トップ > 館内展示 > 過去の展示一覧  > 洋食 欧米食と和食との融合

 

過去の展示

洋食 欧米食と和食との融合

和洋折衷料理
「和洋折衷料理」の代表選手といえば「肉じゃが」。この肉じゃがはわが家の自慢料理、人気料理として常にトップの座を独り占めにしている。ところでこの肉じゃがであるが、家庭惣菜として登場するのは、昭和48年に出版された『おふくろの味』まで待たなければならない。この「折衷料理」という言葉がよく使われるようになるのは明治30年代終わり頃のことである。それはお菓子の世界にも波及して『日本百科大辞典』(三省堂―明治43年)に折衷菓子として「ジャスミン餡最中・レモン最中・チョコレートおこし」などが紹介されている。さらに翌年に出た『洋食の調理』は総ページ280ページのうち100ページ近くを折衷料理が占めている。折衷料理には、「牛肉の五目煮」「肉じゃが」のように洋風材料を純和風調味料で仕上げたもの。「鶏のつけ揚げ」のように醤油など在来の調味料で調理しながらスープや洋がらし、胡椒などといった洋風調味料を加えたもの。「茄子のから揚げ」のように材料だけ日本のもので、作り方や調味料に洋風を使ったものなどあって幅広い。この折衷料理は大正の終り頃「合いの子皿」とも呼ばれ一品洋食屋の人気メニューになったこともある。そしてやがて洋風弁当へと移行する。「牛丼」「ビフテキ丼」「カレー丼」「カツ丼」そして「トンカツ」・・・日本の料理人の知恵から花開いた「知恵の結集」である。
もしも日本の食卓にこの折衷料理がなかったら、今日の食卓は成立しなかったことも確かである。
折衷菓子(『日本百科大事典』) 大正初め頃のトンカツ屋の店先(『にっぽん洋食物語』)新潮社
折衷菓子(『日本百科大事典』)
三省堂
大正初め頃のトンカツ屋の店先
(『にっぽん洋食物語』)新潮社
和洋折衷料理
コロッケからカツレツそしてトンカツまで