お寿司屋さんがつくる ひな祭りの献立
野本 やすゆき 先生(料理研究家、「松寿司」三代目店主)





2025年2月5日KCC食文化と料理の講習会は、料理研究家で「松寿司」三代目店主の野本やすゆき先生をお招きし、「お寿司屋さんがつくる ひな祭りの献立」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
野本先生は大学卒業後、東京・谷中で一番古い家業の寿司店で修業しながら、フードコーディネータースクールで学びました。現在は料理研究家としてテレビや雑誌で活躍。その一方で寿司店三代目店主として寿司を握り、プロならではの目利きで魚料理を得意としています。
寿司職人でもある先生からひな祭り定番のちらし寿司や貝の汁などを、魚介の扱い方、おいしい寿司をつくるためのコツとともにご紹介いただきました。
- 海鮮ばらちらし
ちらし寿司は、すし飯と具材の甘辛の味のバランスが大切。魚は昆布じめやしょうゆ漬けにしてうま味を加えると、ちらし寿司として馴染みがよくなります。盛りつけは大きめの皿に薄く平らにすし飯を広げ、彩りよく具材を均等に散らすのがポイント。すし飯と具材を偏ることなく取り分けられ、バランスよくいろいろな味のコラボが楽しめます。それがちらし寿司です。
- はまぐりのお吸い物
ひな祭り定番のお吸い物。貝はしっかり口が閉じたものを選び、汁を楽しむのでだしが出るように、小さめの貝を数多く使う方が適しています。貝は水から入れて火にかけ、口が開いたら貝の身が固くならないようにすぐに取り出します。はまぐりならではの上品でやさしいだしのお吸い物は、ひな祭りにぴったりです。
- 鯛の春巻き
春巻きは中国料理のイメージですが中に入れる具材は自由。鯛、白みそ、木の芽の組み合わせです。皮で巻いて揚げることで、魚の身はふっくらと仕上がり、香りも封じ込められます。先生曰く、魚にはそれぞれに香りがありそれも楽しんでもらいたいと。揚げたてを口に入れると鯛と木の芽の香りがふわっと広がり、春を感じることができます。
魚介それぞれが持つ旬や香りをもっと知って、魚介料理で季節を楽しんでみたいと思った講習会でした。
講習会のレシピ
海鮮ばらちらし寿司
基本の寿司飯
炊き立てのごはん | 米2合分 |
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【A】 | |
米酢 | 50ml |
砂糖 | 大さじ1と1/2 |
塩 | 小さじ1と1/2 |
鯛の昆布じめ
鯛の刺身 | 80g |
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昆布 | 適量 |
マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒 | 少々 |
まぐろの漬け
まぐろの刺身 | 80g |
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キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 大さじ1 |
かんぴょうの甘辛煮:作りやすい分量
かんぴょう | 20g |
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塩 | 適量 |
【B】 | |
水 | 200ml |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 大さじ2 |
ざらめ | 大さじ3 |
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん | 大さじ1 |
炒り卵
【C】 | |
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卵 | 2個 |
砂糖 | 大さじ2 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ | 小さじ1/2 |
塩 | 少々 |
サラダ油 | 小さじ1 |
えび | 6~8尾 |
おぼろ | 適量 |
いくら | 適量 |
木の芽 | 適量 |
基本の寿司飯
- Aを混ぜ合わせすし酢をつくる。熱いご飯を飯台(なければバットなど)に入れて、すし酢を全体に回しかけ、米をつぶさないように、しゃもじで切るように混ぜ合わせる。全体にすし酢がなじんだら、うちわであおぐ。
鯛の昆布じめ
- 昆布を酒でふく。鯛をそぎ切りにして昆布に並べる。ラップをして20分ほどおく。
まぐろの漬け
- まぐろを食べやすい大きさに切り、しょうゆをまぶして5分程おく。
かんぴょうの甘辛煮
- かんぴょうを煮る。かんぴょうは水で軽く洗い、ボウルに入れて塩を加えてもみ、水で洗い流す。鍋に湯を沸かし、かんぴょうを10~15分やわらかくなるまでゆでて、ザルにあげる。鍋にBを入れて一煮立ちさせてかんぴょうを加えて10~15分汁けが少なくなるまで煮る。
炒り卵
- Cを混ぜ合わせる。フライパンにサラダ油を熱し、混ぜ合わせたCを流し入れ全体に広げ、菜箸などで大きく混ぜる。半熟になったら火を止めて余熱で炒り卵にする。
ゆでえび
- えびは塩(分量外)ゆでにして背わたを取り、食べやすい大きさに切る。殻つきの場合はそのままゆでてその後、殻をむく。
盛りつける
- 器に寿司飯を盛り、かんぴょうの甘辛煮を適量刻んで散らし、炒り卵を散らす。鯛の昆布じめ、まぐろの漬け、ゆでえびを盛りつけ、おぼろ、いくら、木の芽を散らす。
はまぐりのお吸い物
はまぐり(小) | 6個(砂抜き済のもの) |
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水 | 400ml |
昆布 | 3cm |
マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒 | 大さじ2 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ | 小さじ1 |
塩 | 適量 |
木の芽 | 適量 |
- 1鍋に水、昆布を入れて30分おく。はまぐりは殻と殻を擦り合わせるように洗う。
- 2(1)の鍋に酒、はまぐりを入れて弱火にかけ、途中アクが出たら取る。沸騰直前で昆布を取り出す。はまぐりの口が開いたらはまぐりを取り出す。うすくちしょうゆ、塩で味をととのえる。
- 3お椀にはまぐりを入れて、(2)の汁をはり、木の芽をのせる。
鯛の春巻き
鯛の刺身 | 1さく(180g) |
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春巻きの皮 | 4枚 |
白みそ | 大さじ1 |
木の芽 | 適量 |
塩 | 適量 |
【A:のり】 | |
小麦粉 | 大さじ1 |
水 | 大さじ1 |
揚げ油 | 適量 |
- 1鯛はそぎ切りにする。Aの小麦粉と水は混ぜ合わせてのりをつくる。
- 2春巻きの皮に鯛を2切れのせ、白みそをぬる。上からもう2切れのせて木の芽をのせる。皮を手前、左右の順に折りたたんで、巻き終わりに(1)ののりをぬってとめる。
- 3180℃に熱した揚げ油で、(2)を色よく3~4分揚げる。

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