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広がるしょうゆの世界 ~多彩なしょうゆを知って、明日からの食卓を変えよう~

東京本社 2017年9月30日

概要

講師

杉村啓先生

 みなさんの家には、何種類のしょうゆがありますでしょうか?
 一般的には、関東の家庭では1種類か2種類が多いと思われます。でも、地域によってはこれが異なるのです。例えば関西の家庭では、もっとたくさんのしょうゆを用意していて、複数種類を使い分けることが多いのです。
 こういった違いは、関東で主に使われている調味料が万人受けするように進化してきたことがあるでしょう。東京へは全国から人が集まります。異なる味で育ってきた人達を全員満足させるべく進化してきたのです。これは濃口しょうゆだけではなく、ソースやポン酢しょうゆも、関東ではあまり多くの種類が使われておらず、定番と言われるものがあることからも見て取ることができます。つまり、どれもこれも美味しすぎるため、他の調味料にあえてチャレンジする必要がない環境にあるのです。
 ですが、世の中が多様化し、さまざまな進化を遂げているように、調味料もまた進化を続けているのです。定番だけではなく、他のものを試していくうちに、もっと自分にぴったり合う調味料が見つかるかもしれません。
 そもそもしょうゆは1種類だけではありません。多く使われている濃口しょうゆ以外にも、淡口しょうゆ、たまりしょうゆ、さいしこみしょうゆ、白しょうゆ、そしてだししょうゆなどのしょうゆ加工品など、たくさんの種類があります。確かに濃口しょうゆは美味しすぎる調味料ではありますが、他のしょうゆにもチャレンジしてみると、意外な味わいを見つけ出すことができるかもしれません。

 そこで今回は、複数種類のしょうゆを実際に味わっていただきました。上記に挙げたうち、淡口しょうゆと白しょうゆに関しては、そのまま味わうのではなく調理に使うと真価を発揮するものが多いため、濃口しょうゆ、たまりしょうゆ、さいしこみしょうゆ、しょうゆ加工品を用意しました。
 濃口しょうゆは弓削多醤油の『しぼりたて』の生揚しょうゆ。これは通常の生しょうゆとは異なり、濾過で微生物を取り除くこともしない、しぼったそのままのしょうゆです。いわゆる「もろみ」の風味をたっぷりと感じることができるしょうゆです。
 山川醸造の『漆黒』は、たまりしょうゆの中でもめずらしいたまりダシしょうゆ。たまりしょうゆは濃口しょうゆに比べて、原材料の大豆の比率が多く、濃厚な旨味を持つしょうゆです。慣れていないとそのまま味わうには旨味が強すぎるので、今回は使いやすい、ダシ入りのたまりしょうゆを用意してみました。
 さいしこみしょうゆとしては、キッコーマンの『二段熟成丸大豆生しょうゆ』を用意。塩水の変わりにしょうゆ(生揚しょうゆ)を使って仕込むことから、原材料も醸造期間も二倍かかる贅沢なしょうゆです。濃口しょうゆに比べると塩分が低く、旨味が強く、まろやかな味わいを持っています。
 しょうゆ加工品としては、同じくキッコーマンの『サクサクしょうゆ』という変わり種を味わっていただきました。フリーズドライのしょうゆフレークやフライドガーリックの香ばしさと食感が特長の、食べるしょうゆです。
 それぞれ味わいが違うし、向いている料理も全く違うということがわかっていただけたのではないかと思います。『しぼりたて』はもろみのような風味の良さを活かしてつけしょうゆやかけしょうゆとして味わうと、よりしょうゆをしっかりと感じられます。加熱して調理に使っても香りが広がります。『漆黒』は濃厚な味わいを活かして、アボカドやピーマンの肉詰めにいいでしょう。『二段熟成丸大豆生しょうゆ』は普段使っている濃口しょうゆの変わりに使うと、上品な旨さや風味を加えることができます。『サクサクしょうゆ』はサラダなどにかけるほか、マヨネーズと和えたりしても美味しいです。

 もちろん他にもしょうゆはたくさんありますし、全て味わいが違います。値段も、何万円もするようなものはありません。高くても1000円ぐらいで済みますし、大半のしょうゆはもっと安く手に入ります。それだけで、今までの料理がガラッと変わる可能性を秘めているのです。しょうゆを集めて、使い分けていくことによって、食卓はどんどん豊かになっていくのではないでしょうか。

以上

2017年9月30日
キッコーマン国際食文化研究センター