プロにならう!江戸前天ぷら
講師
新井 均 先生(「神楽坂 天孝」二代目主人)
2019年6月12日のKCC料理講習会は、「神楽坂 天孝」二代目主人新井均先生をお招きし「プロにならう!江戸前天ぷら」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
「天孝」は、お座敷天ぷらのスタイルを守り、新井先生はその二代目主人として、江戸前天ぷらの技と味を受け継いでいます。日本の食文化を天ぷらを通して、国内だけでなく海外でも紹介し、広くご活躍です。
今回は、江戸前天ぷらとは? 家庭で天ぷらを揚げるコツ、天つゆのつくり方などを紹介いただきました。天ぷらとは、「油のうま味を持つ揚げた衣と、衣の中で蒸された食材のおいしさを、一緒に味わう料理」。身近な料理でありながら、意外に知らない天ぷらの魅力を再発見する講習会でした。
講習会のレシピ
1.
天ぷらとは・・・
揚げた衣と、衣の中で蒸された食材を、一緒に食べる。油のうま味と食材のうま味を一緒に味わう料理。
- 食材に衣(小麦粉+水+卵)をつけて油で揚げると、衣の水分は脱水して油と入れ代わり、固まる。
- 食材は、衣でコーティングされ、中で蒸されている状態。
- ※食材から水分が出ている間は、食材に油分は入らない
2.
江戸前天ぷらの定義
- 1小麦粉を使うこと
- 2ごま油を使うこと
- ※ごま油を使わない天ぷらは、関西風天ぷらともいう
- 3江戸湾(東京湾)の魚を使う
3.
衣
材料
卵黄 | 1個分 |
---|---|
冷水 | 180ml |
薄力粉 | 1と1/2カップ強(プロテイン量の少ないもの) |
つくり方
- 1卵黄と冷水を合わせ、卵水をつくる。粉を入れた時に、ダマになりやすいので、できるだけ、泡が立たないように混ぜる。
- 2ふるいにかけた薄力粉を、卵水に入れて、軽く混ぜ合わせる。グルテンが出ないように大きくさっくりと混ぜる。
- ※粉量はあくまで目安で、自分の好みで調整可能。
- ※卵黄量が多ければ、ふっくらとした衣となり、少なければ、カリッとした衣ができやすい。
4.
揚げ油
- 油の割合
- サラダ油(菜種、綿実、紅花など) 7~9割
焙煎したごま油 1~3割
- ※ごま油のみを使用した場合 生しぼり8割、焙煎2割程度
5.
温度
1)170℃が基準。
190℃を越えると、完全に油が焦げた風味になる。
- かたい食材(根菜類、さつまいも、れんこんなど)
- 160~170℃
- やわらかい食材(えびやいか、白身魚)
- 170~180℃
- ※かたい食材は、温度が高いと、芯まで火が通る前に、衣が焦げてしまう。
- ※やわからい食材は、衣をしっかり揚げることに気をつける。
2)衣を油に落とした時
- 鍋底に着くか着かないかで浮く
- 適温
- 鍋底から衣が上がってこない
- 温度が低い
- 鍋底につかず、衣が油の表面で弾ける
- 温度が高い
6.
揚げ方 ~見て、聴いて、触って、天ぷらはわかる
1)見る
食材から水分が少なくなると、軽くなるので、油の上層に顔を出し始める。
食材の水分が多い時は、気泡が大きく、次第に小さい気泡になる。
2)聴く
食材の水分が多い時は、揚げている音が大きく、次第に小さくなる。
3)触る
揚げ箸で触った時、衣から水分が抜け始めると、やわらかい衣が次第にかたくなる。
7.
つゆ
1)天つゆのつくり方
かえし:かつおだし=1:2の割合で合わせ、人肌程度に温める。
2)天丼つゆのつくり方
かえし:かつおだし=2:1の割合で合わせ、温めて、天ぷらを揚げた後の油でつくった揚げ玉を入れて、風味とコク与え、しっかりと濾す。
3)天ぷらつゆのかえし(素たれ) 天つゆや天丼つゆのベースとなるもの
天ぷらつゆのかえし(素たれ)のレシピ
材料
キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ | 600ml |
---|---|
マンジョウ 本みりん | 200ml |
マンジョウ 料理の清酒 | 60ml |
砂糖 | 100g |
つくり方
- 1材料全てを鍋に入れて火にかけ、砂糖が溶けたら、火を止めて冷ます。沸騰させると焦げるので、絶対に沸かさないようにする。
- 2「1.」を冷まして、冷暗所に3週間から2カ月おく。ねかせるで、角が取れ、味にまるみが出る。
4)かつおだし
水1リットルに対し、かつお削りぶし40gで、だしを取る。
- ※昆布とかつおの合わせだしを使う場合は、グルタミン酸が強くなるので。
かえし:合わせだし=1:3程度でもよい。
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