黒豆

酒のアテにもおかずにもなる黒豆、
かくし味はしょうゆです

黒豆は、まめまめしく働くことにつながる縁起物として、数の子と並ぶ、祝肴(いわいざかな)のひとつです。おせち料理の定番でもあります。福を感じさせる、ふっくらつやつやとした姿が美しく、丹波産などの大粒の黒豆は祝いの席でいっそう映えます。

乾物の豆は使う前に水で戻しますが、熱湯に入れて「湯戻し」をすると豆の香り、食感を残しながらふっくら戻すことができます。黒豆の場合は熱湯に砂糖を加えて、ふっくらと、かつ、味を含ませながら戻します。

黒豆の味わいの基本は「乾燥豆:砂糖=1:1」。そこにしょうゆを加えます。しょうゆを入れる理由は3つ。砂糖の甘みを引き立たてせて味を引き締め、酒のアテやごはんのおかずにもなる味わいに仕上げるため。皮を締めて、破れづらくするため。鉄くぎなどを入れずに黒々と仕上げるためです。豆を短時間でふっくらやわらかく煮あげるために、今回は少量の重曹を加えます。しょうゆの効果で重曹の苦味も感じにくくなります。

  • ●大粒の黒豆を選ぶ
  • ●「湯戻し」で戻す
  • ●しょうゆを使って破れを防ぐ

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・つくりやすい量

  • 黒豆(乾)…2カップ(300g)
  • キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ…大さじ2
  • 〈A〉
    • 水…7カップ
    • 砂糖…300g
    • 重曹…小さじ1/3

つくり方

1. 洗う

黒豆は割れたものを除いてさっと洗い、水けをきる。

洗うと割れ豆が見つけやすくなります

はじめに割れたものをていねいに取り除きます。洗うときはゴシゴシせず、水を揺らしながらほこりを落とすくらいのイメージです。洗うと豆の割れが見えやすくなるので、もう一度、割れ豆がないかチェックします。

2. 戻すための砂糖水をつくる

水を入れた鍋に砂糖を入れて溶かし、中火にかける。煮たったら火を止めて重曹を入れ、混ぜたら、中火にする。

重曹より先に砂糖を溶かす理由

水分に対して砂糖の量が多いので、しっかりと溶かしておかないと煮汁の対流が悪くなります。そのため、先に砂糖が完全に溶けたことを確認してから重曹を加えます。後から加えたほうが、重曹による吹きこぼれも防ぎます。

3. 半日かけて戻す

砂糖水に黒豆を加えて、火を止める。ふたをして6〜12時間置く。豆が戻っていることを確認する。

張りがあり豆が丸々としていれば完了

戻す時間は黒豆の粒の大きさによります。大きいものほど時間がかかります。すくい上げて見て、皮に張りがあり豆が丸くなっていれば上手に戻せています。皮にシワが残っていたらもう1〜2時間、戻し汁の中で寝かせます。

4. 煮る

鍋にしょうゆを加え、中火にかける。煮立ったらアクを取り除き、弱火にする。水で濡らしたペーパータオルをかけ、ふたをずらして90〜120分煮る。

豆が乾燥しないよう確認しながら90〜120分

煮るときに最も注意したいのは、煮汁から豆が出て乾燥させてしまうことです。煮汁が減って豆が顔を出してしまったら水を足し、ひたひたの状態を保ちましょう。また、えぐみの原因になるアクは取り除きます。糖分が多く、重曹が入った煮汁は吹きこぼれしやすいため、ふたをずらして煮ていきましょう。

5. 冷まして味を含ませる

豆が煮えたら火を止め、そのまま冷ます。

冷めながら味がなじみ、ふっくらします

竹串を刺してスッと通るくらいになったら煮あがった合図です。ペーパータオルをかけ、ふたをしたまま常温で冷ましながら、味と水分を含ませていきます。煮あがったときに多少のシワがあっても、冷めていく間にふっくらと戻っていきます。保存するときは保存容器に入れペーパータオルをかぶせ、豆の表面が乾かないようにして冷蔵庫へ。

(1人分熱量375kcal/塩分0.8g/調理時間約140分)※栄養計算値は6人分としたときの値。調理時間に黒豆を戻す時間、黒豆を冷ます時間は含まず。

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ヘルシーポイント

こんにゃくを下ゆでして加えるとヘルシーに。煮汁には黒豆のアントシアニンが溶け出しているので汁ごと食べるのがおすすめです。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2023年8月8日