シェフのまかないイタリアン
鈴木 弥平 先生(「ピアット スズキ」オーナーシェフ)





2025年2月5日KCC食文化と料理の講習会は、「ピアット・スズキ」オーナーシェフの鈴木弥平先生をお招きし、「シェフのまかないイタリアン」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
鈴木先生は、日本とイタリアで修業後、2002年に東京・麻布十番に「ピアット スズキ」をオープン。伝統的なイタリア料理を基本としながら、素材のおいしさを伝える料理を提供しています。テレビ出演、調理師専門学校の講師も務め、長年、日本のイタリア料理界の第一線でご活躍です。
老舗イタリア料理店のお店で働く人たちが食べる“まかない“をご紹介。無駄なくおいしくをモットーに、家庭で役立つ調理ポイントも教えていただきました。
「ピアット・スズキ」の“まかない”はイタリア料理。スタッフ全員で食べます。キッチンには“まかないボウル”というボウルがあり、調理の際に出た野菜の皮や切れ端などを入れて集め、それも無駄なく活用します。
- ぶり大根のサラダ仕立て
ぶりと大根おろしを使ったカルパッチョ風サラダ。ぶり大根という和食定番の組み合わせのアレンジです。むいた大根の皮は“まかないボウル”へ。大根をおろした時に出る汁も他の料理に活用します。大根おろしにオリーブオイル、アンチョビ、ケッパーなどを混ぜれば、イタリアンな和え衣風ソースのできあがり。脂ののったぶりにぴったりです。
- スパゲッティ 春野菜のトマトソース
パスタはほぼ毎日“まかない”に登場。大勢のスタッフのための調理が必要です。パスタと具材は同じ鍋に入れてゆで上げ、一緒にソースに投入して和えれば時間、道具、火口の節約に。トマトソースは1度煮詰めてトマトの水分を飛ばして味を凝縮させます。パスタを入れて和える時に、ゆで汁も加えて乳化するようによく混ぜ合わせ、全体の仕上がりを調整するのがポイントです。
- 鶏むね肉と野菜のグラチネ
グラタンは“まかない”に便利な一品。ベシャメルソースは、小麦粉、バター、牛乳というシンプルな材料で短時間にできるソース。これをつくれば中に入れる具材は自由で、簡単にグラタンができます。オーブンに入れて焼いている間も他の仕事ができます。鶏むね肉はサラダで残った大根おろしの汁に浸けてやわらかくし、浸した後の汁もソースに入れて無駄なく活用。“まかないボウル”の野菜たちは刻んで具材にプラスしました。
無駄なくおいしくの“まかない”にはまねしたいヒントがたくさんありました。
講習会のレシピ
ぶり大根のサラダ仕立て
ぶり(刺身用) | 100g |
---|---|
大根 | 150g |
かぶ | 1個 |
ミニトマト(湯むき半割) | 4個 |
オリーブ | 8個 |
【A】 | |
レモン汁 | 小さじ1 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 小さじ1 |
エキストラバージン オリーブオイル | 大さじ2 |
【B】 | |
フィレアンチョビ(みじん切り) | 3枚 |
ケッパー(軽くきざむ) | 6g |
パセリ(みじん切り) | 6g |
- 1大根はすりおろしてザルなどにあけて水分をきる。(出た水分は取っておき、鶏むね肉と野菜のグラチネで使う。)
- 2かぶは皮をむいて4等分にし、軽くゆでて冷ます。ミニトマトは湯むきして半分に切る。
- 3ぶりは厚めにスライスし、Aをまぶしておく。
- 4ボウルに(2)、(3)、B、オリーブの全ての材料をボウルに入れて混ぜ合わせる。
- 5(1)の大根おろしを加えて混ぜ合わせる。
スパゲッティ 春野菜のトマトソース
スパゲッティ | 120g |
---|---|
キャベツ | 90g |
菜の花 | 8本 |
たけのこ(ゆでたもの) | 30g |
そら豆(さやと皮を除いた正味) | 30g |
ふきのとう | 3個 |
塩 | 適量 |
【トマトソース】 | |
にんにく | 1/2かけ |
エキストラバージン オリーブオイル | 大さじ1 |
アンチョビ(粗みじん切り) | 2枚 |
エシャロット(スライス) | 1/2個 |
ミニトマト(湯むきして半分に切る) | 6個 |
デルモンテ 完熟カットトマト | 380g |
エキストラバージン オリーブオイル(仕上げ用) | 適量 |
パルメザンチーズ | 適量 |
- 1鍋ににんにくとオリーブオイル大さじ1を入れて弱火で加熱し、オイルににんにくの香りを移す。
- 2(1)にアンチョビ、エシャロット、ミニトマト、完熟カットトマトを加えて火にかけ、軽く煮詰めてソースをつくる。
- 3キャベツ、菜の花、たけのこは適宜食べやすい大きさに切る。そら豆はさやから取り出し、皮を取る。ふきのとうは粗くきざむ。
- 4パスタ用にたっぷりの湯を沸かして塩(湯の1%)を加え、スパゲッティをゆでる。スパゲッティが茹で上がる時間を逆算して、同じ鍋に(3)の野菜をかたいものから順に入れてスパゲッティと野菜が同じタイミングで茹で上がるようにする。
- 5(4)のスパゲッティと野菜が茹で上がったら、(2)のソースに加えて和える。
- 6パルメザンチーズと仕上げ用のオリーブオイルを加えて合わせ、仕上げる。
鶏むね肉と野菜のグラチネ
鶏むね肉 | 1枚(220g) |
---|---|
大根の汁 ※大根おろしサラダで残った汁 | 適量 |
じゃがいも | 1/2個(60g) |
ズッキーニ | 1/4個(30g) |
残り野菜 | 適量 |
ハム | 30g |
パルメザンチーズ | 20g |
パン粉 | 適量 |
エキストラバージン オリーブオイル | 適量 |
塩 | 適量 |
こしょう | 適量 |
バター(グラタン皿にぬる) | 適量 |
【ベシャメルソース】 | |
バター | 20g |
小麦粉 | 20g |
牛乳 | 500ml |
- 1鶏むね肉は適宜大きめに切り分け、大根の汁に15分ほどつける。
- 2じゃがいもは皮をむいて薄切り、ズッキーニも薄切りにする。残り野菜は約1cm角に切る。
- 3グラタン皿にバター適量をぬり、じゃがいもとズッキーニの順で層にして敷き、オリーブオイルをまわしかける。
- 4(3)の上に(1)の鶏むね肉とハムを交互に敷き詰める。鶏肉をつけた大根の汁は残しておく。
- 5ベシャメルソースをつくる。鍋にバターと小麦粉を入れてしっかり炒めたら、牛乳を加えてダマにならないようによく混ぜながら、適度な濃度になるまで加熱する。塩、こしょうをして味をととのえ、(4)で残した大根の汁を加える。
- 6(4)のグラタン皿に(5)のソースをかけ、その上に残り野菜、パルメザンチーズ、パン粉を散らし、200℃のオーブンで約30分焼く

旬の食材をおいしく食べられるレシピを毎日更新!