老舗のご主人が伝授!お家でそばをおいしく
堀井 良教 先生(「総本家 更科堀井」九代目当主)




2025年11月29日KCC食文化と料理の講習会は、「総本家 更科堀井」九代目当主の堀井良教先生をお招きし、「老舗のご主人が伝授!お家でそばをおいしく」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
堀井先生は大学卒業後、家業のそば店の再建に取り組み、途絶えていた「更科」の暖簾を父とともに復活させました。「江戸そば」の味を再現し、再び「そばの名店」としての評価を得て今日に至っています。現在は海外でのそばの紹介や、日本の食文化の継承・発展にも尽力。2025年には、江戸そばの伝統を守りながら新たな可能性を追求した功績が認められ、「現代の名工」に選出されました。
今回は十代目の堀井良光さんとともに、家庭でそばをおいしくつくるコツをご紹介いただきました。 なぜ、江戸でそばが愛されたか?など、そばの魅力をひもとく話も伺いました。
- 返しのつくり方
返しはそばつゆの基本で、これにだしを合わせてつゆをつくります。家庭向けに味をまろやかにするため、砂糖の他にみりんも加えています。砂糖にてんさい糖を使うと味に深みが出ます。砂糖は溶けにくいので、温めて水に溶かしシロップ状にしてから、しょうゆと合わせます。長期保存ができるので、多めにつくっておくと便利です。
- だしのひき方
そば屋では厚削りの削り節を煮出し、香りとうま味の強いだしを取ります。これを返しと合わせるので、返しに負けない力強いだしが必要です。かつお節だけでなくさば節や他の素材を使えば、風味の異なるつゆが楽しめます。
- 返しの使い方
返しとだしの割合を変えると、そばつゆ以外のいろいろな料理に使えます。冷たいそばのつけ汁は、「返し1:だし4」、温かいそばのつゆは「返し1:だし8」が目安です。
- 豚汁せいろ
冷たいそばに、具材入りの温かい汁を添えた一品です。そばには長ねぎが定番ですが、今回は豚肉と相性の良い玉ねぎを合わせました。赤いパプリカが彩りを添え、野菜を生で使うことでフレッシュな味わいが楽しめます。
乾麺をおいしくゆでるコツをご紹介。ポイントはゆでる前に乾麺を水に浸すこと。こうすることでグルテンが緩み、短時間でゆでられ、もちっとしたコシのあるそばに仕上がります。さらにたっぷりの湯を使うこと、ゆで上げたらすぐに流水でぬめりを取り、冷たい氷水でしめることが大切です。
講習会ダイジェスト動画
講習会のレシピ
返しのつくり方
| キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ | 500ml |
|---|---|
| てんさい糖 | 85g |
| 水 | 50ml |
| マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん | 50ml |
- 1鍋に水を入れ、てんさい糖を入れて火にかけ、温めながらてんさい糖を溶かす。
- 2別の鍋にしょうゆ、みりんを入れて中火にかけ、温まったところで(1)を加えて火を強める。
- 3表面が白くなったら、沸騰しないうちに火を止める。
- 4冷めたら瓶などに移し、冷蔵庫で保存する。
だしのひき方
| 鰹枯節(かつおかれぶし) | 25g |
|---|---|
| 水 | 500ml |
- 1鍋に水を入れて沸騰させ、鰹枯節を入れる。
- 2強火で5分煮詰める。
- 3(2)をさらしなどの布で濾す。
返しの使い方
| 返し1:みりん1 | 焼き物のたれ |
|---|---|
| 返し1:出汁1:みりん1 | 煮魚のベース |
| 返し1:みりん3 | そば汁・丼つゆ |
| 返し1:みりん4 | 天つゆ・おひたし |
| 返し1:みりん5 | おでん・鍋物 |
| 返し1:みりん6 | ぶっかけ汁・野菜の煮つけ |
| 返し1:みりん7 | ねぎま鍋・つみれ汁 |
| 返し1:みりん8 | かけ汁 |
豚汁せいろ
| そば(乾) | 2人分 |
|---|---|
| だし ※だしのひき方参照 | 320ml |
| 返し ※返しのつくり方参照 | 70ml |
| 豚ばら肉しゃぶしゃぶ用 | 100g |
| 玉ねぎ(薄切り) | 適量 |
| パプリカ(さいの目切り) | 適量 |
| 貝割れ菜 | 適量 |
| 柚子こしょう | 少々(好みで) |
- 1
そばをおいしくゆでる
そばはゆでる前に、3~5分ほど水に浸す。 - 2たっぷりの湯をしっかりと沸騰させ、そばを入れて、表示より1分ほど短い時間でゆでる。
- 3ゆで上がりは氷水につけて確認する。
- 4ゆで上がったら、流水でよく洗い、氷水につけてしめる。
- 5余分な水けをきる。
- 6
豚汁をつくる
返しとだしを合わせてつゆをつくる。 - 7鍋に(6)のつゆを入れて温め、沸騰前に豚ばら肉を入れて、色が変わったら火を止める。
- 8豚汁の器に玉ねぎを入れ、(7)の豚ばら肉を入れて温かい汁をはる。
- 9パプリカと貝割れ菜をのせる。
- 10
盛りつける
(5)のそばを器に盛りつけ、(9)の温かい豚汁を添え、好みで柚子こしょうなどを添える。

旬の食材をおいしく食べられるレシピを毎日更新!






