丁の角度を変えない理由は、形がバラバラになってしまうから。包丁の角度は鈍角にすれば丸っこく、鋭角にすればスリムな形状になります」

ごぼうのアク抜き

最近のごぼうはアクが少なくなっているため、アク抜きが必須ではありません。むしろ長く水に浸けすぎると香りや栄養素などが流れ出てしまうので、浸けたとしても5分程で十分のようです。
写真

どうしても気になる場合は少量の酢を入れて5分ほどアク抜きを

Point

江口さん「私自身、調理をするときにアク抜きをすることはほとんどありません。ごぼうは風味が抜けると、やはりおいしくなくなるので。

ただ、どうしても気になる人や、薄味で仕上げたいときは、短時間のアク抜きを行ってもいいと思います。このとき、少量の酢を使うと変色せず白さを保てます。大きめのボウルにたっぷりの水を張り、小さじ2弱の酢を入れてアク抜きをしてみてください」

ごぼうの保存方法
(冷蔵保存、冷凍保存)

「冷蔵保存」は、ラップや新聞紙で包み立てて保存

手順

1
【洗いごぼうの場合】 皮がむかれた洗いごぼうの場合は、冷蔵室に入る長さに切った後、ラップでピシッと包んでから立てて保存しましょう。
2
【泥付きごぼうの場合】 土が付着したままの状態で販売されているのが、泥付きごぼう。こちらはラップではなく、土が付いたままの状態で新聞紙やクッキングペーパーなどで包みます。土が付いた状態にすることで湿度を保つ効果があり、畑に生えていた状態により近いので洗いごぼうよりも日持ちします。冷蔵庫内では、洗いごぼうと同様に立てて保存を。
Point

江口さん「ごぼうは乾燥が苦手。買ってきたままの状態でおいておくと、3日も経てばシワシワになってしまうので、必ずラップなどで包んでから冷蔵庫へ入れましょう。ただし、泥付きごぼうにラップは厳禁。蒸れてカビが生える可能性もあるので、新聞紙のように通気性のある素材を使うようにしてください。冷蔵保存で5~6日程度はもつでしょう」

「冷凍保存」は、クッキングペーパーなどで水分をとってから保存

手順

1
ささがき、斜め細切りなど、使いやすく切ったあと、ごぼうに付着した水分をクッキングペーパーなどで取り除く。ごぼう同士がくっつかずに凍るので、使うときにバラバラにしやすくなります。
2
ごぼうを金属製トレイに載せて冷凍庫へ。
3
凍ったら冷凍用保存袋に移し、できるだけ空気を抜いて冷凍室で保存する。きんぴら、煮物といった加熱する料理なら、解凍不要でそのまま使えて便利。
Point

江口さん「水分のある野菜なら、ゆでてから冷凍しないと解凍時に水っぽくなりますが、ごぼうは水分が少ないので生のまま冷凍できます。ただし、ごぼうサラダのように加熱しない料理に使う場合は、下ゆでした方が良いでしょう。

冷凍すると繊維が壊れて火の通りが良くなるほか、味が染み込みやすくなるのもメリット。忙しいときに便利なので、時間があるときにカットして常備しておくといいですね。冷凍保存期間だったら3~4週間程度はもつでしょう」

何もしないとシワシワに!? 保存結果を比較してみた

写真

こちらのごぼうは、いずれも冷蔵保存したもの。左から、買ってきたままの泥付きごぼう、新聞紙に包んだ泥付きごぼう、ラップに包んだ洗いごぼうです。

何もしていなかったごぼうは多くのシワが入り、いかにも乾燥した状態。思った以上に差が出るものです。

江口さん「忙しいと、包むというひと手間もついおろそかにしがち。私も何度、ごぼうをシワシワにしてきたかわかりませんが、おいしくいただくためにも正しい保存方法をぜひ実践したいですね」

ごぼうの
おすすめレシピや食べ方

「きんぴらごぼう」などの和風から「ラタトゥイユ」などの洋風まで

写真
ごぼうの定番メニューでパッと浮かぶのは、きんぴら、煮物、ごぼうサラダでしょう。日本以外では食べられることが少ない野菜のためか、和食で使われるイメージですが、江口さんによると洋風のメニューにも合うそうです。

江口さん「個人的にはトマトとの相性が抜群だと思っているので、ラタトゥイユにはよく入れますね。ごぼうが加わることで新しい触感が生まれ、香りに奥行きも生まれます。あとはみじん切りにして和風ミートソースに入れたり、ゆでたごぼうを玉ねぎと一緒に炒めてポタージュにしたり。

もうひとつ、だししょうゆやめんつゆで下味を付け、片栗粉をまぶして揚げるのもおすすめ。朝、斜め薄切りにしたごぼうをめんつゆなどに浸しておき、夕食のときに揚げるくらいのざっくりしたレシピですが、おかずにもおつまみにもピッタリですよ。

ごぼうは下ごしらえが面倒なイメージがあるのか、なかなか常備されない野菜。でも、実はいろいろなメニューに使えますし、下ごしらえのコツを知ればおいしく手軽に食べることができます。出来合いのお総菜では、ごぼうの風味が抜けていることも多いもの。生で買ったごぼうを自分で調理したおいしさには絶対かなわないので、もっと使っていただきたいですね」

ごぼうのレシピはこちら

歯ごたえも風味も格段にアップする「干しごぼう」

手順

1
水洗いしたごぼうを、斜め薄切りにする。
2
太陽光がまんべんなく当たるように、ザルなどに広げて干す(目安は1.5日程度)。
Point

江口さん「ごぼうは干すことで、よりしっかりとした触感になります。香りや味も濃くなるので、きんぴら、牛肉のしぐれ煮といった、しっかりした味付けの料理にピッタリ。

切るときはささがきでもいいですが、薄すぎると水分が抜けすぎてチリチリになってしまうので、少し厚め・大きめでカットすることを意識しましょう。なお、干し時間は、最長で3日間くらい。それ以上は水分が抜けすぎ、木の根のような食感になるのでご注意ください」

おいしいごぼうの選び方

最後にご紹介するのは、おいしいごぼうの選び方。
写真

断面に『す』が入ったごぼう

江口さん「太すぎるごぼうの断面に”す”と呼ばれる穴があると、中が空洞になっている可能性があります。また、先端が細すぎると乾燥しやすいので、極端に細いものも避けたいところ。品種によっても変わりますが、一般的なごぼうの場合は、太い部分で直径2cm前後を目安にしましょう。
写真

左のごぼうに比べ、右のごぼうは先端が細い

洗いごぼうより香りがいいのは、やはり泥付きごぼうです。とはいえ、忙しいときや気力がないときは、泥を洗い落とす作業すら億劫なもの。私もそんなときは、手間が省ける洗いごぼうを選んでいますね。そうやって両者の違いを理解した上で、状況に応じて使い分ければいいのではないでしょうか」

ホームクッキング編集担当より

食物繊維をしっかりとりたいときに思い浮かぶ筆頭の野菜であるごぼう。正しい下ごしらえをすると、その個性豊かな香りで実に風味豊かな料理が仕上がります。これはやりがいあり! 撮影現場でいただいたきんぴら(ささがき版)はさすがのおいしさでした。江口さんいわく、トマトにも合うということですから、トマトケチャップにあわせるのも抜群です。そして実は「鉛筆を削るように……」と、ささがきを説明していたころが懐かしかったりしています。(編集長S)

写真:江口恵子さん

教えてくれた人 江口恵子さん

料理研究家、フードスタイリスト、All About「家事」ガイド。インテリア&フードスタイリスト。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「ナチュラルフードクッキング」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。

撮影/金田邦男
公開:2022年2月18日

お知らせ

キッコーマン公式レシピアプリ

キッコーマン 今日の献立

●365日のおすすめ献立のほか、プロの料理家とキッコーマンレシピ開発担当による信頼のレシピをたくさん掲載
●ユーザー登録でお気に入り登録など、すべての機能が無料で使えます!

App Storeからダウンロード Google Playで手に入れよう