ナイル善己さんにならう 南インドの家庭のおかず
ナイル 善己 先生(「ナイルレストラン」三代目)





2023年7月1日のKCC食文化と料理の講習会は、「ナイルレストラン」三代目のナイル善己先生をお招きし、「ナイル善己さんにならう 南インドの家庭のおかず」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
ナイル先生は東京・銀座にある日本最古の本格インド料理店の三代目。南インド・ゴア州で料理を学び五つ星ホテルで修業を積みました。現在も年に数度インドに足を運び現地の味を学んでいます。日本でインド料理やその食文化を分かりやすく紹介し、テレビや雑誌などメディアでも人気です。
今回は南インドの家庭のおかずをご紹介いただきました。南の料理は北に比べて、魚介や野菜中心で酸味や辛味が立ったさらりとした味わいに特徴があります。
- チキン65
スパイシーなたれをからませた鶏のから揚げ。トマトピューレーと砂糖で甘酸っぱさをプラスしています。油にホール(粒)スパイスを入れて香りを移し、パウダー(粉)スパイス類とその他を加えて炒め、香りと味をなじませます。スパイスは焦がさないようによく炒めることで香りが立ちます。インド料理は基本だしやスープは使わず、油とスパイスと塩で味を決めるので、塩味をしっかりきかせることが大事。塩味が弱いとスパイスが引き立ちません。
- プロウンマサラ
海が近いゴアの町でポピュラーなえびの炒めものです。酢が入るのが特徴で、スパイスの辛味と酢の酸味が食欲をそそります。油にマスターシード(粒)を入れて熱し、はねるのがおさまったら、酢、にんにく、しょうが、パウダースパイス類を混ぜ合わせたペーストを加えてよく炒めます。このペーストはえびの他の魚介にも合うペーストです。最後に加える香菜は、香りだけでなく火を通すとうま味も出るハーブなので、使うことをおすすめします。
- アビエル
野菜のココナッツ炒め煮。短時間でつくれ、やさしい味わいの南インド鉄板のおかずで、ココナッツとバナナを使うところが南らしい一品です。南インドでは料理のコクを出すのによくココナッツを使います。最後に油にマスタードシードなどを入れて、粒がはねるくらいよく熱したら、熱々の油をスパイスごと加えます。これは「テンパリング」と言って、南インドの特徴的なスパイスの使い方です。
インド料理の文化とスパイスの奥深さ、楽しさを習った講習会でした。
講習会のレシピ
チキン65(揚げ鶏のスパイス和え)
鶏もも肉(皮をむきひと口大に切る) | 400g |
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【A】 | |
にんにく(すりおろし) | 小さじ2 |
しょうが(すりおろし) | 小さじ2 |
片栗粉 | 小さじ2 |
溶き卵 | 1個分 |
揚げ油 | 適量 |
クミンシード(ホール) | 小さじ1 |
サラダ油 | 大さじ2 |
【B】 | |
にんにく(みじん切り) | 1かけ分 |
しょうが(みじん切り) | 1かけ分 |
青唐辛子(みじん切り) ※またはしし唐辛子 |
2本分 |
【C】 | |
パプリカ(パウダー) | 小さじ1 |
クミン(パウダー) | 小さじ1/2 |
カイエンヌペッパー(パウダー) | 小さじ1/3 |
黒こしょう(パウダー) | 小さじ1/2 |
砂糖 | 小さじ2 |
デルモンテ リコピンリッチ トマトピューレー | 大さじ4 |
塩 | 適量 |
こしょう | 適量 |
香菜(みじん切り) | 適量 |
- 1鶏肉に塩、こしょう各少々とAをもみ混み、すぐに片栗粉をまぶす。溶き卵もからめる。
- 2揚げ油を高温に熱し、(1)を入れて色よく中に火が通るまで揚げて油をきる。
- 3フライパンにサラダ油を軽く温め、クミン(粒)を入れ、泡が立ったらBを入れて炒める。にんにくがほんのり色づいてきたらCのパウダースパイス、塩小さじ1/2、砂糖を加えて全体をなじませる。トマトピューレーを加えてなじませて沸騰させる。
- 4(3)に(2)の鶏肉を入れてよくからめる。香菜を混ぜて塩で味をととのえる。
プロウンマサラ(えびのスパイス炒め)
えび(殻を取り背わたを取る) | 8尾 |
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玉ねぎ(薄切り) | 1/2個 |
青唐辛子(斜め薄切り) ※またはしし唐辛子 |
2本 |
マスターシード(ホール) | 小さじ1/2 |
サラダ油 | 大さじ2 |
【A】 | |
酢 | 大さじ2 |
にんにく(すりおろし) | 小さじ1 |
しょうが(すりおろし) | 小さじ1 |
塩 | 小さじ1/2 |
コリアンダー(パウダー) | 小さじ2 |
クミン(パウダー) | 小さじ1 |
ターメリック(パウダー) | 小さじ1/2 |
カイエンヌペッパー(パウダー) | 小さじ1/3 |
ヒン(あればパウダー) | ふたつまみ |
香菜(ざく切り) | 適量 |
塩 | 少々 |
- 1ボウルにAの材料を入れて、よく混ぜ合わせる。
- 2フライパンにサラダ油を軽く温め、マスターシードを加えてふたをする。はねるのがおさまったら、玉ねぎと青唐辛子を加え、強めの中火で玉ねぎがほんのり色づくまで炒める。
- 3(2)に(1)を加えて焦げないように20~30秒炒め合わせ、スパイスの香りを立たせる。水大さじ1を加えてしっかりとなじませる。すぐにえびを加える。
- 4えびにペーストをからませながら炒め、火が入ったら香菜を混ぜ、塩で味をととのえる。
アビエル(野菜のココナッツ炒め)
にんじん(3cm長さ拍子切り) | 1本 |
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じゃがいも(3cm長さ拍子切り) | 1個 |
さやいんげん(筋を取って3等分) | 100g |
バナナ(3cm)長さ拍子切り | 1本 |
【A】 | |
ココナッツファイン | 50g |
プレーンヨーグルト | 大さじ3 |
青唐辛子(ちぎる) ※またはしし唐辛子 |
2本分 |
水 | 100ml |
クミンシード(ホール) | 小さじ1 |
サラダ油 | 大さじ1 |
ターメリック(パウダー) | 小さじ1/4 |
塩 | 小さじ1+少々 |
【テンパリング】 | |
サラダ油 | 大さじ1 |
マスターシード(ホール) | 小さじ1/2 |
カレーリーフ(生・あれば) | 10枚 |
ヒン(あれば) | ひとつまみ |
- 1Aの材料をミキサーに入れ、クミンシードが粗びきになるまでまわす。
- 2鍋にサラダ油大さじ1を軽くあたため、にんじん、じゃがいもを入れ、油をからませ水100mlを加えてふたをして 4~5分蒸し煮する。ターメリック、塩小さじ1を加えて均一に混ぜ合わせる。
- 3(2)にさやいんげん、バナナも加えて炒め合わせ、(1)を加えて全体に混ぜてなじませ、ふたをして5分蒸し煮する。
- 4小さいフライパンにテンパリング用のサラダ油大さじ1を入れて、マスターシードを入れてふたをし、はねるのがおさまったら、あればカレーリーフ、ヒンを加えてなじませ、(3)に加えてよく混ぜる。塩で味をととのえる。

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