伊達巻き

卵焼き2枚を焼いて重ねると、
失敗なく、仕上がりもきれいに

華やかで粋なさまを意味する「伊達」の名の通り、お正月の席を色鮮やかに飾る伊達巻きは、長崎の卓袱(しっぽく)料理のカステラかまぼこに由来する卵料理です。

伊達巻きらしい波状の渦巻をきれいに出すためには、焼き色と巻き方が肝心です。卵焼き器を使い、薄い卵焼きを2枚つくって重ねて、巻きすで巻くと手軽、かつ、きれいな仕上がりになります。砂糖だけでなくみりんを使うのは、しっかりした焼き色に仕上げるため。みりんは、砂糖と卵、卵とはんぺんのつなぎ役になり、生地をなめらかに安定させてくれる縁の下の力持ちです。焼く際には卵焼き器をしっかりと熱してから濡れぶきんにあてて均一に冷ましてから生地を流し入れると、ムラのないきれいな焼き色をつけることができます。

  • ●卵焼き器を火から外してから生地を流す
  • ●1枚ずつ焼いて巻き重ねる
  • ●つなぎ役になるみりんを使う

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・つくりやすい量/卵焼き器(18×13cm)

  • はんぺん…1枚(120g)
  • 卵…4個
  • 砂糖…大さじ4
  • マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…大さじ2
  • 塩…少々
  • サラダ油…適量

つくり方

1. 生地をつくる

はんぺんはちぎる。卵は割りほぐす。すべての材料をフードプロセッサにかけて、なめらかなペースト状にする。

卵は先にほぐしてから入れます

魚のすり身の代わりにはんぺんを使います。伊達巻きの生地には、値段のはる弾力の強いものより、手頃な値段のふわふわしたはんぺんのほうが合うようです。卵は先に割って軽くほぐしてから加えます。フードプロセッサーがない場合は、はんぺんを裏ごしして、ほかの材料と合わせます。そのあと全体を裏ごしするとなめらかになります。

2. 濾す

万能こし器で濾して、生地を2等分する。

濾して生地を落ち着かせます

濾すことは多少手間ですが、泡立った生地を落ち着かせるためと、はんぺんを完璧につぶしてなめらかにするためには大事な工程です。生地は2等分して、1枚ずつ焼いていきます。

3. 焼く

ペーパータオルにサラダ油を含ませ、卵焼き器に塗る。中火で2分熱したら、火から下ろし、濡れぶきんにのせる。1枚分の生地を流し入れ、全体に広げる。アルミホイルでふたをして、弱火で6〜7分焼く。

卵焼き器を火から下ろして焼き始める理由

卵焼き器を火から下ろして濡れぶきんで冷ますと均一に温度が下がって、火の通りも一定になるため焼き色がムラになりません。焦らず作業できるのも利点です。火の上に戻したら、必ず弱火にします。ゆっくり火を通し、まんべんなく焼き色をつけていきます。その際に卵焼き器に合わせてたたんだアルミホイルでふたをして熱をこもらせるようにします。サラダ油は多めに塗っておくと、裏返しやすくなります。

4. 裏返して焼く

焼き色を確認し、裏返す。アルミホイルのふたを再びかぶせ、弱火で3〜4分焼く。

少し濃い色くらいがちょうどいい

表面が泡立ち、少し乾いてきたら端を少しめくって焼き色を確認し、返すタイミングをうかがいます。焼き色は冷めると落ち着くので、少し濃いめの焼き色がちょうどいいころ合いです。伊達巻きはこの焼き色がとても大事です。いい色がついたら、フライ返しを使って裏返します。

5. 巻く

巻きすは濡れぶきんでふいておく。生地が熱いうちに、巻きすに横長にのせる。手前からきつく巻く。輪ゴムで止めて、置いておく。

焼き色と巻きすの凸凹が伊達巻きの華

巻きすは溝に水分が溜まりやすいので、水洗いではなく濡れぶきんでふいておきます。平らなほうを外側に、凸凹しているほうを内側にして使います。この凸凹が伊達巻きの波状の表情をつくります。濃い焼き色がついた面が巻きすにふれるように、横長に置き、きつめに巻きます。生地が冷めてくるとひび割れやすくなるので、焼きたてをすぐに巻きましょう。

6. もう1枚焼く

〈3〉〈4〉の工程をくり返し、もう1枚の生地を焼く。

2枚目は生地をひと混ぜしてから焼きましょう

卵焼き器は洗わずに、油を引き直してそのまま使います。生地は置いている間に分離して、はんぺんや砂糖が沈澱してしまうため、焼く前にひと混ぜして均一にします。生地のムラは焼きムラにつながります。2枚目も同様に焼きます。

7. 重ねて巻く

1枚目の生地を、巻きすから外す。2枚目の生地を、熱いうちに巻きすに横長にのせる。手前に約2cmあけ、棒状になった1枚目をのせる。きつめに巻く。輪ゴムで止める。

しっかりきつめに巻きます

1枚目の生地の巻き終わりが下にくるようにのせて巻きます。巻くといっても、ぐるりと1周巻きくるめられるほどの長さはないため、かぶせるように包むイメージです。焼きたては弾力があるので、しっかりきつめに巻きます。そのまま常温で粗熱を取りながら生地を落ち着かせ、一本の伊達巻きにしていきます。

8. ラップで包む

粗熱が取れたら、巻きすから外し、ラップで包む。

ラップの両端を伊達巻きの下に織り込まないこと

乾燥させたくないのでラップでぴったり巻きます。両端はキャンディのようにひねり結びにしますが、結び目を伊達巻きの下に織り込まないようにしてください。折り込んだ跡がついてしまっては台無しです。あくまでも美しい姿で仕上げます。食べるときには、必要な分だけラップごと切り、切り口を別のラップをおおうようにすると便利です。保存は冷蔵庫で約1週間。卵料理ですが、すり身や砂糖が多く入っているので冷凍保存も可能です。

(1人分熱量310kcal/塩分1.5g/調理時間約40分)※粗熱をとる時間は含まず。

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ヘルシーポイント

砂糖とみりんの量を大さじ1ずつ減らせば、甘さ控えめでヘルシーな伊達巻きに。糖分が少ない分、日持ちしづらくなるので早めに食べ切りましょう。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2023年8月8日