京都から発信 野菜を活かすイタリアン
中東 俊文 先生(「ristorante DONO」オーナーシェフ)





2025年6月23日に開催されたKCC食文化と料理の講習会は、「ristorante DONO」オーナーシェフの中東俊文先生をお招きし、「京都から発信 野菜を活かすイタリアン」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
中東先生は京都で生まれ育ち、父は「草喰 なかひがし」、従兄は「美山荘」を営む料理一家の出身です。イタリアやフランスで研鑽を積んだ後、帰国して東京に自身の店を開き、野菜に焦点を当てた料理を提供しています。2024年には地元・京都に「ristorante DONO」をオープンし、2025年にはミシュランガイドのグリーンスター(※)を獲得。自ら畑を耕し、地産地消を実践しながら、四季折々の自然の恵みを料理に表現しています。
※持続可能なガストロノミーに対し、積極的に活動しているレストランに贈られる
野菜が中心のイタリア料理をご紹介いただきました。京都の自然と向き合う中から生まれた、野菜を活かす技やアイデアで、イタリアンのおいしさを広げます。
- 加茂なすのカポナータ
カポナータはイタリア・シチリア地方のなすが主役の料理で、甘酸っぱい味わいが特徴です。
今回は煮込まずに揚げたなすに、砂糖と酢で煮詰めた玉ねぎ、にんにくとオリーブオイルをかけてローストしたトマトを合わせて、仕上げています。
先生が京都から持って来た、肉質のしっかりした京野菜の加茂なすを使いました。
できたてでも、冷やして味をなじませてもおいしくいただけます。 - 真竹と山椒のスパゲッティ
西洋野菜のアーティチョークと白こしょうの組み合わせを、食感が似ている真竹と実山椒に置き換えてアレンジしました。
真竹は日本に古くからある初夏に収穫されるたけのこで、アクが少なく下ゆでせずに使えるのが特徴です。そのシャキシャキした食感が、アーティチョークに通じるものがあります。
実山椒も同じく初夏限定の食材で清涼感のある辛みと風味が魅力です。
どちらも私たちの身近な自然の中でも採れる季節感あふれる食材です。仕上げにしょうゆを加えて風味をさらに引き立てました。 - ビーツのリゾット
スーパーフードとも呼ばれる栄養価の高いビーツを使った、彩り豊かなリゾットです。ビーツは色鮮やかな赤紫色の根菜で、ほんのり甘く土の香りがします。
本来リゾットは生米を使い長時間混ぜながら煮る必要がありますが、今回はご飯を使って手軽につくれる方法をご紹介。
ご飯にビーツのゆで汁を加えて沸かし、無塩バター、パルメザンチーズ、ビーツのピューレーを加え、乳化するように混ぜながら3分ほど煮れば完成です。短時間で本格的なリゾットが楽しめます。
自然の恵み、野菜のおいしさを味わうイタリアンでした。
講習会のレシピ
加茂なすのカポナータ
加茂なす | 1個 |
---|---|
玉ねぎ(みじん切り) | 60g |
トマト | 2個 |
にんにく(薄切り) | 1かけ |
バジルの葉 | 5枚 |
米酢 | 25g+少々 |
きび砂糖 | 10g |
揚げ油 | 適量 |
ピュアオリーブオイル | 10g+10g |
エキストラバージンオリーブオイル | 20g |
塩 | 少々 |
- 1加茂なすは8等分に切り、160℃の油でじっくり揚げた後、米酢少々をふりかける。
- 2鍋に玉ねぎとピュアオリーブオイル10gと塩を入れて弱火にかける。きび砂糖と米酢25gも加えて煮詰める。
- 3トマトは横半分に切って種の部分を取り除く。オーブンの鉄板にクッキングシートなどを敷いて、トマトの断面を上にしておく。その上ににんにくをのせ、ピュアオリーブオイル10gをかけ、180℃のオーブンで10分焼く。(オーブントースターで焼いてもよい)
- 4ボウルに(1)、(2)、(3)を合わせ、ちぎったバジルの葉とエキストラバージンオリーブオイル20gを加えて和える。温かいままでも、冷やして食べてもおいしい。
真竹と山椒のスパゲッティ
真竹 | 1本 |
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実山椒 | 5g |
ツナ缶 | 1缶(70g) |
にんにく(みじん切り) | 1片 |
スパゲッティ(1.6mm) | 80g |
ピュアオリーブオイル | 50g |
エキストラバージンオリーブオイル | 20g |
いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ | 少々 |
塩 | 適量 |
- 1真竹は皮をむいて斜め薄切りにする。
- 2フライパンにピュアオリーブオイル50gを入れ、よく油をきったツナ缶、にんにくを入れて中火にかける。にんにくの香りが出てきたら、(1)の真竹と実山椒を入れる。
- 3塩を加えた湯で(塩分1%程度)ゆでたスパゲッティを(2)に加えて和え、仕上げにエキストラバージンオリーブオイル20gとしょうゆを入れて合わせる。
ビーツのリゾット
ビーツ | 1個(約100g) |
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玉ねぎ(みじん切り) | 30g |
ご飯 | 1合分 |
エキストラバージンオリーブオイル | 30g |
ピュアオリーブオイル | 10g |
マンズワイン・赤 | 60ml |
無塩バター | 20g |
パルメザンチーズ | 10g |
サワークリーム | 30g |
黒粒こしょう | 適量 |
- 1ビーツはよく洗い、皮つきのままたっぷりの湯で、中火でやわらかくなるまで20~30分ゆでる。
- 2ゆで汁は残し、ビーツは皮をむいてエキストラバージンオリーブオイル30gとともに、ミキサーにかけてピューレーにする。
- 3鍋にピュアオリーブオイル10gと玉ねぎを入れて火にかけて炒め、玉ねぎが透き通ってきたら赤ワインを加える。
- 4(3)の赤ワインのアルコール分が飛んだら、(1)のビーツのゆで汁100mlとご飯を入れて火にかけて沸かし、無塩バター、パルメザンチーズ、(1)のビーツのピューレーを加えて乳化するように混ぜながら、約3分煮る。
- 5器に(4)を盛りつけ、サワークリームを添え、砕いた黒粒こしょうをふる。

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