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日本デルモンテ、植物ワクチンを利用して
リンドウのウイルス病を軽減する方法を実用化。
多年生植物では世界初!

2002年7月 News Release 号外

 キッコーマン株式会社のグループ会社である日本デルモンテ株式会社(本社:東京都中央区、社長:西山 覚次)は、リンドウに大きな被害を及ぼしているウイルスに対し、自然界から分離した性質の弱いウイルスを植物ワクチンとして利用する方法を開発し、このたびその実用化に成功しました。多年生植物での実用化は世界で初めてのことです。
 これは岩手県安代町立安代町花き開発センターと共同で研究したもので、この成功により、リンドウの収穫量の増加や、栽培期間の延長、農薬散布を抑えることによる生産者の経済面や環境保全への効果が期待されます。

トマトで培った植物ワクチン技術
 日本デルモンテは、加工トマトに大きな被害を及ぼす植物ウイルスの一種であるキュウリモザイク・ウイルス(Cucumber Mosaic Virus 以下CMVと略す)の防除方法について、これまで研究を続けてきました。ジュースやケチャップの原料となる加工トマトは、CMVが感染することによって、果実品質が悪くなり、トマトの収量も少なくなり、トマト農家も製造業者もCMVの防除対策に非常に頭を悩ませていました。
 十年余りの研究を通して、日本デルモンテは、農薬を使わずに、自然界から分離した性質の弱いウイルス(以下、植物ワクチンと呼ぶ)をトマト苗に予防接種することによってトマトをCMVから守る方法を開発しました。
 植物ワクチンは、その成分にウイルスの増殖を抑える作用があるサテライトRNAと呼ばれる物質を持っており、苗にワクチンを予防接種すると、サテライトRNAが植物の体内で増えるため、強毒のウイルスが侵入してきても、サテライトRNAが強毒ウイルスの増殖を抑え、植物はウイルスから守られます。

リンドウへの応用
 日本デルモンテで開発した植物ワクチンの技術は、これまで加工トマト、生食トマト、ピーマン、パプリカなどで実用化されています。これらの植物はいずれも1年生植物であるため、春に種子をまき、発芽してきた苗に植物ワクチンを接種します。植物ワクチンの効果は、植物が枯れるまで持続しますが、枯れた後の種子には伝わりません。そこで1年生植物では、毎年苗にワクチンを接種する必要があります。

これに対して多年草であるリンドウは、冬になると枯れますが、地際部にある芽(越冬芽)は枯れずに冬を越し、翌春には再び芽が出て花を咲かせます。したがってリンドウでは、種子を4~5年に一度まけばよく、同じ圃場に4~5年間連続して栽培できます。リンドウの植物ワクチン研究で最大の問題は、苗に一度ワクチンを接種すると、その効果が4~5年間リンドウと共に持続できるかどうかでした。

 リンドウの研究は8年前から、日本で最もリンドウの生産が盛んな岩手県安代町立安代町花き開発センターと取組んできました。同センターの協力を得て、植物ワクチンを接種した苗を、5年間連続して同じ圃場で栽培し続けた結果、植物ワクチンを接種した圃場のリンドウは、ウイルスによる被害が少なくなり、植物ワクチンの効果は栽培年数が長くなるにつれて顕著となりました。栽培期間(5年間)全体で、リンドウの切花収穫本数は、植物ワクチンを接種した圃場では約10%増えることが分かりました。栽培を継続すると、その効果はさらに大きくなるものと思われます。
 このことによって、リンドウ苗に植物ワクチンを一度接種すると、植物ワクチンも冬の間はリンドウの越冬芽の中で冬を越し、春の萌芽とともにリンドウの体内で増え、リンドウを毎年CMVから守ることが分かりました。
 植物ワクチン接種によって、リンドウの収穫量が増えるとともに、栽培期間が1年間延長できることも実証されました。技術的にはさらにもう1年延長できると考えられます。栽培期間を2年延長できること、さらにウイルス防除のための農薬の散布も3~5割程度減らすことができることで、農家の生産コストを下げられることが期待されます。

 リンドウでの植物ワクチンの実用化の意義は、技術的、経済的な面でたいへん大きいと考えられます。これまで1年生植物でしか実用化されてこなかった植物ワクチンの技術を、ウイルスの被害のもっと深刻な多年性植物に広げることができたことは、今後この技術がさらにいろいろな植物に応用できる可能性を示すものです。

<日本デルモンテ株式会社 会社概要>


社 名: 日本デルモンテ株式会社

設 立: 1961年(昭和36年)7月1日

資本金: 9億円

代表者: 取締役社長 西山 覚次(にしやま かくじ)

本 社: 東京都中央区日本橋小網町4番13号

以上



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