お正月 家庭で丁寧につくる雑煮

講師

柳原 尚之 先生(近茶流宗家、柳原料理教室主宰) 

江戸雑煮
京白みそ雑煮
岩手県 宮古の胡桃雑煮
柳原先生

2024年12月14日KCC食文化と料理の講習会は、近茶流宗家、柳原料理教室主宰の柳原尚之先生をお招きし、「お正月 家庭で丁寧につくる雑煮」をテーマに開催しました。

講習会のレポート

柳原先生は大学で発酵学を学び、大学院で博士号(醸造学)を取得。近茶流宗家を継承し、東京・赤坂の柳原料理教室で日本料理、茶懐石の研究指導を行っています。江戸時代の食文化の研究と子どもへの食育活動をライフワークとし、また、テレビへの出演や国内外のイベントを通して日本料理の普及、継承につとめています。

日本各地に伝わる豊かな食文化を反映しているお雑煮。その食文化をひもときながら、ご家庭で丁寧につくるお雑煮をご紹介いただきました。

  • 江戸雑煮

    江戸・東京の代表的なお雑煮は、焼いた角餅にすまし仕立て。だしは昆布とかつおのだしです。新年にこそ丁寧にだしをひいてみてはいかがでしょう。それだけでワンランクアップのお雑煮になります。鶏肉は塩で下味をつけさっと湯通ししてから使うと汁が濁らず、きれいに仕上がります。小松菜は江戸時代から東京の小松川あたりで栽培されてきた青菜。江戸雑煮にはかかせません。ゆずもお正月らしくおめでたく重ね松葉にして添えました。

  • 京白みそ雑煮

    京都の白みそを使ったお雑煮。昆布とかつおのだしに、塩分がおだやかで甘みのある西京みそをたっぷり使います。白みそは煮ることでとろりとし味わい深くなります。仕上げにみりんを少々加えると味がまとまります。丸餅は焼かずに汁の中で温めやわらかくします。具はいたってシンプル、丸く輪切りにした大根と京にんじんを入れました。里いもの親いもの頭(かしら)いもを入れることもあります。

  • 岩手県 宮古の胡桃雑煮

    すまし仕立て汁のお雑煮にくるみだれを添えた一品。汁に入った焼いた角餅をそのまま食べたり、別添えのくるみだれにつけて食べるという2つの味が楽しめます。だしは煮干しと昆布のだしです。具材はくわいやせりなどの野菜の他に合鴨の蒸し煮を添えました。おせちの一品としても重宝します。蒸し煮にすることで均一に火が入りしっとりと仕上がります。

    毎年の定番のお雑煮の他にも、各地のいろいろなお雑煮をつくってみたくなる講習会でした。

講習会のレシピ

江戸雑煮

材料:4人分
とりささみ 100g
小松菜 1/2把
かまぼこ 4切れ
三つ葉 数本
黄ゆず 適量
角餅 2個
【汁】
 昆布とかつおのだし(※) 600ml
 キッコーマン うすくちしょうゆ 小さじ2/3
 塩 小さじ2/3
つくり方
  1. 1ささみは筋を取り一口大に切る。軽く散らばるくらいに塩少々をふり、鍋に沸かした熱湯に入れて白くなったら取り出す。これを霜ふりという。
  2. 2小松菜は塩ひとつまみ入れた熱湯で、軸がやわらかくなるまでゆでて水につける。しっかり冷めてから、巻きすに並べて巻いて水けをしぼる。3cm長さに切る。
  3. 3かまぼこは半分に切る。三つ葉は2~3cm長さに切る。
  4. 4角餅は半分に切り、少し焼き目がつく位に焼く。
  5. 5鍋に昆布とかつおのだしを入れて軽く煮立ったら、うすくちしょうゆ、塩小さじ2/3を入れて味をととのえ、(1)のささみを入れて2分ほど煮る。
  6. 6椀に小松菜、かまぼこ、(5)のささみ、焼いた餅、三つ葉を盛りつけ、(5)の熱い汁をはり、黄ゆずの皮を重ね松葉にして添える。


昆布とかつおのだし(※)

材料:4人分
昆布 20cm1枚
かつお節 20g
1.2リットル
つくり方
  1. 1昆布はさっと水洗いし、表面についた砂やほこりを落とす。
  2. 2鍋に水と昆布を入れて火にかけ、中火でゆっくりと温度を上げる。
  3. 3鍋の中から小さい泡が上がってくる小煮立ち(約70℃)の状態になったら、昆布を取り出し強火にする。
  4. 4(3)が煮立ったらかつお節を入れて火を止め、静かにかつお節を沈めて約1分おき、さらしなどを使って濾す。

京白みそ雑煮

材料:4人分
京にんじん 3cm
大根 3cm
小丸餅 4個
【汁】
 昆布とかつおのだし(※) 600ml
 西京みそ 120g
 マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん 小さじ1
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん 少々
キッコーン うすくちしょうゆ 少々
水溶き辛子 少々
つくり方
  1. 1京にんじんと大根は皮をむき5mm程度の厚さの輪切りにし、鍋に水とともに入れて水から加熱し、やわらかくなるまでゆでる。
  2. 2鍋に昆布とかつおのだしを入れて温め、西京みそを溶かし入れ、少々弱火で5分ほど煮る。みりん小さじ1を加える。
  3. 3小鍋に(2)の汁をお玉1杯とみりん少々、うすくちしょうゆ少々を入れ、(1)の京にんじんと大根を加えて軽く煮る。
  4. 4(2)に丸餅を入れて温め、やわらかくする。
  5. 5椀に(4)の丸餅と(3)の京にんじんと大根を盛りつけて(4)の汁をはり、水溶き辛子をぽつりとおく。

岩手県 宮古の胡桃雑煮

材料:4人分
合鴨 1/2枚
【A:蒸し汁】
 キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ 50ml
 マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん 50ml
 煮干しだし 50ml
 砂糖 大さじ1と1/2
大根 30g(4cm)
にんじん 30g(4cm)
水せり 1/2把
しらたき 1/2玉
くわい 4個
角餅 4個
【B】
 煮干しだし(※) 700ml
 キッコーマン うすくちしょうゆ 小さじ2/3
 塩 小さじ2/3
【くるみだれ】
 むきくるみ 6個分
 砂糖 大さじ1
 キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ 小さじ1
 煮干しだし(※) 50ml
つくり方
  1. 1大根とにんじんは皮をむき、せん切りにして水からゆでる。しらたきは熱湯で湯がいて3cm長さに切る。水せりは塩(分量外)を入れた熱湯でゆで、水に取り3cm長さに切る。くわいは皮をむいて、水から細串が入るくらいまでやわらかくゆでる。
  2. 2合鴨はフライパンで皮目を焼く。耐熱容器に蒸し汁Aを入れて合わせ、焼いた合鴨を入れて蒸気の上がった蒸し器に入れ、9分ほど蒸す。
  3. 3鍋に煮干しだしを入れて温め、うすくちしょうゆと塩で味をととのえる。
  4. 4くるみだれは、むきくるみをゆでてすりばち等ですり、砂糖、しょうゆ、煮干しだしを加えてさらにすり混ぜる。
  5. 5(3)の汁で(1)の野菜やしらたきを入れて温める。角餅はこんがりと焼く。(2)の合鴨は薄く切る。
  6. 6椀に(5)の焼いた角餅、合鴨、野菜を盛りつけて汁を入れる。(4)のくるみだれは別の器に入れて添え、もちはくるみだれにつけていただく。


煮干しだし(※)

材料:約800ml分
煮干し 35g
昆布 15cm1枚
1リットル
つくり方
  1. 1煮干しは頭と内臓を取る。
  2. 2鍋に水1リットルと(1)の煮干し、昆布15cmを入れて15分ほど煮出す。
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