さんまの塩焼き

多めの塩と油が決め手です
フライパンでもおいしい塩焼きに

さんまには2つの特徴があります。1つ目は内臓(わた)ごと食べられる魚であること。食道と腸がつながっていて胃がないために、くさみの原因になるエサなどが体内にとどまっておらず、まるごと食べてもおいしいのです。こうした魚を「無胃魚」といいます。いわし、トビウオ、鯉、フナなども無胃魚です。2つ目は青魚であること。青魚の脂は加熱によって酸化しやすく、これは魚くささにつながります。

内臓ごとおいしく食べるために大切なのが、焼く前に塩をしっかりふって、しばらく置くことです。切り身の魚と違って皮に覆われている丸魚は、ゴシゴシ塩を擦りつけても塩がしみ込みません。多めの塩をふり、時間をおいてしみ込ませる必要があります。塩が浸透すると余分な水分がぬけ、身や内臓が締まり、皮も破れにくくなります。内臓が締まることで焼いているときに流れ出ず、味わいもよく、きれいに焼き上がります。

青魚の脂のくささは、油を使って焼くことで軽減できます。油で脂を薄めながら焼くイメージです。その点でフライパン焼きはメリット大。油のおかげで皮もパリッと焼き上がり、フライパンににおいもほぼ残りません。

  • ●塩をしっかりふる
  • ●焼く前に、しばらく置く
  • ●フライパンを使って油で焼く

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2人分

  • さんま…2尾(300g)
  • 塩…小さじ1
  • サラダ油…小さじ2~大さじ1
  • 大根おろし…200g
  • レモン(くし切り)…適宜
  • キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ…適宜

つくり方

1. さんまを洗う

さんまは冷たい水で洗って水気をふき取る。

汚れを洗い流します

丸魚は塩水や氷の入った発泡スチロールの箱などにザッと入れられて流通することが多く、皮に汚れや雑菌がついています。はじめに、きれいな氷水などの冷たい水で洗い、汚れを取りましょう。さんまはうろこがはがれやすく、水揚げされたときにうろこは摩擦などで自然にはがれますが、残っていることがあるので、あれば一緒に洗い流します。

2. 斜めに切る

腹びれの後ろから、斜め45度に、半分に切る。

内臓の位置をイメージしながら斜めに切ります

今回はフライパンで焼くため、半分に切ります。半分の位置でまっすぐ切ると内臓が大きく分断され、流れ出てしまうため、斜めに切ります。内臓は頭側に大部分、しっぽ側に少々残る、というイメージです。斜めに切ることで盛り姿も美しくなります。背骨を断つときには包丁の背に手を添えて、グッと力を入れましょう。

3. 塩をふる

高い位置から全体に塩をふり、裏返して同様にふって15分ほど置く。表面の水気をふき取る。

塩をしっかりムラなくふって常温で置いておきます

ここでしっかり塩をふることが大切です。塩の量は魚の重量の2%が目安。一尾150gなら塩3g=小さじ1/2ほどです。高い位置からふる理由は、まんべんなくムラなくふるためです。ラップなどはせず、そのまま常温で10~15分置きます。水分が残っていると温度が上がるまでに時間がかかってしまうため、塩を取ってしまわないよう気をつけながら、水分だけふき取ります。

4. フライパンで焼く

フライパンに油を中火で熱し、盛りつけるとき表になる面を下に、身の厚い背をフライパンのふち側にして並べる。弱めの中火で6~7分焼く。

美しく焼き上げるための逆算

並べ方に気を配るのは、焼き上がりの姿を美しくしたいからです。盛り付けたときに表になる面を先に焼き、きれいに焼き上げます。背をふち側にするのは、フライパンの立ち上がり部分の熱も使って身の厚い背に火を通したいから。それと、上下を返すときに返しやすいからです。上下を返すときに皮が破れたり、身が崩れたりしやすいため、できるだけ作業しやすい工夫をします。魚を入れたら火を弱めましょう。魚の下には絶えず油があるよう、フライパンを傾けて油の具合をみながら焼きます。

5. 余分な脂をふき取る

ペーパータオルで余分な脂をふき取る。

くさみの原因となる脂をふき取ります

さんまから出てくる少し色のついた脂は、くさみの元になります。ていねいにふき取ることでくさみがなくなります。油を使ってさんまの脂を引き出し、さらに焼くため、油が少なくなってしまった場合は少し足します。

6. 上下を返して焼く

上下を返す途中で、背を30秒ほど焼く。返して3~4分焼く。

背の部分をしっかり焼いてパリッと

上下を返す途中で、フライ返しなどを使ってさんまを立て、火が入りにくい身の厚い背側を焼いて、皮をパリッと仕上げましょう。途中でフライパンの向きを変えると作業しやすく、身崩れを防げます。裏面を焼きながら、ふたたび出てくる余分な脂をペーパータオルでふき取ります。

7. 大根おろしをつくる

大根をおろし、水気をきる。

水気をほどよくきって添えましょう

大根おろしは、さんまの脂の消化を促進してくれる最高の付け合わせです。お皿に水分が出ないよう、かるく押さえて水気をきってから添えましょう。

(1人分熱量473kcal/塩分3.2g/調理時間約20分)※調理時間に塩をふっておいておく時間は含まず。

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ヘルシーポイント

さんまは必須アミノ酸をバランスよく含んでいるほか、EPAやDHAなどの積極的に摂りたい脂肪酸を含んだ栄養豊富な魚。大根おろしに小ねぎやシソをまぜれば、よりヘルシーな一皿になります。

料理/小田真規子 
撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2022年12月1日