かきたま汁

だしの旨みと卵の口当たり。
シンプルだからこそていねいに

かきたま汁はだしと卵を味わう和食の基本料理のひとつ。卵のふわっとした口当たり、だしのおいしさにこだわってつくりましょう。

だしは、昆布とかつおの削り節でとります。昆布は旨みがもっとも出やすい70〜80℃になるまで10分ほどかけてじっくり火にかけていきます。削り節は、カビ付けしていないかつお節を削った「花かつお」が香りも旨みも早く出るので最適です。だしのとり方は、レシピの後半で詳しく紹介します。

卵はだしと一体化させて、すするごとに口の中に入ってくるふわりとした口当たりを大切にします。また、だしを卵でにごらせないことも大事です。そのためには、しっかり溶いてなめらかな卵液をつくり、固まりにならないよう、細くゆっくりだし汁へと注ぎ入れます。このあとすぐ混ぜずに浮かせるようにすればだしがにごりません。だし汁には水溶き片栗粉を入れてとろみをつけておくのも、熱の伝わりが和らげ、卵をふんわり仕上げるためのひと工夫です。

  • ●昆布と花かつおで、だしをとる
  • ●ふんわり卵でとろみを出す
  • ●汁をにごらせない

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2~3人分

  • 卵…1個
  • 生しいたけ…2枚
  • かいわれ大根…10g
  • だし…2と1/2カップ
  • 〈A〉
    • マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…小さじ1
    • キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ…小さじ1/2
    • 塩…小さじ1/2
  • 〈B〉
    • 水…小さじ2
    • 片栗粉…小さじ1

つくり方

1. 材料を切る

かいわれ大根は根元を落とす。しいたけは軸を切り離し、かさは幅5mm、軸は幅3mmの薄切りにする。

しいたけの石づきを松茸に見立てて

かいわれの根元は、小さな種などが残らないよう大胆に切り落とします。しいたけは軸のしっかりしたものを選んで使うと、松茸のような食感も楽しめます。

2. 卵を溶く

ボウルに卵を割り入れる。30回ほど箸を行き来させて混ぜ、なめらかにする。

黄身と白身をなめらかに一体化させます

卵は油分の多い黄身と水分の多い白身の2つの異なる性質からできています。本来は混ざりにくい水と油をなめらかに合わせるには、泡立てないこと。まず箸で黄身をつぶし、箸先をボウルの底につけたまま箸を同じ方向に行き来させて混ぜます。こうして泡だないように合わせ、なめらかな一体感を目指します。

3. だし汁を煮立てる

だし汁を弱火で温めて〈A〉を加える。中火で煮立てる。しいたけを加え、ひと煮立ちさせる。

苦みが残らないようみりんを入れたらひと煮立ち

だし汁が温まってからしょうゆ、みりん、塩を入れます。先に煮立たせるのは、みりんのアルコール分を飛ばし、苦みにならないようにするためです。

4. とろみをつける

〈B〉を混ぜ合わせて水溶き片栗粉をつくり回し入れる。中火で約1分煮る。

水溶き片栗粉にしっかり火を通します

片栗粉はしっかり火を通したいので、フツフツしてから1分加熱します。片栗粉を加えることで、だし汁にとろみがつくので、このあと入れる卵がゆるやかに広がってじんわりと火を通すことができて汁もにごりません。

5. 卵を加える

卵を再び軽くとく。半量を箸に沿わせて細く回し入れる。10秒ほど待つ。残りの半量を同様に回し入れる。箸でゆっくり大きく混ぜ、火を止める。

卵を入れたらひと呼吸待ちます

溶き卵は全体に広げるために少しずつ加えたいので、箸に添わせながら回し入れます。とろみのあるだし汁の上にのせていくようなイメージです。半量を入れた後にはゆっくりひと呼吸(約10秒)待ってください。卵が固まる前に混ぜてしまうと、汁がにごってしまいます。やわらかくきれいな卵の流れをつくるためには、少し待つこと、大きく混ぜることが大切です。

(1人分熱量39kcal/塩分1.2g/調理時間約10分)※栄養計算値は3人分としたときの値。

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ヘルシーポイント

具に豆腐を加えると食べ応えのあるヘルシーな汁物になります。だし汁の2〜3割を豆乳に置き換えるのもおすすめです。

付録:だしをとる

1. 昆布のだしをとる

鍋に、水(3カップ)、乾いたペーパーで汚れをふいた昆布(5~10g)を入れ、弱火にかけて10分ほどおく。湯気が出て、鍋底に細かい泡が浮いているのが、適温の70〜80℃の目安です。この状態になったら昆布を取り出します(入れっぱなしにすると、雑味や粘りが出て、汁がにごってしまうので注意)。

2. かつお節のだしをとる

〈1〉のだし汁の火を強め、沸騰するかしないかくらいまで1~2分加熱します(この時点で90℃くらい)。花かつおの削り節(15~20g)を広げ入れたら、すぐに火を止めます(ここで85℃くらいになっています)。削り節が落ちるまで、そのまま約2分待ちます。

3. 濾す

厚手のキッチンペーパー、または、さらしをざるにのせ、少しずつだし汁を濾します。自然に落ちるのを待ち、濾し終わりも絞らず軽く押さえる程度にします。

4. 粗熱をとる

粗熱をとります。なお、削り節は酸化しやすいため、袋を開けたらはやめに使い切るか、空気をしっかりと抜いて冷蔵庫か冷凍庫で保管しておきます。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2023年10月14日