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過去の展示

KIKKOMANのおいしい挑戦~アメリカ進出50周年~

アメリカ進出50周年-その足跡の検証
アジア・オセアニアにもいい味と香りのロードが

オーストラリアの市場開拓と飛躍

オーストラリアでは、1977年(昭和52年)に現地の輸入販売代理店と契約したところ、販売量が急ピッチで増大しました。1978年(昭和53年)には300キロリットルとドイツへの輸出量より多く、ヨーロッパ諸国への輸出量合計の40%弱に相当したのです。
市場調査によると、(1)牛肉、羊肉の摂取量が多く、(2)1人年間平均7回バーベキューを行なっており、家庭単位の消費量はアメリカを上回る可能性がある、(3)海産物が豊富、などの理由で、しょうゆ需要の伸びが期待されました。
1978年(昭和53年)にアデレードで始めたテレビ広告を1979年(昭和54年)にはシドニー、メルボルン、ブリスベーン、1980年(昭和55年)には西部のバースでも実施し、「オーストラリアに新しい味をもたらすキッコーマン」という広告が各地で放映されました。

こうしたしょうゆ需要の高まりを背景として当社は、1980年(昭和55年)に現地法人「Kikkoman Austoralia Pty Ltd.」(KAP)を設立し、同年7月から駐在員を派遣しました。そして婦人向け雑誌などにも広告を掲載する一方で、国内の日本への関心の高まりから、日本料理の特集番組をテレビ局が制作・放映するようになり、5年後の1985年(昭和60年)には事務所開設当時の輸出量の3倍近くにまで市場が拡大しました。
西サモア・ソロソロで。食事の支度か缶入りのキッコーマンしょうゆを手にしている(1963年)

西サモア・ソロソロで。食事の支度か缶入りのキッコーマンしょうゆを手にしている(1963年)

1984年、味の国際ハイウェイの起点シンガポール工場設立

1980年代、ヨーロッパとオーストラリア向けの輸出は順調に伸びましたが、日本からの海上輸送コストが採算を圧迫する問題を抱えることになりました。地球規模から見てどちらの市場もカバーする工場を、また市場としても成長が見込める地域につくるという方針で検討した結果、シンガポールが候補に上がりました。東南アジア市場も視野に入れた「多国籍市場型工場」として計画されたのです。シンガポールは自由港で輸出入商品は原則として課税されず、当時は関税の優遇措置などの利点もありました。
「キッコーマン・シンガポール工場」(KSP)は1984年(昭和59年)にマレーシアとの国境近く、セノコ工業団地に設立され、85年から本格的な出荷をスタートさせました。
「国際食文化の交流に貢献する、味のインターナショナル・ハイウェイの新たな起点」として、生産量の10%が地元で消費され、残りをヨーロッパ、オーストラリア、東南アジア諸国に輸出されました。
1990年(平成2年)には「Kikkoman Trading Singapore」(KTS)を設立し、フィリピン、タイ、インドネシアなどアジア地域で本格的な営業活動を始めました。オランダ工場の設立でヨーロッパ向け出荷がなくなりましたが、新製品の開発などにより生産量は回復し各地域に合わせた各種調味料を製造。アジア、オセアニア、南洋諸島など35か国に輸出をしています。
1984年キッコーマン・シンガポール工場が完成。味の国際ハイウェイの生産拠点として活躍している

1984年キッコーマン・シンガポール工場が完成。味の国際ハイウェイの生産拠点として活躍している

1990年、現地の企業と合弁で台湾工場設立

台湾では現地総合食品会社「統一企業有限公司」との合弁会社「統萬股有限公司」(PKI)を設立し、1990年(平成2年)から出荷を開始しました。当時、台湾のしょうゆは80%がアミノ酸液混合しょうゆで、日本から輸入の本醸造しょうゆは高価なものだったのです。設立から10年でPKIは台湾でナンバーワンのしょうゆメーカーとなり、亀甲萬ブランドのしょうゆは2001年度には出荷量1万キロリットルを突破しました。2006年(平成18年)には統一ブランドとあわせ2万6千キロリットルに増えました。
1990年に開設された台湾工場(PKI)

1990年に開設された台湾工場(PKI)

2002年中国工場設立

中国大陸へのキッコーマンブランドのしょうゆは、主としてシンガポール工場から輸出され、高級ブランド品として認識されていました。中国でのしょうゆ総生産量は500万キロリットルと推定され、その市場規模の中で、高級しょうゆの需要層は人口の約1%。しかし、近年の経済発展にともない、特に発展の目覚しい華東地域では生活のレベルが豊かになり高級品志向が高まることが予想されました。
そして、2000年(平成12年)江蘇州昆山市(上海近郊)に台湾と同様に統一企業有限公司と合弁で「昆山統萬微生物科技有限公司」(K-PKI)を設立し工場を建設。2002年(平成14年)5月、キッコーマンブランドのしょうゆの出荷を開始しました。
2002年キッコーマンと統一企業との合弁で、中国・昆山市に設立された「昆山統萬微生物科技有限公司」

2002年キッコーマンと統一企業との合弁で、中国・昆山市に設立された「昆山統萬微生物科技有限公司」
アジア・オセアニアにもいい味と香りのロードが