キッコーマン食文化講座

豆乳について ~豆乳の作り方や種類について~

日程 2013年1月25日
場所 野田本社
講師 大島秀隆先生
主催 キッコーマン国際食文化研究センター

日本では1981年に清涼飲料として「豆乳」が日本農林規格(JAS)として規格化されました。それ以前にも豆乳は飲まれていましたがその風味や喉ごしが受け入れられず、豆乳市場は大きくなりませんでした。1979年、当時の株式会社紀文は大豆臭を抑える技術を開発し、よりおいしい豆乳を作って市場に参入しました。当時、食生活の欧米化により体内環境が酸性化していることが話題となり、豆乳は「飲むアルカリ」として人気でした。

日本農林規格の「豆乳類」は、含まれる大豆固形分と原材料によって3つの区分に分けられました。「豆乳」は大固形分が8%以上のもので(基本的に)大豆と水だけから作られたものを言います。無調整豆乳や豆乳という名前で販売されている商品はこれに当たります。「調製豆乳」は大固形分が6%以上のもので「豆乳」に調味料(油脂、砂糖、塩など)を加えたものです。「豆乳飲料」は「調製豆乳」に風味原料(コーヒー、紅茶など)や果汁を加えたものです。

豆乳は大豆を浸漬したのち磨砕しオカラと豆乳を分けて作ります。それぞれの工程でメーカー各社のノウハウが詰まっています。豆乳の大豆臭を抑えたり、喉ごしをよくするためにはこれらの工程の様々な条件を細かく管理することが必要です。

1983年、さらに大豆の健康イメージによって豆乳の人気が高まりました。豆乳市場は117千kLになりました。(1979年は8千kL)しかしこの年には参入企業が増え、様々な品質の豆乳類が出回り「おいしくない豆乳」によって人気が落ち込みました。その後、残ったメーカーは風味や喉ごしの改善を研究しました。私たちは1997年ごろから大豆臭を抑えた「おいしい豆乳」を開発しました。これと平行してお店の売場棚でも豆乳コーナーを作り、お客様の目にとまりやすい売場作りをしました。この2つの努力により豆乳市場は徐々に大きくなっていきました。2000年になると大豆イソフラボンが注目され、豆乳市場はさらに拡大し、2005年には217千kLを記録しました。現在、2011年、2012年と過去最高を更新中です。(2012年=256千kL)

豆乳は世界各国で飲まれています。単純計算で算出した国民一人あたりの1年間の消費量が最も多い国(2011年データ)は、香港で16.8Lです。ちなみに日本は2.0Lでした。大豆を食べないアメリカでも1.7Lで日本と変わりません。お隣の韓国では4.8Lで日本の2.4倍です。アジア圏では豆乳の消費量が多く、日本はまだまだ少ない方です。

私たちは多くの方に豆乳を飲んでいただきたいと思っています。そこで「豆乳」と意識せずに気軽に飲んでいただけるような商品も開発しています。2013年3月現在で26味種の豆乳類を発売しています。日本の豆乳市場は牛乳市場の5~6%程度と小さいのです。何年か先には牛乳みたいに当たり前のように冷蔵庫にあって欲しいと願っています。