いわしのかば焼き

いわしは「手開き」して、
骨なく、ふっくら、甘辛く

いわしは身がやわらかく、細かい小骨が多い魚です。包丁でさばくと骨が断ち切れて身に残ってしまうため、「手開き」をします。長さ10cm程度で「小羽(こば)」といわれる身が小さいものはすべて手でさばくこともできますが、15cm程度の「中羽(ちゅうば)」、20cm程度の「大羽(おおば)」は包丁で頭や内臓を取ってから、手で開き、骨を取っていくとよいでしょう。

鮮度が落ちやすいいわしを扱うときは、手早く作業することが肝心です。水で洗う時間、身にふれる時間はできるだけ短くするように心がけます。

かば焼きは、やわらかい身を何度も動かすことなく、たれをかけて味をつけていくのが大事で、「焼く」よりも「煮る」イメージです。焼き時間は短めにして、煮絡めるときに火を通していきます。沸点の低い酒やみりんの多い煮汁のおかげで火が通りすぎず、ふっくら煮上がります。

  • ●「手開き」で骨を残さず開く
  • ●手早く作業する
  • ●酒やみりんが多めの煮汁で煮る

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2人分

  • いわし…中羽4尾
  • 小麦粉…適量
  • サラダ油…大さじ1
  • 青じそ…適宜
  • 粉山椒…適宜
  • 〈A〉
    • マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…大さじ2
    • キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ…大さじ1
    • マンジョウ 国産米 こだわり仕込み 料理の清酒…大さじ1

つくり方

1. うろこを取り、頭を落とす

いわしは冷水でよく洗い、うろこを取る。胸びれの付け根に包丁を入れ、頭を落とす。

指でなでるだけで簡単にうろこが取れます

いわしのうろこははがれ落ちやすく、洗っている間にもポロポロ取れていきます。指の腹でうろこをやさしく尾のほうからなでて取り除きます。胸びれを立たせるようにひれの根元に包丁をあて、垂直に断ち切って頭を落とします。まな板に新聞紙などを敷いておくとまな板も汚れず、後処理もしやすいです。

2. 内臓を取る

腹側の切り口から尻ビレまで、まっすぐに幅約5mmを切り落とす。内臓をかき出し、腹の中を冷水でよく洗い、水けをふき取る。

ここからはとくに手早く作業します

切れ目を入れるよりも腹側を少し切り落としたほうが、手早く内臓が取り出せます。内臓は包丁の先を使ってかき出し、冷水で洗いながら指先できれいにしていきます。中骨(背骨)に沿ってついている血合いや、肛門近くの汚れが残りやすいのでていねいに素早く洗いましょう。最後にしっかり水けをふき取ることを忘れずに。

3. 手で開く

中骨に沿って、親指を切り口から尾まで滑らせて、開く。

尾の近くになったら、中骨を身の片方に寄せるように

まず、身を縦にして開きながら、中骨の上に指をあてて、片方の身に寄せるようにします。右利きなら、親指を中骨の左側に添わせ、そのまま尾まで滑らせ、身全体を開きます。左の身の腹から小骨がはがれていないときは、中骨と小骨のつなぎ目の下に指を入れはがします。完全に身が開き、右側の身に骨が寄っていれば成功です。

4. 骨を取る

尾の付け根で中骨を折り、尾から頭のほうへ骨をはがす。

身が骨についていかないように、ゆっくりと

尾に近いところで中骨を手でポキッと折ります。尾はあとで切り落としますが、この段階では残しておくと、中骨をはがしはじめやすくておすすめです。身が骨についていかないよう、指先を添わせながら、ゆっくりとはがしていきましょう。

5. 形を整える

尾を落とす。両側の腹のふちに残る細かい腹骨をそぎ落とす。

仕上がりの姿を想像しながら整えます

両側の腹のふちのくぼんだ部分には細かい腹骨が残っているので、包丁を寝かせて薄くそぎ切りにするように落とします。骨や内臓のかけらなどがあれば取り除きながら、形を整えます。

6. 小麦粉をまぶす

水けをしっかりふき取る。皮、身の順に小麦粉をまぶして、軽くはたく。

粉をまぶしたらすぐに焼きます

バットにキッチンペーパーを敷いていわしを並べ、上からキッチンペーパーを重ねてやさしく水けを取ります。いわしに均等に小麦粉がからむよう、粉は多めにかけます。粉をふりかける順序は、皮→身で。おもて面になる身のほうはあとからふりかけ、最後に軽くやさしく粉をはたいて、薄づきにすると仕上がりがきれいです。身から水分が出てくると粉がよれてしまうので、粉をつけ終わったらすぐに焼きましょう。

7. 焼く

フライパンにサラダ油を中火で熱し、身を下にして並べて2分焼く。返して1分焼く。余分な脂をふき取る。

置き方に大事な意味があります

身を下にして焼きはじめる理由は、盛りつけたときにおもてにくる面にきれいな焦げ色をつけたいからです。はじめの2分はさわらず待って、香ばしい焼き色をつけます。いわしをフライパンのふちに沿って並べておくことも重要です。それぞれに火が均等に入りやすいうえ、ふちが壁になってフライ返しが魚の下に入りやすく、返すときの身崩れを防げます。常に返しやすい位置にいわしが来るようにフライパンを回転させながら、順に返していきましょう。裏返してから臭みのもとになる脂をペーパータオルで拭き取ります。脂があったほうが裏返しやすいので、この順番で。

8. 煮る

〈A〉を中央に加え、煮立てる。いわしに煮汁をかけながら、つやが出るまで煮絡める。

フライパンの中央に調味料を加えます。煮汁が多く感じますが、これがふっくら煮上がるために必要な量です。沸点が低い酒やみりんが多いので、煮立っていても煮汁の温度が高くなりすぎません。小麦粉のとろみも火の当たりを和らげてくれるため、しばらく加熱していてもいわしの身は固くならないのでご安心を。いわしにつやが出てきたら完成です。器に盛り、好みで青じそや粉山椒を添えていただきます。

(1人分熱量266kcal/塩分1.4g/調理時間約20分)

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ヘルシーポイント

手開きで取ったいわしの骨は揚げてカルシウム豊富な骨せんべいに。小麦粉を軽くつけて低温からじっくり揚げれば丸ごと食べられます。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2023年8月8日