初夏の軽やかなドイツ家庭料理
門倉 多仁亜 先生(料理研究家)





2025年6月10日KCC食文化と料理の講習会は、料理研究家の門倉多仁亜先生をお招きし、「初夏の軽やかなドイツ家庭料理」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
門倉先生はドイツ人の母と日本人の父を持ち、海外や日本で過ごしました。ロンドンで料理を学び、帰国後、東京の自宅で料理教室を開き人気に。料理好きの祖母直伝のドイツ家庭料理をはじめ、ドイツのライフスタイルなどを雑誌や書籍で紹介しています。現在は鹿児島県に拠点を移し、新たな生活や地元の食材を使った料理を発信しています。
ホワイトアスパラガス、じゃがいも、ハーブなどを使った、初夏のドイツ家庭料理をご紹介いただきました。この季節ならではのシンプルで軽やかな料理です。
- ホワイトアスパラガス 焦がししょうゆバターソース Weißer Spargel mit warmer Soja-Buttersoße
ホワイトアスパラガスは、ドイツでは初夏限定のごちそうです。シンプルにゆでて食べることが多く、ゆで加減がとても重要です。
長さは切らずに表面の皮をむき、その皮も一緒に入れてゆでます。真ん中を持ち上げて少ししなるくらいがちょうど良いとか。
ソースは卵黄、バター、レモン汁でつくるオランデーズソースが定番ですが、今回は少し焦がしたバターにしょうゆとみりんを加えたソースを添えました。
じゃがいもとともに盛りつけます。 - あたたかいポテトサラダ Weißer Spargel mit warmer Soja-Buttersoße
スープで煮たじゃがいもを使った、シンプルであたたかいポテトサラダです。
ドレッシングはピクルス、玉ねぎ、粒マスタードなどを加えた酸味がほどよくきいた味わいです。
煮たじゃがいもを取り分けて、ピューレーにしたものを少量加えて軽くとろみをつけます。
冬の寒さが厳しいドイツでは、ピクルスなど保存食を家庭でつくっていた伝統があり、料理にもよく活用されます。
このまま一品としても楽しんでも、ソーセージや他の主菜の付け合わせにもなるポテトサラダです。 - 鶏ささみ肉のシュニッツェル フランクフルト風グリーンソース Weißer Spargel mit warmer Soja-Buttersoße
シュニッツェルは、牛肉や豚肉を薄くたたいてのばし、揚げ焼きにした料理です。
これを今回は鶏ささみ肉でつくりました。衣にパルメザンチーズを加え、揚げ油にはバターを加えてリッチな味わいに。
ソースはハーブをたっぷり使った、見た目にもグリーンがさわやかなソースです。
ドイツには日本の七草のような定番のハーブがあり、今回は日本でも手に入れやすいハーブと野菜でつくりました。ハーブソースはパンに添えたり、ソーセージや魚料理のソースとしても合います。
ドイツのさわやかな初夏を感じさせる料理でした。
講習会のレシピ
ホワイトアスパラガス 焦がししょうゆバターソース
| ホワイトアスパラガス(太いもの) | 12本 |
|---|---|
| 無塩バター | 60g |
| キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 大さじ1 |
| マンジョウ米麹こだわり仕込み本みりん | 大さじ1 |
| つけ合わせ: | |
| ゆでたじゃがいも | 適量 |
| レモン | 適量 |
| パセリ(みじん切り) | 適量 |
- 1アスパラガスは下の固い部分は切り落とし、穂先の下から皮をむき、皮は残しておく。
- 2アスパラガスを切らずにそのまま入る大きさの鍋に、水をたっぷり入れて沸騰させ、(1)の皮と塩(分量外)を入れる。
- 3(2)に(1)のアスパラガスを入れてコトコト沸く位の火加減でゆでる。7~8分が目安。アスパラガスの真ん中あたりを持ち上げて軽くしなるくらいがよい。気持ちやわらかめがドイツ流。ゆだったらすぐにザルにあげる。
- 4鍋にバターを入れて火にかけ、バターが溶けて泡が出て色づいてきたら、焦げないように注意しながら、香ばしい香りがするところで火からおろす。しょうゆとみりんを加える。
- 5アスパラガスを皿に盛りつけ、ゆでたじゃがいもを添えて(4)のソースをかける。くし形に切ったレモンを添え、パセリを散らす。
あたたかいポテトサラダ
| じゃがいも(メークイン) | 400g |
|---|---|
| ブイヨンスープ | 300ml |
| ローリエ | 1枚 |
| 唐辛子 | 1本 |
| 【A】 | |
| ワインビネガー・白 | 大さじ2 |
| 粒マスタード | 小さじ1~2 |
| エキストラバージンオリーブオイル | 大さじ2~3 |
| 玉ねぎ(みじん切り) | 1/2個 |
| ピクルス(みじん切り) | 大1~2本 |
| 砂糖 | 少々 |
| 塩 | 少々 |
| こしょう | 少々 |
| パセリ(みじん切り) | 少々 |
- 1じゃがいもは皮つきのままよく洗う。
- 2鍋にブイヨンスープ、ローリエ、唐辛子を入れ、(1)のじゃがいもを入れてやわらかくなるまでゆでる。ザルの下にボウルをおいてじゃがいもをザルにあけて、ゆでたスープは取っておく。じゃがいもは皮をむき、1~2cm厚さの輪切りにする。
- 3(2)のスープ150mlを鍋に入れて沸騰させ、(2)のじゃがいもを2~3枚入れて、ブレンダーなどでピューレーにする。とろんとした液体になったら【A】を混ぜ、砂糖と塩、こしょうで味をととのえる。
- 4(3)に(2)のじゃがいもを入れて、あまり崩さないように和える。仕上げにパセリを混ぜる。
鶏ささみ肉のシュニッツェル フランクフルト風グリーンソース
| 鶏ささみ肉 | 8本 |
|---|---|
| 小麦粉 | 適量 |
| 溶き卵 | 1個分 |
| パン粉(乾燥・細目) | 適量 |
| パルメザンチーズ | 大さじ3~4 |
| 無塩バター | 50g |
| オリーブオイル | 50ml |
| 塩 | 少々 |
| こしょう | 少々 |
| つけ合わせ: | |
| ゆでたじゃがいも | 適量 |
| レモン(くし形) | 4切れ |
| グリーンソース: | |
| 固ゆで卵 | 2個 |
| サラダ油 | 大さじ3 |
| ヨーグルト | 150ml |
| サワークリーム | 150ml |
| きゅうり | 1本 |
| ハーブ類(パセリ、クレソン、チャービル、チャイブ、タラゴン、ディルなど) | 2カップ |
| ピクルス(みじん切り) | 大さじ2~3 |
| 玉ねぎ(みじん切り) | 1/2個 |
| にんにく(みじん切り) | 少々 |
| 【A】 | |
| 塩 | 適量 |
| こしょう | 適量 |
| レモン汁 | 適量 |
| ディジョンマスタード | 小さじ1 |
| 砂糖 | 少々 |
- 1鶏ささみ肉は筋を取り除き、ラップフィルムにはさんで麺棒などでたたいて、厚みを少し薄くする。
- 2(1)に塩とこしょうをして、小麦粉、溶き卵、パルメザンチーズを合わせたパン粉の順に衣をつける。
- 3フライパンにオリーブオイルとバターを入れて火にかけ、熱くなったら(2)を入れて焦げないように動かしながら揚げ焼きし、程よく色づいたら上げて油をきる。
- 4グリーンソースをつくる。固ゆで卵は殻をむいて半分に切り、卵黄を取り出しフォークなどでつぶし、サラダ油を加えてなめらかなペーストをつくる。白身はみじん切りにする。
- 5きゅうりとハーブ類はそれぞれ洗って水けをきり適度に刻む。ブレンダーできゅうりを軽くピューレーにした後、さらにハーブ類も加えてピューレーにする。
- 6(4)の卵黄のペーストに、ヨーグルトとサワークリームを加えて混ぜ、(5)のピューレーも加えて混ぜて【A】で味をととのえる。
- 7(6)に(4)の白身、ピクルス、玉ねぎ、にんにくを加えて混ぜる。
- 8(3)のシュニッツェルとゆでたじゃがいもを皿に盛りつけ、(7)のグリーンソースとレモンを添える。

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