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過去の展示

四季を巡る江戸庶民の行事と暮らし
秋 重陽
秋 重陽 9月9日は陽数の極である「九」が重なるとし「重陽」といい、又「重九」ともいう。延命長寿の効力があるという菊を浸した酒を飲み、邪気を祓うという中国の風習が、平安時代に宮中の行事となり、武家、民間に伝わった。
菊といえば日本および日本人と、欧米人は連想するようだが、原産は中国である。
春の桜と並んで秋の菊はことのほか江戸の人に愛でられ、菊見と菊作りの人気は異常なほど高かった。駒込から巣鴨、染井にかけての植木屋は30~40軒、白山近辺から千駄木、根津あたりで81軒がこぞって菊を並べ、菊人形などの作りものを競った。婦人や子供達には容易に見ることが出来ぬほどの混雑ぶりで、道路には見物客目当ての茶店、菓子店、飯店、蕎麦屋等が俄かに出現して大いに賑わったという。
菊を食べることは室町時代頃から始まったようで江戸時代最初の刊本である『料理物語』(寛永20年・1643年)の「青物の部」をみると菊の花は「さしみ」によしとあり、そのほか牡丹の花、芍薬の花、くちなしの花、萱草の花、のうぜんの花、忍冬の花などもさしみ、酢合え、煮物などにしており、花を食べる風習は古くからあったことがわかる。
菊酒/植木屋の菊見物
重陽