2021年12月11日
<京都・瓢亭にならうお正月料理“煮しめ”を極める>
髙橋義弘先生(「瓢亭」十五代目)
【YouTubeライブ配信】










2022年12月11日のKCC食文化と料理の講習会 YouTubeライブ配信は、「瓢亭」十五代目の髙橋義弘先生をお招きし、「京都・瓢亭にならうお正月料理“煮しめ”を極める」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
大学卒業後、金沢で修業し京都へ戻り、十四代目 髙橋英一氏に師事し400年続く京都老舗料亭「瓢亭」十五代目となりました。茶懐石を基本とする伝統的な日本料理を受け継いでいます。また、国内の食育活動や海外のイベントにも積極的に参加し、和食の文化の素晴らしさを広く伝えています。
今回は、和食の基本“だし”の取り方をならい、それを使ってお正月を彩る“煮しめ”をご紹介いただきました。
瓢亭の<一番だし>と<二番だし>、家庭用<八方だし>をご紹介。瓢亭では熟成させた利尻昆布とまぐろの削り節を使います。まぐろ節はかつお節に比べくせがなく、品のよいうまみのあるだしがとれます。<八方だし>は昆布とかつお節を使い、酒とみりんを加えているので日持ちもし、煮物やお浸しなどに重宝するだしです。
<煮しめ> 家庭用の<八方だし>を使い、里いも、にんじん、たけのこ、えび、あなごを煮て、盛り合わせました。食材に合わせて、下ごしらえ、調味料、煮方を変えて別々に煮ます。手間はかかりますが、それぞれの素材の味が楽しめます。煮汁に浸けて一晩おき、味をゆっくり含ませるのがポイント。飾り切りをしたり巻いたりと、見た目も華やかするとお正月らしくなります。<煮しめ>は普段使いの料理ですが、新年のためにていねいにつくってみてはいかがでしょう。おいしさも格別です。
講習会のレシピ
だしの取り方
◇瓢亭のだし 一番だし
材料:できあがり約1.1L
水 |
1.8L |
---|---|
利尻昆布 |
35g |
削り節(まぐろ) |
40g |
つくり方
①鍋に水と昆布を入れて火にかけ65~70度を保ち、30~40分煮出す。
②①から昆布を取り出し、火を強めて温度を上げアクをひき、火を弱めて沸騰状態が落ち着いたらまぐろ節を入れる。ごく弱火にし、まぐろ節が沈むまでおきアクをひき、火を止めて20分おく。
③ざるにネルの布をのせて②をこす。自然にだしが落ちるのを待つ。
◇瓢亭のだし 二番だし
材料:できあがり約1.1L
水 |
1.3L(一番だしの水の7割) |
---|---|
一番だしをとった昆布とまぐろ節 |
全量 |
つくり方
①鍋に全ての材料を入れて強火にかける。煮たってきたら軽く沸騰するくらいの火加減で15分煮出す。
②①が2割程度に煮詰まったら昆布を取り出す。
③ざるのネルの布をのせて②をこす。しっかりしぼる。
◇家庭用 八方だし
材料:できあがり約1.5L
水 |
2L |
---|---|
昆布 |
10g |
削り節(かつお) |
30g |
マンジョウ 料理の清酒 |
100ml |
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん |
50ml |
つくり方
①鍋に水と昆布を入れて15分煮出す。
②①にかつお節、酒、みりんを入れて15分煮る。
③ざるに布巾やキッチンペーパーをのせ、②をこす。しっかりしぼる。
煮しめ
◇鶴小芋
材料:つくりやすい分量
里芋 |
6個 |
---|---|
米ぬか |
適量 |
八方だし(※) |
約300ml |
昆布(5×10cm) |
1枚 |
A; | |
砂糖 |
10g |
塩 |
小さじ1/2 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ |
小さじ2 |
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん |
大さじ1 |
つくり方
①里いもは六方にむいて、鶴の飾り切りにする。
②鍋に米ぬかと①の里いもとかぶる位の水を入れ、竹串がすっと通る位にやわらかくなるまでゆで、水にさらす。再度水からゆで、水にさらす。
③鍋に昆布、②の里いもと八方だしをかぶる位入れて中火にかける。沸騰したら弱火にし、Aを順に加える。
④③を約5分煮て火から下ろし、保存容器に移して冷ます。冷蔵庫に一晩おいて味をふくませる。
◇梅にんじん
材料:つくりやすい分量
にんじん(あれば金時にんじん) |
約13㎝ |
---|---|
八方だし(※) |
約150ml |
A; | |
砂糖 |
小さじ2弱 |
塩 |
少々 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ |
小さじ1 |
キッコーマン いつでも新鮮 特選しょうゆ まろやか発酵 |
少々 |
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん |
大さじ1 |
つくり方
①にんじんは約1.3cm厚さに輪切りにし、梅型に抜きねじり梅の飾り切りにする。
②①を竹串がすっと通る位にやわらかくなるまでゆで、水にさらす。
③鍋に八方だしと②のにんじんを入れて火にかける。沸騰してきたら、Aを順に入れ、全体に味がなじむまで煮る。
④③を保存容器に移して冷ます。冷蔵庫に一晩おいて味をふくませる。
◇たけのこの含め煮
材料:つくりやすい分量
ゆでたけのこ |
400g |
---|---|
八方だし(※) |
300ml |
昆布(5㎝×5㎝) |
1枚 |
削り節 |
適量(約2g) |
A; | |
砂糖 |
5g |
塩 |
少々 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ |
大さじ1 |
マンジョウ 米麹こだわり 本みりん |
大さじ1と1/3 |
つくり方
①たけのこは食べやすい大きさに一口大の乱切りにする。
②①を鍋に入れ、水をひたひたに入れて火にかける。沸騰したら火からおろして水にさらす。白い部分があれば洗って取る。
③鍋に②のたけのこ、八方だし、昆布を入れる。ガーゼやだし用パックに入れた削り節も入れて強火にかける。
④③が沸騰してきたら火を弱めて、Aを順に入れて約10分煮て火からおろす。
⑤④の昆布、削り節を取り出し、保存容器に移して冷ます。冷蔵庫に一晩おいて味をふくませる。
◇えびのうま煮
材料:6人分
車えび(有頭・殻つき) |
6尾 |
---|---|
八方だし(※) |
300ml |
マンジョウ 料理の清酒 |
大さじ2 |
A; | |
砂糖 |
15g |
塩 |
小さじ1/2 |
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたてうすくち生しょうゆ |
小さじ2 |
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん |
大さじ1 |
つくり方
①えびは頭と背わたを取り除き、足を取る。尾の先端を切り、腹側に竹串を差し込んでまっすぐにして形をととのえる。
②鍋に八方だしと酒を入れて煮立たせ、Aを加えて煮汁をつくる。①のえびを入れて中まで火が通ったら、取り出し粗熱を取る。
③②のえびの竹串を抜き、尾を残して殻をむく。
④保存容器に②の煮汁と③のえびを入れて冷ます。冷蔵庫に一晩おいて味をふくませる。
◇あなご鳴門巻き
材料:つくりやすい分量
あなご(開いたもの) |
3枚 |
---|---|
片栗粉 |
適量 |
細かく裂いた竹の皮 |
適宜 |
マンジョウ 料理の清酒 |
適量 |
A; | |
砂糖 |
10g |
キッコーマン いつでも新鮮 特選しょうゆ まろやか発酵 |
大さじ2 |
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん |
大さじ2 |
つくり方
①あなごは頭とヒレがあれば取り除き、さっと熱湯にくぐらせ、表面が白っぽくなったらすぐに冷水に取る。汚れや血が残っていたら洗って取る。
②①の皮側をテーブルナイフでこそげ、表面のぬめりを取る。
③②の水気を取り、皮の表面にはけで片栗粉を少し厚めにまぶしつける。皮を内側にして、尾の方からきっちりと巻く。細かく裂いた竹の皮でしっかりとしばる。
④鍋に③のあなごを並べ入れ、酒をヒタヒタ(300ml目安)に注ぎ、火にかける。
⑤④が沸騰してアルコール分がとんだら、Aを順に加える。約20分煮て、煮汁が1/3量になってとろみがつき、てり、つやが出たら火から下ろす。常温で冷ます。
⑥食べる時に竹の皮をはずし、1つを4つ位に切り分ける。