セーヌの風に
吹かれて
各国の文化や技術が集い、国内外問わず多くの人で沸き立った大阪・関西万博。キッコーマンは、千葉県ブースの一角に居を構え、食の視点から日本の文化を伝えてきました。100年以上前の1873年には、ウィーン万博にしょうゆを出展するなど、万博と私たちには古くからの縁があります。1900年に開かれたパリ万博では金牌を受賞。しょうゆの評価を通して、日本の食文化を伝える取り組みは、この頃まで遡ることができます。
金牌受賞の地、フランス・パリへ
私たちは、2025年9月13日にパリのユネスコ本部で開かれた「Revisiting the Garden of Peace by Isamu Noguchi」との複合的イベントにおいて、「万上 流山本直し」をゲストに振る舞う機会に恵まれました。このイベントは、各国の大使やユネスコにゆかりあるゲストが集い、著名な彫刻家・造園家 イサム・ノグチが手がけた「平和の庭園(Garden of Peace)」の修復を祝う、セレブレーションイベントです。アートインスタレーションやダンスパフォーマンスなども行われる華やかな場とともに、日本の知られざる食文化の展示「Grandes Rencontres Japonaises, les traditions de demain|日本の大寄せ会 これからの伝統になるものたち」が展開され、流山本直しを通じて、ゲストたちに日本の食の奥行きを感じていただくことができました。
*Revisiting the Garden of Peace by Isamu Noguchi
https://www.unesco.org/en/articles/revisiting-garden-peace-unesco-living-legacy-isamu-noguchi
流山本直しを試飲された方からは、「とても美味しい」「滑らかな甘みで上品な味」「普段はお酒をあまり飲まないけど、これは日常的に飲める」などのコメントいただきました。「西麻布Cocktailante Oboro」のオーナー山川さんがおっしゃったような、流山本直しの酒精のよさ、抜けがよい米由来の甘さが、パリの人々の舌に合ったのではないかと、私たちは考えています。近年フランスを中心として日本の梅酒が人気を博していますが、梅酒やデザートワインとともに、食前酒として流山本直しが並ぶ日が来るかもしれません。
流山本直しを試飲いただいている様子
オーセンティックバーで、
本直し検分
マレ地区にある「Bar SAKA」のオーナーFrédéric Paoliniさんは、日本発ブランドがパリで営むバーの責任者を務めた後、独立してお店を立ち上げられました。縁を辿って、そのBar SAKAを訪れ、Paoliniさんに流山本直しの試飲と実際にカクテルを作っていただきました。
下はオーナーのFrédéric Paoliniさん
Paoliniさんは、流山本直しを以下のように評します。
—「万上 流山本直し」は甘美さと上品さが際立ち、カクテルに取り入れることで砂糖の代わりとして使えるだけでなく、クラシックなレシピに独自のニュアンスを加えてくれると思います。
実際に作っていただいたカクテルには、オレンジやマスカットなどのリキュールやライムなど、果実を使った素材が使用されました。爽やかな果実の香りにはじまり、流山本直しの後残りしない甘みと柑橘の苦みがマリアージュした、均整のとれた味わい。日本でも働いた経験のあるオーナーのシンプルさを極めた空間に、流山本直しの特徴を生かしたカクテルが溶け合い、上質な時間の流れを感じられました。
流山本直しを使ったカクテルを作っていただいている様子
食文化の可能性を開く
亀甲萬本店は、”天下一品の誓い”の中で、「粋」(品質へのこだわり)、「印」(あくなき製造技術の探究)と並んで「開」を掲げています。その心は、江戸の食文化を支えたはじまりの時代から、日本の、そして世界の食文化へと、可能性を開いていくことにあります。今回パリで多くの方からいただいた感想や反応は示唆に富み、私たちの、そして日本の食文化の可能性を感じざるを得ません。
私たちが取り扱う商品には、個性豊かなしょうゆから、だしを生かすつゆに白みりんまで、ざまざまな調味料やお酒があります。これらを手に、これからも消費品の楽しんでいただき方や食文化と親しんでいただくシーンを描き、より一層多くの皆さまに提案していきたいと考えています。
編集後記
ユネスコ本部でのイベントの翌日、きもの専門店「やまと」のパリ常設展「KIMONO ARCH / Y. & SONS in Paris」内で、亀甲萬本店ほか日本の食文化を伝えるブランドの皆さんと共同でイベントを開催しました。ユネスコの来訪者と異なり、お越しになった方は街のパリジャン・パリジェンヌたち。日本料理屋を営む方やメディア関係者も来訪し、初めて味わう「流山本直し」や、同時展示の「亀甲萬本店 御用蔵」に多くの関心を寄せていただきました。
ユネスコ本部でのイベントに、街中のイベント。どちらにおいても、新鮮さと驚きの反応をあったことは一考に値します。和食や日本というフィルターを外してみることで、食文化の奥行きやひとつの商品の特徴が浮かび上がり、今までとは違う見立てや味わい方が洞察されるのではないでしょうか。まだ知られざる日本の食文化、そして私たちの商品の新たな可能性を感じられるパリ訪問と総括して、パリ紀行の締めくくりとします。