わが家でできるサステナブルな食と暮らし <第1回>京都の里山から学ぶ食と発酵食の魅力

講師

中東 久人 先生(「美山荘」四代目)

ぬか漬け
干し野菜のごま和え
サーモンの酒粕漬け かすづけ
当日紹介した料理の集合写真
中東久人先生

2023年1月28日のKCC食文化と料理の講習会 YouTubeライブ配信は「美山荘」四代目 中東久人先生をお招きし、「京都の里山から学ぶ食と発酵食の魅力」をテーマに開催しました。

講習会のレポート

中東先生は長年にわたり、京都・花脊の里山の自然に寄り添った料理をつくり続けています。今回は里山での活動と発酵の力をいかした料理の紹介を通して、身近かでできるサステナブルな食をご提案いただきました。
「近年は地元の人や京都の大学生とともに里山の活性化のため、食材の畑づくりから、栽培・収穫、商品化をする取り組みを進めています。実体験が持続可能な食への意識向上につながると考えています。身近かなところでも、ベランダで野菜を育てるとか、加工品や保存食を自分でつくってみたりすることで、食材への慈しみや感謝の気持ちが生まれ、サステナブルな暮らしが育まれることと思います。楽しく無理なく続けることが大切ですね。」

  • 糠床 ぬかどこ

    米の廃棄部分の糠(ぬか)を使った、日本の昔ながらの食の知恵です。捨てる部分や余った野菜なども漬ければ、菌の発酵の力で保存ができ、さらにおいしく健康的な一品となります。しょうゆを加えると、味にうま味が加わり香りがよくなります

  • 干し野菜のごま和え

    野菜の皮や余った野菜を干して活用。干すことで味が凝縮され、生とは違ったおいしさと食感が生まれます。自然のエネルギー、天日の力を利用して食材をおいしくすることはまさに、持続可能な食にぴったりな調理法です。野菜本来の力強い味わいと天日の恵みが味わえる一品です。

  • サーモンの酒粕漬け かすづけ

    酒かすは日本酒をつくる時に出る廃棄物。これを和え衣としておいしく食べてしまおうというアイデアです。酒かすに含まれる酵素には食材にうま味をあたえ、アルコール分には腐敗を遅らせ、食材を長くもたせる効果があります。クリームチーズを加えることでワインにも合うような風味が加わり、いぶりがっこの燻製の香りと食感が良いアクセントとなっています。

小さなことでも、食材や料理をつくる苦労とよろこびを体験することが、サステナブルな食と暮らしにつながると感じた講習会でした。

講習会のレシピ

糠床(ぬかどこ)

材料:つくりやすい分量
米ぬか 1000g
120g
1000~1200ml
キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ 1カップ
赤唐辛子(乾燥・種は除く) 2~3本
昆布 10cmくらい
だし用じゃこ 適量
捨て漬け野菜(野菜の端切れ:かぶ、大根、にんじんなど) 100g×3~4回
  • ぬか床の容器:ほうろう・陶器・磁器・ガラスなど、変質しない素材のものがよい
つくり方
  1. 1鍋に水と塩を合わせ火にかけ、沸騰させて冷ます。
  2. 2ぬかを別の鍋に入れ弱火で加熱し、きつね色になり香ばしい香りがしてくるまで煎る。
  3. 3容器に「2.」のぬかと「1.」の塩水としょうゆを少しずつ加えながらよく混ぜ合わせ、耳たぶくらいのかたさにする。
  4. 4「3.」に赤唐辛子、昆布、だし用じゃこを加えよく混ぜ込む。
  5. 5「4.」に捨て漬け野菜も入れて容器の内側の汚れをふき取り、ぬか床の表面を平らにし涼しい場所におく。
  6. 610日間、朝・夕と2回、「5.」の底と表面を入れ替えるようにザックリとかき混ぜる。
  7. 72日目くらいに野菜を取り出して、ぬかと水分をよくしぼり取りぬか床に戻す。新しい野菜を漬け込む。これを3~4回繰り返す。

干し野菜のごま和え

材料:2人分
にんじん 50g
大根の皮
※その他の野菜でもよい。残った野菜や皮や端などを利用。白菜、ブロッコリーの茎など
100g
   
A;  
 だし 大さじ2
 キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ 小さじ1
 マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん 小さじ1
 米酢 小さじ1
   
煎り白ごま 小さじ1
つくり方
  1. 1大根の皮とにんじんは5mm位の厚さに切る。
  2. 2平らなザルなどに「1.」を広げ、半日ほど時々裏表をひっくり返し天日で干す。
  3. 3Aの材料を合わせ、ビニール袋などに入れ、「2.」の野菜を加え軽く揉み、煎り白ごまを刻み、混ぜ合わせる。

サーモンの粕漬け(かすづけ)

材料:4人分
サーモン(生食用) 100g
4~5g
   
A;  
 酒かす 50g
 白みそ 10g
 甘酒 30g
 上白糖 5g
 クリームチーズ 10g
   
木の芽 20枚くらい(1.5g)お好みで
いぶりがっこ(またはしば漬け) 10gくらい(お好みで)
  • いぶりがっこ:たくあんを燻製した漬物
  • 木の芽の代わりに、ゆずの皮と果汁でもよい
つくり方
  1. 1サーモンに塩をふりしばらくおき、水分が出たら水気をふき取る。
  2. 2ボウルに酒かす、白みそ、甘酒、上白糖、クリームチーズを合わせる。
  3. 3「1.」のサーモンを1cm角に切り、「2.」のかす床と合わせて密閉容器に入れ、空気がなるべく入らないように詰めて3日ほど冷蔵庫におく。
  4. 4木の芽といぶりがっこ(またはしば漬け)はきざむ。
  5. 5「3.」のサーモンを取り出しボウルに移し、「4.」と合わせて器に盛る。
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