南極の食卓で発見 食と暮らしに活かせる知恵
渡貫 淳子 先生(南極シェフ・元南極地域観測隊 調理隊員)





2023年11月19日KCC食文化と料理の講習会は、南極シェフ・元南極帯域観測隊・調理隊員の渡貫淳子先生をお招きし、「南極の食卓で発見 食と暮らしに活かせる知恵」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
渡貫先生は、調理師専門学校の職員や飲食の仕事を経て、第57次南極地域観測隊の調理隊員として、2015年12月から2017年3月まで南極で生活。現在はその経験から得た食の知恵や料理の工夫、フードロスについて、書籍、新聞、講演などで広く紹介しています。
今回は、南極の生活の様子やエピソードとともに、環境への負荷を減らす食の知恵、食材を無駄にしない&ごみを出さない工夫などをご紹介いただきました。
南極に食材を運べるのは一年に一度。限りある食材をいかに大切に使うか、そしてごみを出さないことを常に考えていました。残った汁も液体ごみとなるのでリメイクして使います。その一方で厳しい環境で生活する隊員にとって、食事はお腹を満たす以上に心を満たす力を持ちます。限られた中でも料理に季節感を出し、行事やイベント食を大切にしました。
- 緑茶の茶殻入り肉みそ
茶殻も捨てずに貴重な野菜として、肉みその具に活用しました。保存もでき、オムレツやおにぎりの具、豆腐やサラダにトッピングといろいろに応用がききます。
- 緑茶の茶殻入り肉みそのビビンバ
肉みそと野菜を使ったビビンバです。南極では生野菜はごちそうであり貴重な食材。水耕栽培でスプラウトやベビーリーフなど、その他いろいろな野菜の栽培に挑戦しました。ご家庭では残った野菜を使えば、冷蔵庫の中の整理にもなります。
- みそバターリゾット
麺類の汁、煮物の煮汁、肉の焼き汁など残った液体も徹底的に使いまわしました。これは残ったみそ汁のリメイク。米を煮るスープとして使いリゾット風に仕立てました。加える具はご家庭にある缶詰や乾物などの保存・備蓄食材を利用すればより南極的な一品に。
- 何でもケークサレ
残ったおかずのリメイク料理。塩味のパウンドケーキの具として焼き込みます。意外にも和風のきんぴらごぼう、ひじきの煮物、青菜のおひたしなど入れてもよく合います。ここではさばのみそ煮を入れました。小腹がすいた時のおやつとして隊員たちに好評だった一品です。
- 元祖 悪魔のおにぎり
残った天かすとあおさのりを、天どん風つゆで味つけしたご飯に混ぜておにぎりにしました。名前は隊員が命名。その由来はこれが出るのが夜中で、カロリーや健康を気にしながらも病みつきになる味だから。
南極の厳しい環境の中でのさまざまな工夫を聞き、日本での生活を見直す機会となった講習会でした。
講習会のレシピ
緑茶の茶殻入肉みそ
緑茶の茶殻 | 大さじ2 |
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合いびき肉 | 200g |
にんにく(おろす) | 少々 |
しょうが(おろす) | 少々 |
【A】 | |
砂糖 | 大さじ1 |
コチュジャン (なければ、みそ大さじ1/2とラー油適量で代用) |
大さじ1/2 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 大さじ1 |
油 | 適量 |
- 1フライパンに油適量を入れ、にんにくとしょうがを香りが出る程度に炒める。
- 2(1)に合いびき肉を加えて、しっかりと火を通してから、緑茶の茶殻とAの調味料を加え、全体に炒め合わせる。
- ※密閉容器に入れて、冷蔵庫で1週間、冷凍庫で1ヶ月保存できる。
緑茶の茶殻入り肉みそのビビンバ
緑茶の茶殻入り肉みそ | 大さじ6 |
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もやし | 1/2パック |
水菜 | 適量 |
ブロッコリースプラウト | 適量 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 少々 |
ごま油 | 少々 |
塩 | 少々 |
炒り白ごま | 少々 |
ごはん | 400g |
- 1もやしはさっとゆでて、水気をきる。水菜は食べやすい長さに切る。ブロッコリースプラウトは根元を切る。
- 2ボウルに(1)を入れて、しょうゆ、塩、ごま油で味をととのえる。
- 3器にごはんをよそい、上に(2)の野菜をのせ、緑茶の茶殻入り肉みそを中央にのせ、炒り白ごまを振りかける。
みそバターリゾット
米 | 1/2合(90cc) |
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バター | 20g |
みそ汁の残り | 180ml |
水 | 180ml |
冷凍あさり | 適量 |
デルモンテ ホールコーン はじける贅沢 | 適量 |
- 1みそ汁の残りに水を合わせる。
- 2鍋にバターを溶かして米を炒める。表面に透明感が出てきたら、(1)を160ml加えて混ぜないように煮る。
- 3水分を足りなくなってきたら、途中で(1)を足しながら、米が少し芯が残る程度(アルデンテ)に火を通す。仕上げる少し前に具を入れ温まったらでき上がり。
何でもケーク・サレ
薄力粉 | 120g |
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ベーキングパウダー | 5g |
砂糖 | 25g |
塩 | 2g |
卵 | 1個 |
デルモンテ エキストラバージンオリーブオイル | 大さじ1 |
牛乳 | 100ml |
【入れる具材】 | |
鯖のみそ煮 | 適量 |
ほうれんそうのお浸し | 適量 |
- 1薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるう。
- 2型にオーブンシートをしく。(またはシリコン加工の型を使用)
- 3ボウルに卵を入れて溶きほぐし、砂糖、塩、オリーブオイル、牛乳を加えてよく混ぜる。(1)を加えて全体を混ぜ合わせる。
- 4(3)に具材を加え、再度、混ぜ合わせたら、(2)の型に流し入れる。
- 5180℃に熱したオーブンで40分程度焼く。中心に竹串を刺して、生地がついてこなければ焼き上がり。
元祖悪魔のおにぎり
ご飯 | 1合分 |
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天かす | 大さじ4 |
あおさのり | 小さじ1 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 大さじ1 |
マンジョウ こだわり米麹仕込み 本みりん | 大さじ1 |
砂糖 | 小さじ1 |
かつお節(パックのもの) | 適量 |
- 1しょうゆ、みりん、砂糖を合わせて、よく混ぜて、600wの電子レンジに30秒かけてかつお節を加えて混ぜ、しばらく置いてからこす。
- 2(1)のたれをご飯に回しかけ、混ぜ合わせる。
- 3(2)に天かすとあおさのりを加えて混ぜ合わせ、好みの大きさ、形に握る。

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