キッコーマン食文化講座

大豆の栄養 ~畑のお肉「大豆」について~

日程 2012年10月25日
場所 野田本社
講師 大島秀隆先生
主催 キッコーマン国際食文化研究センター

私たちに必要な栄養素にはたんぱく質、脂質、糖質、食物繊維、ミネラル、ビタミンがあり、たんぱく質、脂質、糖質は三大栄養素と呼ばれています。

たんぱく質は筋肉、髪、爪などの成分となり私たちのカラダに20%程度含まれています。酵素やホルモンなどもたんぱく質で作られています。たんぱく質はアミノ酸が多数つながった構造をしています。ヒトのカラダに含まれるたんぱく質は20種類のアミノ酸から作られています。この20種のうち9種類はカラダの中で作ることができない「必須アミノ酸」と呼ばれています。必須アミノ酸は食事から摂取しなければなりません。脂質はヒトのカラダに15%くらい含まれています。

脂質は脂肪酸から構成されていてカラダの中で作ることができない「必須脂肪酸」が存在します。植物油脂に多く含まれるリノール酸、リノレン酸などです。これらは食事から摂取しなければなりません。大豆にはたんぱく質含有量が多く、必須アミノ酸がバランス良く含まれています。また、大豆油にはリノール酸、リノレン酸といった必須脂肪酸が含まれています。脂質は細胞膜の材料となったり持久的なエネルギー供給源として体内に蓄えられます。

糖質はブドウ糖に代表される単糖類を基本構造とした化合物です。カラダの中には1%程度しか存在せず、瞬発性(即時性)のエネルギー源として利用されます。血中に余分な糖質があった場合にはグリコゲンや脂肪に形を変えて蓄積されます。

これらの三大栄養素はそれぞれ役割が異なるためバランス良く摂取することが重要です。また食品の原料によっては成分構成が偏っている場合もありますので、足りない成分をそれぞれで補う組み合わせの食事が望ましいです。例えば動物性と植物性をバランス良く摂るとか、穀類と豆類との組み合わせでアミノ酸バランスを整えるなどです。

国民栄養調査結果で1975年からの動植物たんぱく質摂取バランスを見ると、年々、動物性たんぱく質の摂取比率が高くなってきていることがわかります。動物性のたんぱく質摂取比率の上昇は同時に動物性脂質(コレステロールなど)の摂取も多くなってきていることが示唆されます。

カルシウムの摂取状況も深刻です。カルシウムは成長期の健全な骨の形成や神経伝達物質としても必要な成分です。特に骨の形成は20歳代までがピークでそれ以降は加齢とともに骨量が減少していきます。女性の場合は閉経後のホルモンバランスの崩れにより男性よりも骨量減少が激しく、骨粗鬆症になりやすいのです。ですから、若いうちにしっかりとカルシウムを摂取し、日光の下で運動をすることで健全な骨を作ることが大事です。40年後の自分のためにも。大豆に含まれる大豆イソフラボンは女性ホルモン(エステロゲン)と構造がよく似ているため、ホルモンバランスを整える働きについての研究が進められています。