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過去の展示

四季を巡る江戸庶民の行事と暮らし
春 初市 薮入り
春 初市 薮入り 2日は初市が立つ。商家も初売り、初商いである。江戸では日本橋に魚河岸があり、江戸前はもとより、房州(千葉県)、相州(神奈川県)などから魚が集まり、一日千両の商いありと威勢がいい。青物市場は神田にあり、「神田須田町の八百屋もの、毎日の大根、里馬に付つきて数万駄見えけるは、とかく畠のありくがごとし」と井原西鶴は『世間胸算用』(元禄5年・1692年)で活写している。
縁日とは神仏の降誕、示現などの縁の日をいい、この日に法要、供養を営み、その神仏を念じれば特別のご利益があると信じられていた。江戸はとりわけ神社仏閣が多く毎日どこかで縁日が立ち、夜ともなれば商いや仕事を終えた庶民たちの息抜きの場となり、遊技や飲食を楽しんだ。1月は全て初縁日となるわけで、浅草蔵前や小石川富坂の閻魔堂などは参詣人が引きも切らぬ有様で大いに賑わった。

「正月十六日、七月十六日は丁稚奉公の藪入日なり。工商とも十三、四歳より工を覚え商を習はんと、良工、良商を選び、奉公に出づ。これを丁稚小僧といふ。年期はおよそ十ヶ年なり。この丁稚達、例年正月十六日の藪入りには主人より衣類万端を与えられ、小遣銭を貰ひ己が親許へ行き、まづ両親を始め兄弟に相会し、墓参より親類の音信をすませて日暮れまで心のままに遊ぶ。遊ぶ所は数ありて好み従うべくも、十中八九までは芝辺の親許は芝増上寺山内、上野辺は上野東叡山内、浅草は観世音浅草寺奥山等とす」(『江戸府内絵本風俗往来』―明治38年・1905年)とあるが7月の盆の藪入りが加わるのは元禄年中からという。ちなみに藪入りの語源は奉公人の多くは藪深い田舎から来ていることから、又、宿下りの転ともいう。
日本橋魚市
雑煮/日本橋魚市
日本橋魚市
初市 藪入り