<年末年始はおウチでごちそう!>第1回 おウチでつくるごちそうの定番!“すき焼き”

講師

宮本 尚樹 先生(「伊勢重」七代目)

黒毛和牛を丁寧に手切りする様子
鍋を熱し、牛脂を溶かす様子
完成したすき焼き
宮本尚樹先生

2022年11月26日のKCC食文化と料理の講習会 YouTubeライブ配信は「伊勢重」七代目の宮本尚樹先生をお招きし、「老舗にならうごちそう!“すき焼き”」をテーマに開催しました。

講習会のレポート

宮本先生は大学卒業後、レストラン会社に就職し2010年に家業の「伊勢重」につとめました。現在は七代目として伝統の味を守りながらも、すき焼きの新たなおいしさを求めてご活躍です。

いつの時代でもご家庭で人気のごちそう“すき焼き”。ご家庭でおいしくつくるプロのコツを、すき焼きの歴史や面白エピソードとともにご紹介いただきました。

「伊勢重」は1869年(明治2年)に東京・日本橋小伝馬町に創業。東京で最も歴史の長いすき焼き専門店です。黒毛和牛を用い“手切り”“割り下”“炭火”にこだわり、創業以来の技と味を継承しています。手切りはうすいスジや肉の繊維にも気を配ることができ、より舌ざわりのいい肉を切り出せます。

「伊勢重」では、今でも機械切りではなく1枚1枚丁寧に手切りをしています。
明治時代には牛鍋ブームがあり、明治10年、東京の人口は89万人で牛鍋屋が558店、1,595人に1店の割合で牛鍋屋がありました。これは平成27年のコンビニエンスストアが1,907人に1店の割合なので、いかに牛鍋屋が多かったということです。
まだ四つ足動物を食べることに慣れていない時代、お店に卵を投げつけられたりしたとか。店の塀を高くし中で肉を食べていることを見えなくしたり、看板には「牛鳥すき焼 いせ十」と“鳥”という文字が入っていたりなど、老舗ならではのエピソードなどを聞きました。

すき焼きの奥深さを知って、よりすき焼きがおいしく感じられる講習会でした。

講習会のレシピ

家庭でのおいしい割り下のつくり方(黄金比)

しょうゆ:みりん:砂糖:水=3:1:1:6

材料:3~4人分
キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ 180ml
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん 60ml
砂糖 60g
360ml
つくり方
  1. 1鍋に材料を入れて軽く煮立たせ、みりんのアルコール分を飛ばし、アクをていねいに取る。
  2. 2「1.」を一晩ねかせる。カドが取れてまろやかな味わいになる。
肉の選び方・準備
  • スーパーや肉屋さんで牛肉を選ぶ時は、もも肉とロース肉を半々で選ぶのがおすすめ。もも肉は安価で、ロース肉は筋が少なくやわらかいので、この2種だと価格、味ともバランスよく楽しめる。
  • 肉の端の脂身はスジのところから切り落とすと、舌ざわりがよくなる。
  • 盛りつけは、皿の一面が隠れるように放射状に重ねて盛りつけると華やかに見える。
野菜の選び方・準備
  • 豆腐は水分含有量の少ない焼豆腐がおすすめ。
  • 春菊は茎の断面を見て、中心部分が白くないもの、また空洞でないものがよい。茎が曲がっているものは味が落ちている。
  • しらたきは、細い方がコシがある。
  • しらたきは、アク抜き不要と記載があっても、さっと湯がいてアク抜きした方がおいしい。
  • 白菜は水気が出るので専門店ではあまり使わない。
食べ方のコツ
  1. 1鍋を熱し、牛脂を溶かして鍋全体になじませる。
  2. 2鍋の底が隠れるくらいに割り下を入れてひと煮立ちさせる。
  3. 31人1枚ずつ肉を入れて、軽く泳がせるようにさっと火を通す。最初の1枚は卵をつけず、そのままの肉の味を味わう。肉のうまみが割り下に溶け込む。
  4. 4ねぎ、焼き豆腐、春菊、しらたきを入れて割り下を足す。
    • ねぎの上に春菊をのせると、春菊に火が通り過ぎるのを防げ、ねぎも蒸し焼きになり、甘くやわらかくなる。
    • しらたきを肉と隣り合わせると固くなるというのは都市伝説!影響はない。
  5. 5再度肉を加えて後はご自由に!
    • 肉は火を通しすぎると固くなるので煮込まない。
    • 一度に材料を全て入れるのはNG。肉とその他を、何回かに分けて食べ頃を楽しむのがベスト。
    • 昆布だしを用意し、割り下が煮詰まった時に加えると味がうすまらない。
    • 味が濃くなってきたり味に飽きてきたら、大根おろしや白髪ねぎ(生でもサッと割り下にくぐらせても)と一緒に食べるとさっぱりして、おいしく食べられる。
    • 最後にお好みで、うどんやご飯を入れたり、卵でとじたりして楽しむ。うどんには、小口切りにした青ねぎや七味唐辛子をふるとよい。
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