わが家でできるサステナブルな食と暮らし <第3回>ドイツと日本に学ぶサステナブルな生活をいかした食と暮らし
門倉 多仁亜 先生(料理研究家)
2023年3月18日のKCC食文化と料理の講習会 YouTubeライブ配信は料理研究家 門倉多仁亜先生をお招きし、「ドイツと日本に学ぶサステナブルな生活をいかした食と暮らし」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
ドイツと日本にルーツを持つ門倉先生から、ドイツ流のサステナブルな暮らし方とSDGsにつながるドイツの家庭料理をご紹介いただきました。
「ドイツの食文化として、シンプルな食卓、旬を楽しむ、保存食の活用があり、これらはサステナブルな暮らし方につながり、変化しつつも現代に受け継がれていると思います。野菜、果物、玉子も包装なしで1個から買うことができ、無駄な包装や食品ロスの防止に役立っています。最近は肉から野菜中心の食生活にする人たちが増え、スーパーやレストランも野菜を主とした食品や料理が増加。そして家族や友人たちとの普段の会話の中で、環境問題について話すことが多いです。まずは知ること、意識すること、そして自分のこととして考えることが大切だと思います。私も現在住んでいる鹿児島で、自分なりに食材を無駄にしないことを心がけ、身近な食材を使い、シンプルな食卓でも豊かに楽しむことを実践しています。」
- ザワークラウト
キャベツを塩漬けにし発酵させた保存食。保続食は季節の食材を無駄なく、長期にわたり食べられるようにする食の知恵です。漬け始めから時間の経過とともに味の変化も楽しめ、料理にも活用ですます。キャベツは巻きがしっかりした重量のあるものが向きます。
- 野菜のだし
肉類は使わず野菜だけでつくっただし。甘味のあるやさしい味わい。残った野菜の皮や端を使えば、食品ロス防止にもつながります。野菜は何でもかまいませんが、玉ねぎの皮を少し入れると、淡く茶色に色づき見た目もおいしいそうに仕上がります。
- ドイツ風具だくさんスープ
1つの鍋という名前を持つスープ。土曜日がこのスープの日とされ、残りものを使い、食べものを無駄にせず食べきるという習慣でしょう。味だしのベーコンの代わりに、日本ならば油あげやちくわを入れても。このスープにはバターをたっぷりとぬったライ麦パンを添え、一緒に食べるのが習わしです。
- ザワークラウトの煮込み きのことマッシュポテト添え
ザワークラウトを使った一品。通常は豚肉やソーセージと合わせますが、ベジタリアン風にしいたけのソテーを添えました。きのこはその食感やうま味から、昔は貧しい人のための肉と言われました。ドイツの主食でもあるマッシュポテトを添え、シンプルにワンプレートに盛りつけました。
- 豆腐のパンスプレッド
豆腐でつくったパン用のスプレッド。ドイツではベジタリアン向けのスプレッドがたくさん売られています。水切りした豆腐に調味料を加えてペースト状にするだけ。パンと豆腐の組み合わせが新鮮です。
講習会のレシピ
ザワークラウト
キャベツ ※冬キャベツのような巻きが固いもの。 |
1個 |
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塩(粗塩) | キャベツの重量の2% |
【お好みのスパイス】 | |
キャラウェイシード | 小さじ1 |
ローリエ(月桂樹の葉) | 1枚 |
耐熱容器(大きめの瓶など) | 沸騰した湯に入れて煮沸しておく |
- 1キャベツの一番外の葉は必要ならはずす。(漬ける時のふたに使う)キャベツの表面を洗ってよく水気をふく。4等分に切って芯を切り取る。重さを計り、重量の2%の塩を用意する。
- 2キャベツをせん切りにしボウルに入れる。塩を全体にふりかけ全体を混ぜながらキャベツを軽くもむ。水分が出てきたら、スパイスを合わせながら容器に詰める。キャベツを押さえ水分が上がってくるようにする。
- 3「2.」のキャベツが空気に触れないようにラップフィルムをして(「1.」のキャベツの葉を使ってもよい)、その上に重しをのせる。(ジャムの瓶、水を入れた密閉袋など)
- 4「3.」を半日から1日くらいおくと水分が上がってくる。容器をバットにのせ、様子をみる。瓶は軽くふたをしてもよい。(翌日になっても水分が十分に上がってこなければ、塩分2%の塩水100mlを加える。100mlの水に2gの塩を溶かしたもの。)
- 5「4.」を常温(18℃くらい)において3~6日発酵させる。その後、冷蔵庫または涼しい場所(10℃くらい)で14~21日間熟成させる。その後は冷蔵庫で保管すれば 1年くらいは保存可能。発酵がどんどん進んで味と香り、見た目も茶色に変化する。
野菜のだし
水 | 600ml |
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A; | |
長ねぎ | 1本 |
玉ねぎ | 1個(皮を少々入れてよい) |
セロリ | 1本(葉も使う) |
にんじん | 小1本 |
他、好みの野菜(フェンネル、トマト、レモン薄切り、きのこの軸など) | |
サラダ油 | 適量 |
ハーブ類(パセリ、タイム、ローリエなど) |
- 1Aの野菜類は小さめのざく切りにする。鍋にサラダ油を入れて、野菜類がしんなりするまで炒める。炒めると野菜の甘味がでる。
- 2「1.」に水を加え、ハーブ類を入れて沸騰させる。中火にして40~60分ほど煮出す。
- 3「2.」をざるなどで濾す。味をみてうすいようならば煮詰めてもよい。
ドイツ風具だくさんスープ
じゃがいも(メークイン) | 3~4個 |
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玉ねぎ | 1個 |
にんじん | 1/2~1本 |
セロリ | 1本 |
長ねぎ | 1本 |
ベーコン(かたまり) | 50g |
スナップえんどう | 5~6本 |
ローリエ(月桂樹の葉) | 1枚 |
野菜のだし汁(※) | 600ml |
サラダ油 | 少々 |
塩 | 適量 |
こしょう | 少々 |
パセリ(みじん切り) | 少々 |
ライ麦パン(スライス) | 適量 |
バター | 適量 |
- 1玉ねぎ、にんじん、セロリは1cm角に切る。長ねぎは1cm長さに切る。じゃがいもはほかの具材より少し大きめに適宜切る。(じゃがいもは切ってしばらくおく場合は、色がかわらないように水につける)ベーコンは太めのせん切りに切る。
- 2スナップえんどうは筋を取り、塩ゆでして冷水に取り、3等分に切る。
- 3鍋にサラダ油を熱してベーコンを加え、脂が少し出るまで炒める。そこへ玉ねぎ、にんじん、セロリ、長ねぎを入れ、しんなりするまで炒める。野菜のだし汁とローリエを入れて沸騰したら、中火にして野菜がやわらかくなるまで15分ほど煮る。5分たったらじゃがいもを加えて再度沸騰させ、中火にしてじゃがいもがやわらかくなるまで煮る。スナップえんどうを加え、塩、こしょうで味をととのえる。
- 4皿に盛りつけパセリを散らし、バターをたっぷりぬったライ麦パンを添える。
ザワークラウトの煮込み きのことマッシュポテト添え
ザワークラウト(※) | 400g |
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玉ねぎ(みじん切り) | 1個 |
りんご(皮と芯を除いて細かいざく切り) | 小1個(または大1/2個) |
デルモンテ エキストラバージン オリーブオイル | 大さじ1 |
マンズワイン・白 | 50ml |
野菜のだし汁(※) | 100~150ml |
はちみつ | 大さじ2~3 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 大さじ1程度 |
ローリエ(月桂樹の葉) | 1枚 |
ジュニバーベリー | 5粒 |
しいたけ(肉厚のもの) | 8~10枚 |
デルモンテ エキストラバージン オリーブオイル | 大さじ1 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 少々 |
こしょう | 少々 |
パセリ(みじん切り) | 少々 |
マッシュポテト ※下記参照 |
適量 |
- 1鍋を熱してオリーブオイル大さじ1を入れ、玉ねぎを入れてしんなりするまで炒める。
- 2ザワークラウトの水気を軽くきってほぐしながら「1.」に入れて炒め、りんごも加え炒める。白ワインを入れてアルコール分をとばす。
- 3「2.」に野菜のだし汁、はちみつ、しょうゆ、ローリエ、ジュニバーベリーも加えて沸騰させてから弱火にし、20~30分煮る。仕上がりに水分が多いようなら最後に煮詰める。
- 4しいたけは軸を取り大きければ適宜切る。フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱し、しいたけを入れて焼く。仕上げにしょうゆ少々をまわしかける。こしょうとパセリのみじん切りをふる。
- 5皿に「3.」のザワークラウトとマッシュポテトを盛りつけ、「4.」のしいたけを添える。
マッシュポテト(※)
じゃがいも(男爵) | 300g |
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バター | 大さじ2 |
牛乳(温める) | 50~80ml |
ナツメグ | ひとつまみ |
塩 | 小さじ1/2~1 |
- 1じゃがいもは皮をむいて4~6等分に切る。鍋に入れてひたひたに水を注ぎ、塩小さじ1/2~1を入れて、15分程度ゆでる。竹串がすっと通るまで火を通す。
- 2「1.」のゆで汁を少し取り、じゃがいもをざるにあげ、水切りしたじゃがいもを鍋に戻してマッシャーでつぶす。バターを加えて混ぜる。じゃがいもの固さを見ながら温めた牛乳とゆで汁を加えて、なめらかになるまで混ぜ合わせる。
- 3「2.」にナツメグをふり入れ、味をみながら 必要であれば 塩(分量外)で味をととのえる。
- ※冷めたら牛乳やゆで汁を加え火にかけて温め直す。
豆腐のパンスプレッド
木綿豆腐 | 1/2丁(150g位) |
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ごまペースト・白 | 大さじ1 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ | 小さじ2 |
にんにく(すりおろし) | 1/2かけ |
デルモンテ エキストラバージン オリーブオイル | 大さじ1 |
塩 | 少々 |
こしょう | 少々 |
レモン汁 | 好みで適量 |
パプリカパウダー | 少々 |
ライ麦パン(スライス) | 適量 |
- 1豆腐はペーパータオルにはさんで重しをのせ、しっかり水切りをする。
- 2「1.」をボウルに入れ、ごまペースト、うすくちしょうゆ、にんにく、オリーブオイルを入れてハンドブレンダーでペースト状にする。
- 3「2.」を塩とこしょうで味をととのえ、好みでレモン汁を加える。器に盛りつけ、パプリカパウダーをふり、スライスしたライ麦パンを添える。
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