ひじきの煮物

味が入りにくいひじきを
先に炒めましょう

ひじきは、意外なほど味が入りにくい食材。もともと色が濃いため、味がしみているように見えて一見おいしそうでも、口にしたら味が薄かったということもあるでしょう。はじめにひじきだけを先に炒めて水分を飛ばし、煮汁が入りやすい状態にするのが大事です。

煮かたにもコツがあります。ひじきは長く煮ても煮崩れしにくいのですが、にんじんがやわらかくなりすぎてしまいます。そこで、濃いめの煮汁にして短時間でひじきに味をしみ込ませるようにします。また、煮汁を吸いやすい油揚げと合わせることで、ひじきの味の入り込みにくさを補い、料理全体の味のバランスをとります。食材ごとに煮分ける料亭の炊き合わせとは違い、ひとつの鍋でつくるおうちの和ごはんでは、一緒に調理する食材との関係も大切です。

煮汁の比率は、仕上がりが水っぽくならぬよう少し濃いめの「しょうゆ:みりん:水=1:1:5」。今回のレシピでは、みりんの一部を砂糖に置き換えて、日持ちをよくし、味わいに重みをだします。だし汁を使わない煮物では、砂糖を少し加えることで味に深みと重みを加えることができます。覚えておくと便利なひとさじです。

  • ●ひじきは先に炒めて水分をとばす
  • ●濃いめの煮汁で煮る
  • ●みりんと砂糖を併用する

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・3~4人分

  • 芽ひじき(乾燥)…20~25g
  • 油あげ…1枚
  • にんじん…1/2本(80g)
  • ごま油…大さじ1
  • 〈A〉
  • キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ…大さじ2
  • マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…大さじ2
  • 砂糖…小さじ2~3
  • 水…3/4カップ

つくり方

1. ひじきを水で戻す

ひじきはさっと洗い、たっぷりの水に30分以上つけて戻す。ざるにあげて、水気を切る。

30分以上つけて戻しましょう

ひじきはたっぷりの水に放って戻します。このとき小さなゴミなどが浮いていたら取り除きます。30分以上つけると、わずかに含まれる無機ヒ素を水に溶け出させることができます。このため、戻した水は使わずに捨てましょう。※生ひじき(芽ひじき)の場合は、250gをボウルでさっと水洗いして、たっぷりの熱湯をかけ、粗熱をとります。

2. 油揚げ、にんじんを切る

油あげは1分ゆで、水気を切ってから短冊に切る。にんじんは皮をむき、厚さ3mmのいちょう切りにする。

にんじんを大きめのいちょう切りにする理由

油揚げはさっと湯通しするよりもよくゆでたほうが、余分な油がしっかり抜けます。にんじんは、煮崩れを防ぐために大きめのいちょう切りにします。黒々としたひじきの煮物が彩り良く仕上がるメリットもあります。

3. ひじきを炒める

鍋に油を中火で熱し、ひじきを1分炒める。(2)を加えてかるく混ぜる。〈A〉を加える。

ひじきを先に炒めて水分を飛ばします

先にひじきを炒める理由は、水分を飛ばすことで味を含ませやすくするため。湯気が出てくるのは、水分が飛んでいる証です。同時に磯くささも取れます。にんじんと油揚げを入れたらかるく混ぜましょう。〈A〉の調味料はどの順番で入れても問題ありません。

4. 煮る

煮立ったら弱火にし、水で濡らしたペーパータオルをかぶせる。ふたをして15~20分煮る。

じっくり味をしみ込ませます

ふたをして煮ることでひじきが乾燥せずにふっくらして、じっくりと味をしみ込ませることができます。ペーパータオルはあらかじめ濡らしておくことで、煮汁を吸い上げません。

5. 水分を煮飛ばす

ふたとペーパータオルを取り、中火にして水分を飛ばしながら2分煮る。再びふたをした状態で、粗熱をとる。

全体が水っぽくならないよう、最後に火を強め、鍋底に水分がなくなるまで煮飛ばします。冷めていくときにさらに味が入っていくので、ゆっくり粗熱を取りましょう。ふたをしながら冷ますことで、食材から戻り出てくる煮汁もじっくりと含ませることができ、ひじきがふっくら仕上がります。

(1人分熱量211kcal/塩分3.1g/調理時間約30分)※調理時間にひじきを戻す時間は含まず。

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ヘルシーポイント

海藻の一種であるひじきは、ミネラルや食物繊維が豊富で、カロリーが低いヘルシー食材です。大豆や鶏肉などのたんぱく質や、いんげんなど緑の野菜を加えれば、より栄養価の高い一品になります。

料理/小田真規子 
撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2022年12月1日