とんかつ

肉はふっくら蒸すように、
ころもはサックリ高温で揚げます

サクサクのころもとやわらかな肉。とんかつは揚げるだけのシンプルな調理ですが、天ぷら同様、奥が深い料理です。ころもをつけて揚げるフライ調理は、じつはころもの中で食材を蒸すのに近い工程です。肉をふっくら蒸し上げるイメージで揚げましょう。

肉をやわらかくするためには、はじめに叩いて繊維をほぐしておきます。そして、小麦粉とバッター液の2段階でころもをしっかりつけて、いい蒸し状態をつくります。揚げはじめは低温で、肉にじっくりと火を入れていきます。

とんかつの命ともいえるサクサクころもは、パン粉のつけ方と、最後に揚げ油を高温にすることがポイントです。パン粉は多めに用意し、何度もふわりとかけて、粒を立たせるようにまとわせます。高温で揚げきることで、ころもがカリッとするだけでなく油切れもよくなります。

  • ●肉は叩いて繊維をほぐす
  • ●肉をころもで閉じて蒸すように
  • ●揚げる温度は、はじめ低温、最後は高温

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2人分

  • 豚ロース切り身(とんかつ用)…2枚(250g)
  • 塩…小さじ1/4
  • こしょう…少々
  • 小麦粉…大さじ1
  • パン粉…1と1/2カップ(60g)
  • キャベツ…2枚
  • 揚げ油…適宜
  • キッコーマン デリシャスソース 中濃…適宜
  • 〈A〉
    • 卵…1個
    • 小麦粉…大さじ4

つくり方

1. 豚肉の下準備をする

豚肉は、筋切りし、ラップをかぶせ30~40回たたく。塩、こしょうをまぶす。

肉がひとまわり大きくなるまで叩きます

豚肉の脂と身の間に包丁の先を立てて入れ、筋を切ります。赤身と脂身では加熱されたときの縮み具合が違うため、筋を入れておかないと反ってしまいます。表裏両面から入れましょう。肉を叩く理由は、繊維をほぐしやわらかくしておくことで、火の通りがはやくなるうえ、加熱してもやわらかく、揚げ縮みも防ぐためです。厚みが半分になり、肉がひとまわり大きくなるくらいまで叩きます。手で加減しながら叩きましょう。塩、こしょうは半量を先にバットにふっておき、その上に肉をのせ、残りをふりかけます。これは少量の塩をまんべんなく行き渡らせることができる方法です。

2. バッター液をつくる

ボウルに〈A〉の卵を割りほぐし、小麦粉を加えてよく混ぜる。

粘度のあるころもで肉を包み込みます

卵には脂肪分の黄身、水分の白身という2つの異なる成分があります。先に黄身をつぶしてほぐしてから混ぜると混ざりやすいです。泡立てないよう、菜箸をボウルの底から離さずに前後させて混ぜます。小麦粉を入れた粘度の高いころもで肉をしっかり包むことで揚げているときに肉が蒸される状態をつくれます。

3. ころもをつける

豚肉に小麦粉をふる。大きめのバットにパン粉を広げる。竹串を使って豚肉にバッター液をつける。パン粉をまぶす。

ころもをまんべんなく均一につけることが重要です

小麦粉は肉ところもの接着剤の役割です。側面までまんべんなくつけ、余分をはらいます。パン粉は大きめのバットにたっぷり広げます。奥に小さな山をつくっておくと、かけるときに便利です。バッター液をまんべんなく肉にまとわせるために竹串を使います。指の跡が残るだけでもころもがはがれやすくなるので、ここはていねいに。パン粉は何回か上からかけて軽く指で押さえるようにして定着させます。側面にもつけましょう。

4. 揚げる

揚げ油を160℃に熱する。(3)を入れ、中火のまま5~6分揚げる。上下を返し、温度を上げてさらに1~2分揚げる。油をきる。

はじめは低温で肉を蒸して、最後は高温でころもをサックリと

はじめに低温の160℃で揚げます。パン粉を落としてその場でチリチリと音がするくらいが適温です。肉を入れる前に、温度チェックに使ったパン粉を取り除きます。これが残っていると焦げた小さなころもがついてしまいます。肉はころもが固まり全体が浮き上がってくるまで触りません。浮き上がって1~2分して色がつきはじめたら肉を空中に上げる「上げじゃくし」をします。油から肉を引き上げて肉やころもの水分を蒸気として逃がすことで、さらにカリッと揚がります。きつね色に揚がってきたら上下を返し、火を少し強めて温度を上げます。最後に高温で揚げることでころもがさらに香ばしくなるうえ、油の切れもよくなり網の上で傾けて置くだけでも油がスムーズにきれていきます。

5. 切る

幅約1.5cmで、一気に押し切る。

思いきりよくザクッと切ります

とんかつを切るときは、まな板に包丁の刃先をつけて、刃全体を使って一気に押すように切ります。刃を前後に引くと、パン粉ごろもがはがれてしまいます。ザクッと思いきりよく切りましょう。

6. せん切りキャベツをつくる

キャベツは水にさらす。芯を取り、重ねて巻いて、せん切りにする。

巻いてから切る理由

切る前に水にさらしておくとパリッとします。1枚ずつ硬い芯を切り落としたら、縦に半分に切ります。葉を重ねて丸め、高さをだすと葉をつぶさず切りやすくなります。繊維を断つように切ることで軽やかな食感のせん切りに仕上がります。キャベツ、ソースをお供にとんかつをいただきます。

(1人分熱量711kcal/塩分1.6g/調理時間約30分)

とんかつのレシピだけ見る

ヘルシーポイント

ロース肉の代わりにヒレ肉を使えば大幅にカロリーダウンできます。細かいパン粉を使うと油の吸収が減り、さらにカロリーオフに。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2023年4月28日