栗きんとん

ていねいな裏ごしと練りで、
なめらかな口あたりという贅沢を

「きんとん」は「金団」とも書き、その黄金色の見た目からも財を成す縁起の良い和菓子・料理として知られています。おせち料理の代表料理でもあり、和菓子の世界で口あたりの良いものが上等とされるように、おせち料理の栗きんとんでもこだわりたいのは、口どけの良いなめらかさです。

さつまいものスジや固い部分を大胆に切り落としたり、アクを取ったり、熱々のさつまいもを裏ごしたりと、いくつもの下ごしらえがありますが、すべてはなめらかに仕上げるために必要な工程です。ていねいに調理を重ねていきましょう。砂糖、栗の甘露煮のシロップ、みりんを使った糖分の多い生地は焦げやすいため、絶えずへらで練り続けることが肝心。さらに少量の塩を加えることで、甘みの中にもキレのある味わいになります。栗をシロップで温めてから加えるのも、なめらかで一体感のあるきんとんをつくるためのコツです。

  • ●なめらかさのための下ごしらえはていねいに
  • ●生地は絶えず練る
  • ●栗をシロップで温めてから加える

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・つくりやすい量

  • さつまいも…2本(600〜700g)
  • 栗の甘露煮(びん詰)…10粒(100g)
  • 栗の甘露煮のシロップ…1/2〜3/4カップ
  • くちなしの実…1〜2個
  • 砂糖…120〜150g
  • マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…大さじ3
  • 水…1/4カップ
  • 塩…小さじ1/4

つくり方

1. さつまいもの下準備をする

さつまいもは両端を落とし、厚さ2~3㎝の輪切りに切る。厚めに皮をむく。水に5〜10分さらす。水けをきる。

舌触りが悪くなる要因は取り除いておきましょう

なめらかな栗きんとんをつくるために、スジっぽさやざらつきの要因をここでしっかり取り除いておきます。繊維が密な両端は2cmほど切り落とします。輪切りにすると外皮と中身の境目が見えてきます。境目よりも内側に包丁を入れ、厚めに皮をむきます。さつまいもから出る白いでんぷんはじゃがいもよりも多く、料理の色が黒ずんだり、えぐみが出たりするので、しっかり水にさらして出しておきます。

2. くちなしの下準備をする

くちなしはキッチンバサミなどで砕き、お茶パックなどに入れる。

乾いた手で扱います

くちなしは実のままでは色が出ません。キッチンバサミなどを使って割ります。中身が水分にふれると黄色い色素がすぐに溶け出てくるので、乾いた手で作業します。お茶パックのほか、ガーゼやペーパーを使って包んでも大丈夫です。

3. 下ゆでする

鍋にさつまいもを入れ、かぶるくらいの水を注ぎ、中火にかける。煮立ったら湯をきる。

アクを抜くための下ゆでです

加熱のためではなく、アクを抜くために一度下ゆでします。たっぷりの水で煮立たせて、ゆでこぼしましょう。さつまいもが重ならない程度の直径約20cmの鍋が使いやすいです。

4. 煮る

鍋にさつまいもを戻し入れ、再びかぶるくらいの水を注ぐ。くちなしを加え、中火にかける。煮立ったら弱火にし、20〜25分煮る。バットに取り出す。

甘みを引き出すために弱火でじっくり

一度しっかりとボコボコとするまで煮立たせてから、火を弱めます。大きめに切ったさつまいもに、弱火でじっくり火を通すことで甘みを引き出します。くちなしを入れて煮ると色みの薄い品種のさつまいもでも鮮やかな色がつきます。

5. 裏ごしする

さつまいもが熱いうちに、裏ごしする。

押しつけながら手前に引くように

滑り止めに濡らしたふきんを敷き、裏ごし器よりも小さい器を置き、裏ごし器をかぶせ、安定させます。さつまいもを木べらで押しつけながら手前に引くようにすると、力が入りやすいです。冷めてしまうと粘りがでて濾しづらくなるので、熱いうちに次々に濾していきましょう。

6. 調味料を加える

鍋に、裏ごししたさつまいもと砂糖を入れ、軽く混ぜ、水を加えて、軽く混ぜる。みりん、シロップ(〜1/2カップ)を加え、よく混ぜる。

加熱する前に砂糖を溶かしておきます

火をかける前にさつまいもと調味料を混ぜ合わせます。大量の砂糖を溶かすために、はじめに水を加えて混ぜます。調味料をすべて加えるとゆるくなりますが、このあと加熱しながら練るので問題ありません。固いものに水分を加えてゆるくするよりも、しっかり水分を加えたゆるいものを煮詰めていくほうが、見た目は変わらなくても食感はよりなめらかになります。

7. 練る

弱めの中火にかける。へらで練るように8〜10分混ぜる。十分に粘りが出たら、塩を加える。

へらの跡が残り鍋底が見えるようになったら練りあがりです

糖分が高く焦げやすいため、絶えずへらで鍋底や鍋肌をていねいにこするように練り続けます。ここでしっかり練ることで仕上がりのツヤが変わります。へらの跡が残り鍋底が見えるくらいまで粘りが出てきたら、塩を加えます。塩は味の引き締め役です。10分以上加熱することでみりんのアルコール分もしっかりとびます。

8. 栗をシロップで温める

栗は半分に切る。びんに残ったシロップ(分量外:大さじ2くらい)と栗を耐熱容器に入れ、ふわりとラップをかけ、電子レンジで人肌に温める。

栗を切る理由とシロップで温める理由

栗を切ったり温めたりするのは、きんとん生地とのなじみをよくするためです。シロップと一緒に温めることで、切り口からシロップがしみ込み、きんとん生地との味なじみがぐんと良くなります。このひと手間を惜しまずやってみてください。湯せんで温めても構いません。

9. 栗ときんとん生地を合わせる

きんとん生地に栗を加える。甘みを確認して、足りなければシロップを適宜加える。弱火にかけ、約1分やさしく混ぜる。バットに広げて粗熱を取る。

栗を加えたあとは、栗をつぶさないように気をつけながらやさしく混ぜます。少し温めることで全体がなじみ、なめらかに仕上がります。味をみながらシロップで甘みの最終調整をして完成です。乾かないように表面にぴったりとラップをかぶせて粗熱が取ってから冷蔵庫で保存します。

(1人分熱量456kcal/塩分0.3g/調理時間約60分)※栄養計算値は4人分としたときの値。調理時間に粗熱を取る時間は含まず。

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ヘルシーポイント

糖分を減らすことがカロリー減への近道です。砂糖120g+シロップ1/4カップをベースに分量を調整するとおいしさが保てます。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2023年8月8日