覚えておきたいお正月の基礎

おせち、お屠蘇など、お正月のしきたりには、健康や豊穣など、人々のさまざまな願いがこめられています。
お正月の意味を知ると、日本の伝統が見えてきますね。

おせち

1年に5回ある節句の供え物の野菜でつくった煮しめが、正月に限られるようになり、現在のような形に発展しました。
外が黒塗り、内が朱塗りの四段重が正式で、一の重は口取り、二の重は焼き物、三の重は煮物、四の重は酢の物を入れるとされています。かつては、日頃台所で立ちはたらく女性を正月くらいは休ませようという配慮から、つくり置きのきく料理が中心でした。

お屠蘇(とそ)

新年を祝うもので、肉桂、山椒、桔梗、防風など7種類の生薬を配合した屠蘇散を酒、みりんに浸してつくります。中国、唐の時代に始まった習俗で、日本には平安前期に伝わりました。年長者が若者の生命力にあやかる、という意味を込め、年齢の若い順に飲むとされています。

祝い箸

お正月など、ハレの日には両端が細くなっている白木の箸を使います。これには一方を自分が使い、もう一方に神様が宿るという意味が込められています。箸袋に名前を書くのは、神様に守っていただけるよう願いを込めたものです。

鏡開き

1月11日にお正月に飾った鏡餅を下げて、雑煮や汁粉、揚げ餅などにして食べる行事です。固くなった餅を「割る」や「砕く」とはいわず、「開く」という縁起のよい表現を使います。また、刃物で切らず、金槌などでたたいて割ります。

小正月

元日を中心とした「正月(大正月・おおしょうがつ)」に対し、1月15日を「小正月(こしょうがつ)」といいます。年末から忙しく立ち働いた女性が一休みできる日なので「女正月」ともいわれています。小正月には、豊作や養蚕を祈る行事が行われます。竹柳の枝先を稲穂に見立て、門前などに飾ったり、餅でつくった「まゆ玉」を神棚にお供えする地方もあります。1年の無病息災を願って小豆粥を炊くことも行われます。
左義長(さぎちょう)やどんど焼きも小正月の行事のひとつです。田などに竹を組んで門松や注連(しめ)飾り、書き初めを持ち寄って焼き、その火で焼いた餅などを食べます。書き初めを焼いた時に炎が高く上がると字が上達するともいわれています。

お雑煮

もともとは大晦日に神様にお供えしたものを、元旦に「神様と一緒にいただく」というもの。お供え物は各地域の産物であったので、お雑煮の具は地方によりさまざまです。

大服(おおぶく・だいぶく)

正月、元旦に、梅干や昆布、山椒などを入れたお茶を飲む風習です。大福とも書きます。