【第3回】髙橋義弘先生が伝える<和食の魅力>
髙橋 義弘 先生(「瓢亭」十五代目)
「和食」のユネスコ無形文化遺産登録10周年を迎え、2023年10月に<和食の魅力>をテーマにしたパネルディスカッションを開催しました。そのパネリストを講師に迎え、料理講習会を4回にわたり開催。2024年2月17日の第3回は、「瓢亭」十五代目 高橋義弘先生をお招きしました。
講習会のレポート
髙橋先生は大学卒業後、金沢の料亭で修業。京都に戻り、十四代目 髙橋英一氏に師事。懐石を基本とする伝統的な日本料理を受け継ぎながらも、確かな技術をベースに常に進化する料理を提供しています。調理師学校や裏千家学園など、茶懐石の講師を務め、また国内外での茶会やイベント、海外交流など、日本料理の普及に努めています。
今回は和食の伝統的なかつお節や昆布を使わない、新たなだしを使った料理2品をご紹介いただきました。
- 鯛とトマトのお吸い物
鯛の骨とトマトから取っただしでつくったお吸い物です。洋食のイメージが強いトマトですが、最近では和食にも使われる機会が多くなりました。トマトは多くの国で使われていて、うま味成分も豊富な食材なので、海外で和食をつくる時にも重宝します。この料理では酸味は必要としないので、トマトは丸ごと崩さないように静かに煮ることがポイント。トマトの赤い色や酸味はなく、見た目はいつもと変わりませんが、伝統を踏まえながらも進化した一品です。
- 丸大根、九条ねぎ、はまぐりの炊き合わせ
京野菜の丸大根と九条ねぎ、はまぐりの炊き合わせです。動物性のものは使わず、野菜だけで取っただしでつくりました。野菜だしは、根菜類やしょうが、ねぎの皮や残りなどをうすくちしょうゆと合わせ、2~3日置いたものに水を加えて煮出します。うすくちしょうゆを加えて置くと、味にまるみが出ます。別々に炊き合わせることで、各素材の持つ特長を生かし、食べた時の香りや味わいにグラデーションをつけることができます。はまぐりではなく、植物性の食材を使えば精進料理にもなります。その時々の旬の食材を炊き合わることで、和食の魅力でもある季節を楽しむ料理ができます。
和食が伝統を大切にしながらも、進化していることが感じられた講習会でした。
講習会のレシピ
鯛とトマトのお吸い物
鯛の切り身(30g) | 4切れ |
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トマト(※) | 1個 |
小かぶ | 1個 |
鯛の骨 | 200g |
水 | 800ml |
ゆずの皮 | 1/2個分 |
片栗粉 | 適量 |
にがり(あれば) | 少々 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ | 15ml |
塩 | 適量 |
- 1鯛の骨と切り身は塩をふって30分程度おく。骨はにがり(あれば)を入れた湯でさっと湯がいて取り出す(霜降りをする)。
- 2小かぶは皮をむいてくし形に切る。
- 3トマトはへたを取り、へたの反対側に十字に切れ目を入れる。
- 4鍋に(1)の鯛の骨、トマト、水を入れて強火にかける。沸騰してきたら中火にし、アクを取り除く。全体がゆれる程度のやさしい火加減で20分程煮る。トマトを取り出して汁を漉す。
- 5鯛の切り身は、刷毛などで片栗粉をうすくまぶす。
- 6鍋に(4)のだし、(2)の小かぶを入れて火にかけ、沸騰してきたら中火にして火を通す。うすくちしょうゆと塩で味をととのえ、(5)の鯛の切り身を入れて火を通す。
- 7お椀に盛りつけ、松葉に切ったゆずの皮を添える。
トマトみそ
お吸い物でつかったトマト | 1個 |
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白みそ | 80g |
八丁みそ | 10g |
マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒 | 30g |
砂糖 | 5g |
- 1トマトは皮を除き、白みそ、八丁みそ、酒を合わせてミキサーにかける。
- 2鍋に(1)と砂糖を入れて混ぜ合わせ、中火にかけて沸騰してきたら弱火にし、とろみがつくまで水分を飛ばす。
丸大根、九条ねぎ、はまぐりの炊き合わせ
丸大根 | 4切れ(1切れ約60g) |
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野菜だし※下記参照 | 800ml |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ | 小さじ1 |
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん | 大さじ1 |
塩 | ひとつまみ |
九条ねぎ | 60g |
野菜だし※下記参照 | 200ml |
大根の煮汁 | 50ml |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ | 小さじ1 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ | 小さじ1 |
はまぐり | 4個 |
マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒 | 大さじ4 |
野菜だし※下記参照 | 100ml |
大根の煮汁 | 30ml |
はまぐりの蒸し汁 | 30ml |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ | 小さじ1/2 |
塩 | ふたつまみ |
くず粉(または片栗粉) | 8g |
野菜だし※ | 8ml |
木の芽 | 4枚 |
- 1丸大根は皮をむいて扇面に切る。野菜だしとともに鍋に入れて火にかけ、沸騰してきたら中火にして火を通す(約15分)。みりん、塩、うすくちしょうゆを加えて、8分程煮る。
- 2九条ねぎは斜めに細切りにする。鍋に野菜だし200ml、(1)の大根の煮汁50mlを入れて火にかけ、沸いてきたら九条ねぎを入れ、うすくちしょうゆ、しょうゆを加えてサッと煮る。
- 3鍋にはまぐりと酒を入れて酒蒸しにし、口が開いたら身は取り出し、蒸し汁は取っておく。鍋に野菜だし100ml、(1)の大根の煮汁30ml、はまぐりの蒸し汁30mlを入れて火にかける。沸騰してきたらうすくちしょうゆ、塩で味をととのえる。だしで溶いたくずでとろみをつける。はまぐりの身を加えて温める。
- 4器に(1)の丸大根、(2)の九条ねぎ、(3)のはまぐりの身の順に重ね、(3)のくずあんをかけ、木の芽を添える。
野菜だし
野菜の葉や皮やへた (かぶ、大根、にんじんなど根菜類、ねぎ、しょうがなど) |
適量 |
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キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ | 野菜の重量の1/10 |
水 | 野菜の重量の4倍 |
- 1野菜にうすくちしょうゆを加え、混ぜ合わせて2~3日おく。
- 2鍋に(1)の野菜と水を加えて火にかけ、沸騰したら軽く煮立たせる程度の火加減で15分おいた後、細かい目の布で漉す。
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