あさりの酒蒸し

貝料理は時間が勝負
ふっくらとしたやわらかさが違います

あさり、しじみなどの二枚貝はコハク酸を含み、強いうま味があります。あさりの酒蒸しは、このうま味を生かした料理で、食材も調理もシンプルで簡単。でも、「砂が残る・身が固い・味がしょっぱい」といった失敗もしやすい料理です。つくり方をしっかりと覚えて絶品に仕上げましょう。

上手に砂抜きするポイントは、あさりが住んでいる海の浅瀬の砂の中のような環境に置くことです。常温のまま洗わずに、海水に近い2%の塩水に浸し、暗くします。自然に近い状態になると、あさりは殻から2本の管や身を出して砂を外へ吐き出します。また、殻の表面の溝に砂が入っていることがあるので、よく洗うことも忘れずに。

身が固くなってしまうのは、火の通し過ぎが原因。貝料理は加熱時間が勝負どころです。あさりはもちろん、はまぐり、しじみなどの二枚貝は、口が開いたらすぐに火から外すのが鉄則。タイミングよく取り出すと身のやわらかさがまったく違います。なお、酒をたっぷり使うことも身をふっくら仕上げるための秘訣です。

しょっぱくなってしまう原因は、砂抜きの後のこすり洗いでよく塩分を落とせていないことが多いです。しっかりと水で洗っておくと味が安定します。また、貝のコハク酸は強いうま味成分なので、少量の調味料を加えるだけで味が濃く感じられることも理解しておきましょう。味見をしながら調味することが大切です。

  • ●あさりの性質を理解して砂抜きする
  • ●口が開いたらすぐに火から外す
  • ●味見を欠かさない

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2人分

  • あさり…350g
  • キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ…小さじ1/2~1
  • 青ねぎ(斜め切り)…適宜
  • 〈A〉砂抜き用
  • 水…1と1/2カップ
  • 塩…小さじ1
  • 〈B〉
  • マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒…1/4カップ
  • 水…1/4カップ

つくり方

1. 砂抜きをする

〈A〉を混ぜて塩水をつくる。あさりを塩水に浸して、暗くする。30分ほど置く。

浅瀬の砂の中にいるような状態をつくります

あさりは洗わず常温にしておきます(気温の高い時期は使う直前に冷蔵庫から出して常温に)。バットに重ならないように広げ、海水に近い濃度2%ほどの塩水を8割ほど浸かるくらいひたひたに注ぎます。均一な濃度にすることが大切なので、塩をふって水を注ぐことは避け、塩水をつくって注ぎましょう。そしてアルミホイルでふたをして暗くします。

2. よく洗う

あさりをこすり合わせながら、水でよく洗う。

殻の溝の間までよく洗いましょう

砂を出させた後に、真水で洗います。流水、または、ボウルの水を2~3回替えながら、貝殻どうしをこするようにして洗い、殻の溝の間に入っている砂を取り除きましょう。よく洗わないと表面に塩分が残ってしまい、仕上がりがしょっぱくなってしまいます。

3. ふたをして煮立てる

フライパンに〈B〉とあさりを入れ、ふたをして強火で煮立てる。

ふたをして煮るのにも理由があります

酒は沸点を下げるほか、おいしいだしにもなる大切な要素です。アルコール分は飛ばしつつ、水分は残しておきたいので、ふたをしたまま煮立てます。ふたは中の様子がわかる透明なものが最適です。火にかけたらあさりから目を離さずに、口が開く瞬間を待ちます。

4. あさりを取り出す

口が開いてきたあさりから、手早く取り出す。

手際の良さが身のやわらかさを左右します

あさりの口が開き始めたら火が通った合図です。中火にし、開いたものから次々に手早くバットに取り出しましょう。あさりの身はどんどん固くなり、加熱時間が経つにつれて身が痩せていってしまいます。すべて取り出したら、バットにたまった汁だけをフライパンに戻して、アクを取ります。この汁には貝のうま味がたっぷり含まれています。

5. しょうゆを加えてあさりを戻す

しょうゆを加えて、ひと煮立ちさせる。あさりをフライパンに戻し、煮汁を絡める。あれば青ねぎを添える。

味見を忘れずに

しょうゆを加えてひと煮立ちしたら火を弱め、味を見ます。薄かったらしょうゆを少しずつ加えて味をととのえてください。あさりを戻し入れて、身と殻の中に煮汁を絡ませるようにします。好みで青ねぎやねぎを添えると味わいのアクセントになります。

(1人分熱量45kcal/塩分4.1g/調理時間約10分)※ 調理時間にあさりの砂抜きの時間は含まず。

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ヘルシーポイント

貝類は脂質ゼロのヘルシー食材。さらに、あさりは鉄分も豊富です。きのこ類を加えれば、かさ増しになってお腹が満たされるだけでなく、うま味成分のグアニル酸も加わり、さらにコク深い一皿になります。

料理/小田真規子 
撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2022年12月1日