醤油百珍 / 第十二話

コラム

醤油雑記

杉山恒太郎

海外に行くと、誰もがしょうゆ味が恋しくなるといいます。私もその一人。
海外出張にだいぶ行ってきましたけど、ダウンタウンのお店から、
アップタウンのお店まで、キッコーマンのしょうゆが置いてあるんですよね。
あの赤いフタの「しょうゆ卓上びん」、
榮久庵さんのデザインは機能的にもいいし、なにせ可愛い。
日本の生活上のシンボルとして根付いています。
この先も、あの形はちゃんと残っていてほしいなと思う存在です。

我々の会社は、日本で初めての広告デザイン制作会社で、
カロリーメイトなどの商品ロゴデザインなどを長年担当していて、
時代によってああいったデザインも変わっていないように見えて、
微妙に見直しをし続けています。
“伝統って守るものではなく、あくまで作っていくもの”。
デザインやクリエイティブを生業にする中で、
いつもそんな気持ちで向かっています。

しょうゆで浮かぶ料理といえば、
ランチでよく行く銀座 圓(まる)の焼き魚定食がお気に入り。
脂が乗った炭焼きの鯖にしょうゆをたらして、
白ご飯少な目、味噌汁は(こっそり)多め。
この会社がある銀座は、「いつもの」って言わなくても、
そんなふうに出してくれる粋な土地。
裏通りには路地がいっぱいあって、路面店が残っていて、実はとてもローカルな場所。
航空写真を見ると、実は盆地のようになっているから、
私は「銀座盆地」なんて呼んでいます。
銀座にはおいしい店が山ほどあるけれど、
寿司、肉、洋食、結局どれもしょうゆがいい仕事をしています。

何を隠そう、私の先祖は堺の麹屋です。
しょうゆ、味噌、酒も作れるから、麹ってダイヤモンドのように価値がある。
そんなわけで、私自身には生来の「発酵」の遺伝子がある気がしています。
発酵という概念や、英語の「fermentation」という言葉も好き。
人って、頭の中でいつも概念とか言葉とかをいつも発酵させていますよね。
「いい案が突然出てきた!」なんて言い方もあるけれど、
きっとそれは気になったものがいつの間にか頭の中で発酵して
「おいしいものができあがり!」って生まれでたもの。
アイディアもしょうゆも発酵してうまくなる。
そんなところで、御後(おあと)が宜しいようで。ぺペンペン!

杉山 恒太郎(クリエイティブディレクター)(すぎやま こうたろう)

大学卒業後、電通入社。取締役常務執行役員等を経て、2012年ライトパブリシティへ移籍、15年代表取締役社長就任。主な作品に小学館「ピッカピカの一年生」、サントリーローヤル「ランボー」、AC公共広告機構「WATER MAN」など。国内外受賞多数。

今月の百珍

夏野菜で涼を納る

だしかけ冷奴

太陽の光をたっぷりと浴び、ぎゅっと栄養が詰まった旬の夏野菜。
しょうゆと鰹節でさっと和え、ひんやりと冷たいお豆腐に乗せる。
暑さ厳しい日々にさっぱりと召し上がれる一品です。

【材料】

2人分

  • 茄子 ¼本
  • きゅうり ½本
  • みょうが ½個
  • 白ネギ ¼本
  • みょうが ½個
  • おくら 2本
  • 大葉 3枚
  • めかぶ 1パック
  • 生姜 適量
  • こいくちしょうゆ※ 15ml
  • 鰹節 2g
  • 絹ごし豆腐 1丁

※こいくちしょうゆは「生醤油 一番しぼり」がおすすめです。

【作り方】

  1. 茄子は水にさらし、あくを抜く。​
  2. きゅうりの水気を抜くために、縦に1/4カットして、種の部分を切り落とす。
  3. なす、きゅうり、白ネギは全て5㎜角にする。
  4. おくらは5mmに輪切り、大葉、みょうがは5mm千切りにする。
  5. 生姜はおろし金ですりおろす。
  6. カットした野菜とめかぶ、生姜、鰹節、しょうゆで合わせだしを作り、豆腐にかける。

イラスト / マメイケダ