知りたい!中国の豆腐料理
田村 亮介 先生(「慈華」オーナーシェフ)
2023年4月26日のKCC食文化と料理の講習会 YouTubeライブ配信は「慈華」オーナーシェフの田村亮平先生をお招きし、「知りたい!中国の豆腐料理」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
田村先生は調理師専門学校卒業後、東京の「麻布長江」で修業し料理長を経てオーナーシェフになり、2019年に「慈華」として新しくオープンしました。中国の食文化と日本の自然や感性を融合した料理を提供し、2020年からミシュラン1つ星を獲得。中国にも頻繁に出かけ、現地の料理や食材を常に学び続けています。
豆腐のルーツは中国。その種類や料理のバリエーションも豊富です。中国の豆腐の文化や料理のお話しとともに、ひと味違う豆腐料理をご紹介いただきました。
- 香拌干絲 シャンバンガンスー
豆腐干(トウフカン)の細切りを干絲(ガンスー)と呼び、香りの野菜や薬味とともに和えものにしました。豆腐干は豆腐を圧縮して水分を抜いたもので、高たんぱく低糖質の食材として人気です。和えもののコツは食材の水分をよく取ること。水分があると味つけが薄まりぼやけた味に仕上がります。そして熱した油でねぎやしょうがなどに熱を加えることで、より香りが引き立ちます。
- 鶏刨豆腐 ジーパオドウフ
米粒のようにした豆腐の炒めものです。水きりした豆腐を細かくフォークなどでつぶし、溶き卵と合わせ表面をコーティングして炒めると、まるで卵チャーハンのようなパラパラな仕上りに。鶏とつく料理名は鶏の首や足の動きが、この料理をつくる時の動作に似ていることからついたとか。見た目も名前も楽しく、味わい、食感も軽やかな一品です。
- 鹹豆漿 シェンドウジャン
シェンドウジャンは、現地の朝ごはんでよく食べる塩味の豆乳スープ。田村先生が台湾での修行時代によく食べた思い出の一品です。通常は油條(揚げパン)などと一緒に食べるシンプルなものですが、ここでは表面を香ばしく焼いた豆腐と豚肉と合わせ、食べ応えのあるおかず風にアレンジしました。仕上げにかけるラー油の香りと辛味が、まろやかな豆乳の味わいを引き締めます。香りの良い自家製ラー油がおすすめです。
いろいろに変身する豆腐の魅力を、改めて感じた講習会でした。
講習会のレシピ
香拌干絲(シャンバンガンスー)
豆腐干 | 100g |
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きゅうり | 30g |
紅芯大根 | 30g |
中国セロリ(またはセロリ) | 20g |
ねぎ(みじん切り) | 大さじ2 |
塩 | 適量 |
煎りごま・白 | 適量 |
ごま油 | 大さじ1 |
ねぎ油 | 大さじ1 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 少々 |
米酢 | 小さじ1 |
- 1豆腐干は細切りにする(または市販の細切りになっているもの)。きゅうり、紅芯大根も細切りにする。セロリは他の材料と同じくらいの⾧さに切る。
- 2ボウルにきゅうり、紅芯大根、セロリを入れ、塩ひとつまみをまぶして10分ほどおく。
- 3沸騰した湯で豆腐干をさっとゆで、ざるに上げて冷まし、しっかりと水気をきる。塩ひとつまみをまぶして10分ほどおく。
- 4「2.」の野菜と「3.」の豆腐干から出た水分をそれぞれしぼり、ボウルに一緒に合わせ、ねぎと煎りごまをその上にのせる。
- 5小鍋にごま油とねぎ油を入れて弱火で180℃位まで熱し、ねぎとごまにめがけてかけて香りを出す。全体を合わせ、しょうゆ、米酢を加えてよく和える。
鶏刨豆腐(ジーパオドウフ)
木綿豆腐 | 1丁(400g) |
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卵 | 1個 |
にんじん(粗みじん切り) | 20g |
万能ねぎ(小口切り) | 2本 |
しょうが(みじん切り) | 10g |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 小さじ1 |
塩 | 小さじ2/3 |
油(白絞油) | 大さじ4 |
ごま油 | 大さじ1/2 |
- 1豆腐はバットに入れ、上から重しをのせて4時間以上おき、しっかりと水きりをする。
- 2「1.」をボウルに入れてフォークで細かくつぶす。
- 3卵をよく溶きほぐし「2.」と合わせ、卵で豆腐をコーティングするようによく混ぜ合わせる。
- 4鍋に油をたっぷり入れて熱し、ねぎの半量、しょうが、にんじんを入れて弱火で炒める。
- 5「4.」のしょうがの香りが立ってきたら、「3.」を入れて強火にし、豆腐の水分を飛ばすように手早くかき混ぜながら、豆腐がパラパラになるまでよく炒める。途中油が足りなければ大さじ1を足す(分量外)。
- 6「5.」の豆腐の水分が抜けたら、しょうゆ、塩、ごま油を入れて、残りのねぎも加えて炒め合わせる。
鹹豆漿(シェンドゥジャン)
木綿豆腐 | 1丁(300g) |
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キッコーマン 無調整豆乳 | 300ml |
豚こま切れ肉 | 120g |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 大さじ1 |
しょうが(みじん切り) | 大さじ1/2 |
ラー油(※) | 大さじ1と1/2 |
油(白絞油) | 大さじ2 |
強力粉(または片栗粉) | 適量 |
塩 | ひとつまみ |
- 1豆腐は厚みを半分に切り、全面に強力粉をまぶす。
- 2豚肉は食べやすい大きさに切る。
- 3フライパンに油を熱し、「1.」の豆腐を入れて中火で両面に焼き目がつくまで焼き、取り出して、1.5cm角に切る。
- 4「3.」のフライパンを軽くふき、「2.」の豚肉を入れてカリカリになるまでしっかりと炒める。
- 5「4.」にしょうが、しょうゆ、ラー油を加えてざっとからめたら、「3.」の豆腐を入れてさっと混ぜ合わせ器に盛る。
- 6鍋に豆乳と塩を入れて弱火の中火にかける。底が焦げ付きやすいので、絶えずかき回しながら沸騰する直前まで温める。決して沸騰させないこと。
- 7「6.」を「5.」の器に注ぎ入れる。汁椀などに取り分けて食べる。
材料 | サラダ油(白絞油)400ml、唐辛子粉(あれば朝天唐辛子)80g、ねぎ・しょうが・にんにく各5g、八角1個、シナモンスティック2g、陳皮4g、花椒10粒、カルダモン1個、ローリエ2枚 |
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作り方
- 1中華鍋に材料全てを入れて中火にかける。
- 2スパイスから細かい泡が立ち始めたら、弱火にして焦がさないように香りを立たせる。
- 3油の温度を170℃に上げ、ねぎの周りが黒くなり始めたら火を止める。
- 4「3.」をふたつきの耐熱容器に移してふたをする。一晩おいたらこす。
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